World Joker

短編(No.31)

ご三家×ヒスイ



学園祭の目玉。PTAによる出し物は演劇だった。
 演目は『赤ずきん』だ。


 道草していた赤ずきん。
 先回りして、おばあちゃんになりきる狼。
 本物のおばあちゃんはとっくにぺろり・・・腹の中だ。

ここまでは順調だったのだが・・・

狼が赤ずきんを待っていたのは、食べる為ではなかった。
 恋・・・してしまったのだ。
 狼トパーズは赤ずきん姿のヒスイに萌え、勝手にシナリオ変更。


 「どうしておばあちゃんのお口はそんなに大きいの?」
 「お前を食うためだ・・・が、やめた」


 「へ???」
 台本と違う展開に焦るヒスイ。
 「来い。嫁にする」
トパーズがヒスイの手首を掴んで引っ張る。
せめて舞台の上で、ヒスイとハッピーエンドを迎えたかったのだ。
 赤ずきん二次シナリオ。アドリブで演りきる自信があった。
 「え?ちょ・・・トパ・・・お、オオカミさんっ!!?」
つい素に戻ってしまったが、必死に演技を続けようとする赤ずきんヒスイ。


そこで・・・


「ちょっと待ったぁ!!」
 颯爽と、猟師役のコハクが登場した。
ところが、大きな問題が。
 関係者一同びっくり仰天だ。
 舞台裏のおばあちゃん=オニキスが深い溜息と共にツッコミを入れた。


 「・・・どこの王子だ・・・お前は・・・」


 通りすがりの猟師とは思えない煌びやかな衣装。
その姿はまさに王子。
 「美しいお嬢さん、これを・・・」
しかもコハクが懐から取り出したのは、ガラスの靴。
シナリオ変更どころか、全く違う話になっている。
これには会場騒然。
 「え?ちょ・・・おにぃ・・・じゃなくて、通りすがりの猟師さん!!?」
 「違うよ」
 赤ずきんヒスイにサイズぴったりのガラスの靴を履かせ。
 「キミを探していたんだ!」と、熱く叫ぶ。
 「さあ、僕と一緒に行こう」


 「ちょっと待て」


ハッピーエンド計画を邪魔されたトパーズが黙って見過ごす筈もなく、狼VS王子、
 赤ずきんの取り合いに。
 互いに譲らず、自分の方へとヒスイを引っ張る。


 「お前はこっちだ」
 「いや、こっち」


と、くればお次は・・・


 ビリビリビリ!!


ずきんやら下に着ていた洋服やらが見事に裂かれ。
ステージの上、ヒスイのランジェリーがお披露目となった。


 「いやぁっ!!」
 「ヒスイ!!」


 舞台裏でひたすら呆れていたオニキスが慌てて飛び出すが・・・
 おばあちゃんの衣装の裾に躓き・・・
「ちょ・・・オニキス!?じゃない、おばあちゃ・・・!!」
そのままヒスイを押し倒す。
 「んむっ!!」
 更に、不可抗力のキス。


 会場は別の意味で沸き上がり、動揺したルチルの声と共に幕が降された。





しばらくおまちください。





+++END+++


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