世界に春がやってくる

イズ×ジョール

してもいい?

文:ハルヒナノ。様


ピッチュ。チッ。チッ。


薄紫に染まり初めた空。

遊んでほしいと、気の早い小鳥たちが、窓のそとで鳴いている。


まだ早いよ。

もう少し静かに待ってて。


だってじょーるが起きちゃう。 

今日はせっかくお仕事がお休みなのに。

ゆっくりと寝かせてあげたいのに…でも…。 


ちょっとだけ…。

ちょっとだけなら、触ってみてもいいかな?

昨日からずっと、ずっと触りたかったんだ。

でも、お城が忙しくて・・・帰ってきたらすぐ寝ちゃったし・・・。


爪を短く切った薄桃色の指先だったら…。

触れてもいい?



とても柔らかくてちょっと冷たい。

ねえ、ちょっとだけキスしてもいい?


ああ・・・甘い。 


どうしてじょーるは、指先だってこんなに甘いんだろう? 

だから止まらなくなっちゃう。


そのまま、食むように手のひら、白い腕の内側にキスをする。

ぴくりとじょーるの眉が動くけど・・・甘くて甘くて止められない。 


かすかに動いた眉だって、瞼だって鼻の先だって…ほらこんなに甘いから…。 

もっともっと確かめたい。

んって言うその紅い唇なんて甘過ぎて・・・今度は喉が渇いて欲しくなる。

じょーるの濡れてる口の中を…。

もっともっとキスをして、渇いた喉を潤したいけど・・・。

甘い唇から、少しだけ離れる。 


「おはよう」 


潤んだ紺色の瞳で、僕を見つめるじょーるに、朝の挨拶をしないといけないから。


「えっと…おはよう…ございます。イズさん」


ほんのり頬をピンクに染めるじょーるはとってもきれい。 

だからじょーるに頼んでみよう。 


「ねえ…じょーる」 


だってもう我慢できない。


「……してもいい?」


+++END+++


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