World Joker

43話 キミが望むもの


 

 

 

引き続き・・・完全密室のコハク。

 

「特殊金属か」

異種族の捕獲を目的として製作された手錠と鎖、だが。

「その辺の魔物と一緒にして貰っちゃ困るな」

一笑し、引き千切る。

「・・・・・・」

出入り口がないのなら壁をぶち抜くだけのこと、と。

コハクは拳を鳴らし、狙いを定めた。しかし。

「・・・・・・」

“気配”を察し、拳を下ろす。

次の瞬間、向かいの壁に魔法陣が現れた。

そこから・・・

「よっ!」「・・・メノウ様」

「んなコワイ顔すんなって」と、メノウ。

いつものあっけらかんとした態度で、続けて言った。

「熾天使の捕獲を指示したのは俺じゃないよ。ま、この状況はかえって好都合だけどさ。オニキスよりお前の方が話が早いし」

「・・・どういうことですか」

それを話すつもりで来たのだと言い、メノウはあるキーワードを口にした。

 

 

「“魔女の遺言”でさ」

 

 

聞いたコハクの表情が動いた。軽く眉を寄せたのだ。

「“魔女の遺言”ですか・・・厄介なことになりましたね」

「ま、何とかなんだろ」

「わかりました。そういうことなら協力します」

「んじゃ、コレにサインしてくれる?」

メノウが取り出したるは、社員契約書。

「はいはい」

コハクは二つ返事でサインをした。

それからいそいそと壁際まで移動する。

幸いにも、メノウの魔法陣が消えずに残っていたのだ。

当然、それで抜け出すつもりだ。

コハクはにこやかに別れの挨拶を告げた。

「じゃあ、僕はこれで」

現在の、コハクの脳内。

 

妻 > かつての主(義父)

 

ヒスイ至上主義は何があっても揺るがない。

「ったく、忙しない奴だなぁ」

メノウにしてみれば予想通りの展開・・・笑ってコハクを見送る。

その時、コハクが足を止めた。

「あ、そうだ。僕もメノウ様に話しておくことが・・・」

アンデット商会の一員であることを知って、ヒスイが心配していると前置きしてから。

「メノウ様が“不老不死”のためにアンデット商会にいるんじゃないかって、思い詰めちゃって」

「あはは!何だよ、それ」

「・・・・・・」

明るく笑い飛ばすメノウを見つめるコハク。

「・・・ヒスイには、昔話をしておきました。僕等がエクソシストになった時の・・・」

 

 

俺も人間だからさ!

 

 

「へ〜・・・よく覚えてたなぁ」感心、感心、と、メノウが笑う。

「良かったですか?これで」

「ん、いいんじゃん」

「メノウ様」

「んっ?」

「どうします?」

「何が?」

「・・・もし、ヒスイが“眷属”を望んだら」

コハクの発言に少々驚いた顔のメノウ。

コハクはそのまま話を続けた。

「あの可愛いヒスイが、目をウルウルさせて“お父さん、お願いっ!!”って言ったら、断れないんじゃないですか」と、冗談なのか本気なのかわからない口調で。

対するメノウは両手を頭の後ろで組み、何もない空間を見上げて言った。

「ん〜・・・ま、そんときゃ、そんときで」

 

 

 

コハク退出後、メノウ。

 

熾天使の脱走をどう誤魔化すか考える一方で、重く心に残った言葉を思い出す。

「眷属・・・か」

(最期まで人間で在り続けたいとは思うけど)

 

 

 

ヒスイに言われたら、たぶん・・・迷ってしまうから。

 

 

 

「・・・できれば望まないで欲しいよなぁ」

 

 

 

 

モルダバイト城。

 

「でね、お兄ちゃんがどこにいるかわからなくて」

「父さんが!?」

ヒスイ&サルファーという珍しい組み合わせ。

日が暮れてもまだコハクが戻らないので、ヒスイが騒ぎ出したのだ。

「お前はここで待っていろ。オレが探してくる」

「私も行くに決まってるでしょ」

口約通り、オニキスがコハク捜索に出掛けようとして、ヒスイと揉めている時だった。

 

 

「遅くなってごめんね」

 

 

「お兄ちゃんっ!!」

バルコニーへ向け、一直線にヒスイが駆けてゆく。

「さあ、帰ろうか」

「うんっ!!」

コハクは、集まったメンバーに軽く頭を下げ、オニキスに視線を送った。

“積もる話はまた明日”ということにして、ヒスイを抱き、飛び立つ。

 

