世界に春がやってくる

短編(No.25)

アクア×メノウ



『アクアの欲しいもの』 文:yuri様


アクア 4才
 好きなもの。
ママ、ジストおにいちゃん、お昼寝、パパの甘いおやつ。
 嫌いってまだ知らないの。

アクア、おんなじ髪のママとジストおにいちゃんとお昼寝するの大好き。
ママ、とっても綺麗。ママの抱っこは甘い匂いがしてあったかくて柔らかくて大好き。
ママとおにいちゃんに囲まれて銀色の光の中でお昼寝するととっても幸せ。

 幸せなお昼寝からふと目が覚めると、ママの姿が無い?なんで?ママがいないとアクア寂しいよ。
 寝ているおにいちゃんを置いて、ママを求めて家中を探していると、見つけたママは
 パパの腕の中にいました。

なんで?なんでママとっても幸せそうなお顔しているの?アクアを置いていかないで。
ママ、アクア悲しい、とっても悲しい。
 泣いたけれど、ママもパパも気づいてくれない。二人でアクアを置いて幸せそうに寝てる。
なんで?ママはアクアと一緒にいてくれなきゃやだよう。

 「アクアどうしたの?」
ママと同じ顔のあんまりお家に居ないおじいちゃんが頭を撫でてくれました。
 「アクアはママがいないと寂しいのに、ママはパパと二人で幸せそうなの。
アクア置いてかれるのやだよう」
 「そうか、そうか」
おじいちゃんは優しく抱っこしてくれました。
 「アクアからママを盗るパパ嫌い、パパ嫌い、大嫌い」
 嫌いって何のことか分かった、嫌いって悲しい気持ち。
 「そうか、そうか」
おじいちゃんは相槌だけ打ってアクアを撫でていました。
 段々、悲しい気持ちがおさまって、涙も出なくなりました。
 「アクア」
おじちゃんは優しく話し始めました。
 「アクアはね、ママがパパを大好きな気持ちと、パパがママを大好きな気持ちから
生まれたんだよ。アクアは二人の好きって気持ちの塊だから、悲しむことは何も無いんだよ」
おじいちゃんは優しく優しく話してくれました。
 「アクア分からない」
だって、今とっても悲しい。パパがとっても嫌い。
 「そうか、まだ分からないよな、アクアがおっきくなって、すごく大好きな人が出来たらきっと分かるよ」
 「大好きな人ってなに?」
 「ママよりパパよりおにいちゃんより、ずっとずっと好き、一番好き、何よりも好きってことだよ」
 「わかんない」
わかんないわかんないと拗ねるアクアを、おじいちゃんはずっと抱っこしてくれて、アクアは
 おじいちゃんのあったかい腕の中で幸せな眠りにつき始めました。
おじいちゃん優しい、好き。
アクア、大好きな人が欲しいなぁ。大好きな人が、パパがママにしているようにアクアを幸せそうに
抱っこして欲しいの。
 抱っこしてくれる人と幸せな気持ちでお昼寝するの。


アクア4才
 好きなもの。
おじいちゃん、ママ、ジストおにいちゃん、お昼寝、パパの甘いおやつ。
 嫌いなもの。
パパ。

 欲しいもの。
 大好な人!パパみたいにお料理上手になったら、大好きな人に大好きになってもらえるかしら?



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