世界に愛があるかぎり

番外編

君と僕の昼と夜

微エロ。(一言で終わり!?)



ヒスイを辱めれば辱めるほど自分のものになっていくような気がする。
愛しているのに・・・大切なのに・・・時折ひどく残虐な気持ちになって、めちゃくちゃにしてしまいたくなるんだ。

ファントムの本拠地。
使い古したベッドの上で二人は今夜も愛し合う。

  

「や・・・こんなこと・・・できない・・・」

コハクが用意した鏡の前で足を開くヒスイ。
後ろからコハクに押さえられ、無理矢理そうされている。

「自分でできるよね・・・?ほら、ちゃんと指を動かして・・・」

ヒスイの指はもうヒスイの中に入っている。
その姿を鏡に映して楽しむ。
ヒスイは恥かしさのあまり、ぽろぽろと涙をこぼしながら慣れない手つきで指を動かしている。

「ん・・・んっ・・・」
「そうそう。いい調子」

コハクは甘い声でヒスイを褒めた。

「・・・もっと足を開いたほうがいいね」
「や・・・っ・・・」

ヒスイはビクリとして背中をのけぞらせた。
コハクは優しく微笑んで容赦なくヒスイの足を広げた。
表情と行動のギャップが激しい。
最近特にそうだ。

「・・・もう・・・ゆるし・・・て・・・」
「ヒスイ・・・僕のいうことが聞けないの?」

耳元で囁く・・・。
少し声を低くして脅しをかければ、驚くほど素直に従うのだ。
それに気が付いてからは、こういう場面で活用していた。

「ひとりでイッてみて」
「ん・・・んんっ・・・。はぁっ」
「キモチよくなってきたでしょ・・・?」

ヒスイは抗って首を横に振った。

「おにいちゃんの・・・ほうが・・・いい。おにいちゃん・・・おにいちゃん・・・」

泣きながらコハクを求める。
その姿の愛おしさにコハクはヒスイの手を握り、ヒスイの中から引き出した。
ねっとりと汚れたヒスイの指を満足げな顔で舐める。

「ちょうだい・・・おにいちゃん・・・」

理性が振り切れ、ヒスイは軽いトランス状態に陥った。
本能に忠実な獣のように体をしならせてコハクを誘う。

「はやく・・・もう・・・待ちきれない・・・よぅ」

催促されるのは嬉しい。

(もう少し苛めてやろうかと思ったけど・・・)

コハクはヒスイの腰に手をかけた。
そして後ろからヒスイの中に入った。
ヒスイは待ってましたと言わんばかりに、するりとコハクを飲み込んだ。

「んん〜っ・・・はぁっ」

両手でシーツを掴んで恍惚な表情を浮かべるヒスイ。

「あ・・・あぁ・・・」

滴り落ちる愛の雫。
ヒスイは牙を剥きだして喘いだ。

「あ・・・ん」

激しく軋むベットの音に合わせてヒスイが声を漏らす。
しばらくそれを繰り返した後・・・

「あっ・・・う・・・!!」

ヒスイの声と軋む音が同時に絶えた。

「おにい・・・ちゃん・・・」
「ヒスイ・・・」

突然静かになった部屋で二人はぎゅっと抱き合った。

  

空が白んで、窓辺がほんのりと明るくなった。
ヒスイは体を丸めて熟睡している。

(・・・穢しても穢しても、朝になればまたキレイなキミに戻るから・・・何度でも・・・穢したく・・・なる)

コハクは服を着て上からヒスイを覗き込んでいる。

(こんなことを考える僕は、やっぱり変態かな・・・)

客観的な視点でみると自分のことながらまともとは思えない。

(まぁ・・・いっか)

「・・・っと洗濯。洗濯」

汚れたシーツを持って外に出る。
人目につかないうちに済ませてしまおう。
今日は天気も良さそうだ。

(替えのシーツ、家からたくさん持ってくればよかったなぁ・・・)
  

コハクが部屋に戻ると、ヒスイは起きていて、お湯を沸かしていた。
当然のようにコハクのシャツを着ている。

「おはよ。お兄ちゃん」
「おはよう。ヒスイ」

ヒスイが沸かしたお湯でコハクが紅茶を入れた。
二人の朝はこれがないと始まらない。

「はい」

紅茶の入ったマグカップ。
これは家から持ってきた。
ヒスイが子供の頃から使っている、真ん中にアヒルの絵が入ったカップ。

「わ〜いv」

ヒスイはそれを両手で受け取ってふぅふぅと息を吹きかけている。
無邪気で可愛い、と毎朝思う。

(してる時はこんな顔、しないもんなぁ・・・)
  

朝、この顔を見ると、また穢してしまうのが少しもったいない気もしてくる。

「・・・好きだよ」
「え?なあに?突然・・・」

ヒスイは大きなカップで顔を隠して照れている。

“好き”“愛してる”

気持ちを伝える言葉はいつもすらりと出る。
コハクは爽やかな笑顔でヒスイを見つめた。

「わかってるよ〜だ」

最後の一口を飲み干してから、ヒスイは舌を出して笑った。

「歯!磨いてくるっ!」

そんな自分にまた照れて、席を立つ。
少し赤い顔のまま、スリッパをパタパタさせて洗面所に向かった。
が、途中で足を止め、角からひょっこり顔を出して

「私も・・・スキ」

と小さな声で言った。
パタパタパタ・・・。

(可愛いなぁ〜・・・)

遠ざかってゆく足音を聞きながら、コハクは腕を組んで笑った。

笑ったり、怒ったり、照れたり、拗ねたり。
“昼”しか見られない顔がたくさんある。
だけどそれじゃ足りなくて、“夜”には“夜”の顔が見たいと思う。

「そんなの・・・好きなら当たり前だ」

どっちが欠けても成立しない。
やっぱりどっちも必要なんだ。

昼のキミも夜のキミも。

コハクはカップを片付けて、部屋の窓を開けた。
新しい風が吹き込んで、昨晩の乱れた空気を浄化する。
大きく息を吸って、コハクは懲りずに気合いを入れた。

(よし!今夜もやるぞ!)



+++END+++

ページのトップへ戻る