帰り道・・・上空にて。

 

正真正銘のコハクと再会したヒスイは喜びで顔を綻ばせた。

「お兄ちゃん・・・だぁ・・・」

ヒスイが嬉しそうにしているのが、嬉しくて。

くすっ。コハクも微笑む。

「ヒスイ、今すぐえっちする?」

「うんっ!!」

目下に広がるのは森・・・城からまだそんなに離れていない。

しかし、早くも我慢の限界だった。

一見、優雅で穏やかだが、実は下心に満ちている・・・それがコハクだ。

 

降りるとそこは、新種の薔薇に囲まれた小さな広場だった。

モルダバイト王家所有の公園の一角で、近くには噴水とベンチ、外灯の明かりも届く・・・屋外えっちには最適の場所だ。

着地と同時に、どちらともなく顔を寄せ・・・キス。

「おにいちゃんの味がする」

長いキスの後、コハクの唇を舐め、ヒスイが笑った。

(ああ、可愛い・・・)

「ヒスイ・・・」

再び唇を重ねる。

「ん・・・」

唾液が糸引く濃厚キスを交わすと、心身が一気に昂り。

コハクは頬を寄せ、尋ねた。

「先に一回、いい?」

ヒスイを求めるあまり愛撫が乱暴になってしまいそうだったので、コハクは次があることを前提に即挿入を望んだ。

ヒスイも同じ気持ちであることを願って、早くもスカートに手が伸びる。

こくり、ヒスイも強く頷いた。

穴を捧げる準備はとうにできている。

コハクもそれを見越して言い出したのだ。

草の上にヒスイを寝転ばせ、お騒がせな秋の新作下着を脱がせる。

昼間は見ていることしかできなかったヒスイの女性器を、これから、指で、舌で、ペニスで、愛し尽くせる悦びに眩暈を覚えながら、コハクはズボンを下ろした。

 

本日は、正常位。

 

「じゃあ、入れるね」

開脚したヒスイの太ももを撫でながら、挿入に臨む。

「ん、んぅ・・・」

膣口をペニスの先で拡げると、中からとろりと濃蜜が垂れてきて。

「・・・いい子だね、ヒスイ」

コハクの囁きと共に、ゆっくりと、奥まで到達するペニス。

「あ・・・くっ・・・」

享受したヒスイが呻いた。

そしてコハクも。

「っ・・・」

ペニスに染み込んでくるヒスイの愛液。

温かく包まれ、改めて、そのありがたみを実感する。

「あ・・・おにい・・・ちゃ・・・」

「ヒスイ・・・好きだよ」

込み上げる愛しさは、言葉では到底伝えきれないのだが、やっぱり今日も言ってしまった。

「おにいちゃん・・・てば・・・」

挿入されたペニスの熱で全身に汗を滲ませながら、ヒスイが笑った。

「うん」

微笑み返すコハク。

ヒスイに覆い被さり、もう一度唇を重ね。

昨日今日と苦戦続きだった吸血えっちを振り返り、言った。

 

 

「おあずけばっかりだと、奥が渇いちゃうよね」

 

 

「今、あげる」

次の瞬間から、激しく腰を振り始めた。

「あッ・・・ああッ!あッ!あッ!んんんっ!!あッ!あッ!」

前戯の中出し・・・我慢する気もない。

愛しいヒスイの濡れ肉に迷いなく突き込んで・・・ぐしゅぐしゅと音を鳴らす。

「あッ、あッ、あッ、あッ、あ・・・!!」

コハクのペニスは毎回ヒスイの奥に届き、渇いた子宮を刺激した。

「うく・・・ッ!いッ・・・う・・・ッ!!」

ヒスイはコハクのシャツを掴んで、引っ張って、喘いで。

 

「あんッ、あんッ、あぁぁんッ!!」

 

興奮したヒスイがコハクの動きに合わせ腰を揺らすと、擦れ合う音が更に大きく響いた。そして・・・

「あッ!あ!あぁぁんッ!!あ・・・」

ヒスイの総身が震え、膣内の収縮が始まると。

「あ・・・おにぃ・・・ちゃぁん・・・」

子宮へ向け、コハクも思いきり精液を射ち放った。

「・・・わかる?ヒスイ」

射精したことを告げ、上からヒスイの頬を撫でるコハク。

「ん・・・っ・・・あつい・・・よぅ・・・おにいちゃ・・・」

 

 

 

愛液と精液を混濁させたまま、2回目へ・・・ところが。

草の上でヒスイは横を向き、丸くなってしまった。

仰向けに戻そうとすると拒むのだ。

「ヒスイ?まだ無理?」

「ちがうの・・・なんか・・・ホントにお兄ちゃんなんだな〜って思ったら、急に恥ずかしくなってきちゃって」

無我夢中に求め合った1回目とは違う。

昼間の自慰行為が影響しているのか、解禁になったコハクとのセックスに並々ならぬ悦びを感じているようだ。

「ヒスイ・・・」

淫乱で、純情。この二つの顔が何とも愛おしい。

「ひぁ・・・っ!?」

コハクが首筋を舐めるとヒスイは真っ赤になって。

「あっ・・・ちょ・・・まっ・・・」

服の上から胸を揉むと恥ずかしがって暴れる。

「くすっ・・・大丈夫だよ。さっきみたいにすぐ入れたりしないから」

そんなに緊張しないで、と。

一層火照ったヒスイの頬にキスをして。

2度目のえっちは、指での愛撫から。

 

 

「んっ・・・!!」

(おにいちゃんの指が・・・)

 

 

コハクの指が割れ目に触れた瞬間、両目をつぶるヒスイ。

「あ・・・はぁ・・・ぁ」

優しく弄られる股間からゾクゾクするような快感が全身へ広がる。

(お兄ちゃんに触ってもらうのが、すごく嬉しくて・・・気持ちいい)

「んふ・・・ぅ・・・んん・・・ッ!!」

このまま止まらなくなってしまうのではないかと思うほど。

膣内でコハクの指が動く度、愛液が溢れて、垂れて。

後孔を伝い、草の上に落ちた。

「脱がなくてもいいから、ちょっとだけこっちも・・・ね」と。

コハクはヒスイのキャミソールを捲り、ブラジャーを少し上にずらし、そこからちょこんと覗いた乳首を吸った。

「あッ・・・あぁぁんッ・・・」

乳輪からてっぺんまで、コハクの舌が這い回り。

不意の舌戯に驚き、中が締まる寸前。

コハクの指が抜ける・・・入れ替わりで、硬直ペニスが押し込まれた。

「!!はぁうんッ!!おにいちゃ・・・!!」

1度目の余韻を引き摺ったまま、再び芯を貫かれ、腰を揺さぶられる。

「あふっ・・・!!だ・・・だめ・・・」

「いいよ。朝まで・・・何度イッても」

コハクは優しくヒスイの頭を撫で、絶頂を促した。

 

 

「おにいちゃ・・・だいすき」

「僕もだよ・・・大好きだ」

 

 

コハクは逆流を承知で、ヒスイの中に大量の精液を注ぎ続けた。

ヒスイは、二度、三度、四度・・・と連続で絶頂を極め、喘ぎ疲れ、声もなく。

緩んだ唇の端から唾液をこぼしながらも、恍惚とした表情で両脚を開き、朝までコハクに突かれていた。

 

 

・・・一晩森の中で過ごし、日曜日の朝。

 

 

「という訳で、こちらに戻ってきちゃいました」と、コハク。

「・・・・・・」

こちら、モルダバイト城。無言で迎えるのはオニキスだ。

積もる話をするため、帰宅せず引き返してきた夫妻。

徹夜で屋外えっち・・・寝不足のヒスイは大欠伸をしている。

「今回の件は“魔女の遺言”が関係していると思います」

「“魔女の遺言”だと?」

オニキス以下、集結メンバーが揃って難しい顔をする。

「それを今からお話します・・・っと、その前にお風呂をお借りしたいんですが」

「いいだろう」

そう答えたのは、オニキスではなくシトリンだった。

「ただし、別々だ」

「別々?」不思議そうな顔でコハクが聞き返す。

するとシトリンが大声で言った。

「二人だとイチャついて長風呂になるだろう!!」

「くすくす、それもそうだね」スピネルが賛同し、周囲も頷く。

「母上は私が引き受ける!!」

「え?シトリン??」

「さあ、母上。私と風呂に入ろうな!!」

シトリンは強引にヒスイを引き摺り、王妃専用の浴室に向け歩き出した。

(まあ、母娘だからいいか)と、コハクが折れて、シトリンに一言。

「優しく洗ってあげてね」

 

 

「百も承知だ!!いいか!!30分だ!!わかったな!?」

 

 

(相変わらずせっかちだなぁ・・・)

宣告されたコハクは思わず苦笑い。

「わかった。じゃあ・・・」

 

 

30分後に、ここで。

 

 

 
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