番外編

ブルーディ・ラブタイム

 

人間界で暮らす吸血鬼の間で、摩訶不思議な病が流行った。

内臓機能が、人間そのものになる病。
命に関わるものではなく、特に治療は必要としない。
数日で元に戻るが、中には稀に、人間女性特有の出血・・・生理の症状が現れることがあるという。

「お・・・おにいちゃ・・・なんか血出た・・・」

ヒスイは真っ青になって、トイレから顔を出した。
出血量はさほど多くないようだが、初潮経験に吸血鬼でも狼狽える。
ところが。

「どれどれ、お兄ちゃんに見せてごらん」

駆け付けたコハクは、はつらつとして。
ヒスイを抱き上げ、ベッドへ連れて行った。
いわゆる生理中でも、セックスができることは知っている。
一生に一度かもしれない、この機会を逃す気はない。

「え?おにいちゃ・・・」

まさか、という顔をするヒスイ。

「うん、そのまさか」

コハクは容赦のない笑顔でヒスイを押し倒し、強引に唇を奪った。

「!!」

あまりの展開に、驚き、目を見開いたままのヒスイ。
当然口のガードも緩く、すぐにコハクの舌が入ってきた。

「は・・・んッん・・・」

口の中を愛撫され始めると、ぽわんと頬を染め、虚ろになって。
服を脱がされ・・・また、コハクが脱いでいることにすら気が回らない。

「お兄ちゃんのお願い、聞いてくれるよね?ヒスイ」

甘く危険なコハクの囁きに、ヒスイは頷いてしまった。

「ヒスイ、今日はこれ使って」

と、コハク。
上半身に大きめのタオルをかけて、いつでも顔を隠せるようにしてやる、と。
ヒスイはすぐタオルの縁を両手で掴んで、目の下まで引き上げだ。
膣口から血が滲む・・・こんな時にエッチをするのは、やっぱり恥ずかしいのだ。

「中、触られるの嫌?」
「や・・・じゃないけど・・・血・・・ついちゃう・・・よ?」

するとコハクは、タオルから出ているヒスイのおでこにキスをして。

「そんなこと、気にしないよ」

ヒスイを愛し尽くす意味では、むしろ大歓迎だ。

「したい、って言い出したのは僕の方なんだから、ね?」

コハク的には萌えまくりのシチュエーションだが、ヒスイに人格を疑われてはなるまいと、ここはあくまで紳士的な振る舞いを心掛ける。

「脚、自分で開ける?」
「ん・・・」

ヒスイは恐る恐る両脚を広げた。

「ちょっとでも痛かったら言ってね」

人差し指と中指と。
念のため、ローションをたっぷり纏わせてから、少しずつ膣入れしていく・・・

「あッ!!!」

と、体を強張らせるヒスイ。
第1関節でひと声上げてから。

「う〜・・・ッ」

タオルを噛んで。
第2、第3関節と、コハクの指を受け入れる。が。
緊張のせいか、いつもより鋭利なものに感じて。
また声を上げてしまう。

「あッ・・・あぁッ・・・!!!」

コハクの指に適応すべく、膣から溢れ出したものが、血液なのか愛液なのかもわからず・・・自分で確かめる勇気もない。

「お・・・にいちゃ・・・」
「うん?」
「わたしの・・・なか・・・ちゃんと・・・ぬれてる?」
「うん、濡れてるよ」

優しい口調でそう言って、コハクが指を動かす。

「あッ・・・んんッ・・・」

V字に開いた指と指の間から、血液と混ざった愛液が大量に流れ出てきていた。

「・・・・・・」
(う〜ん・・・大丈夫かな?)

グチュ濡れしてはいるが、膣粘膜が相当弱っている様子で。
ちょっとした刺激で、どんどん血が出る。
コハクは早目に指を抜き。
愛撫のポイントを変更した。

「ちょっとこっち捲っていい?」
「ん・・・」

コハクがタオルをたくし上げる・・・と、そこにはヒスイの乳房。
続けて、かぷっ!乳首に口を被せられ。

「あ!んんッ!!」

コハクの上唇と下唇の間で、激しく舌が往復する。

「あ・・・あぁぁ・・・」

レロレロレロレロ・・・舐め回される乳頭。
先端の微かな開口部から、乳腺の中まで快感が流れ込んできた。

「んッ・・・あッ・・・」
(おっぱい・・・きもちぃ〜・・・)

もう一方を揉まれながら、背中にじんわり汗をかく。

「あッ・・・はぁ・・・」

ヒスイはタオルから手を離し、その手を下腹へ持っていった。

「はッ・・・はぁッ・・・あ〜・・・」

膣内はもう充分に満ちていて。
こうしていると、潮騒が聞こえてきそうだ。
赤潮だとしても。
ペニスに突かれて、思いっきり噴き上げたい。

「ん・・・ふぁ・・・おにぃちゃぁ〜・・・」

切望し、喘ぐヒスイ。
今までほとんど目をつぶっていたが、うっすら開いてみると、コハクの隆々としたペニスが見えて。

「!!あ・・・くッ・・・」

きゅぅぅぅん!と。
まだ何もされていないのに、擬似的快感が股間を貫く。

「うッ・・・おにい・・・ちゃ・・・」
「血がいっぱい出ちゃうかもしれないけど・・・いい?」
「いいよ・・・おにいちゃんがいいなら・・・いい」
「僕の血、あとで好きなだけご馳走するよ」

と、コハク。
ヒスイの唇から頬、耳朶、そして髪の中までキスをして。
愛を囁いた。

「んッ!!!」

正常位でも。
生理中の膣への挿入は、チクリとした痛みを伴い。
ヒスイが眉を寄せたのを、コハクは見逃さなかった。

「やっぱり痛い?」
「ん・・・ちょっと・・・でも、へいきだよ」

ヒスイは睫毛を伏せ、小さな声で言った。

「おにいちゃんの・・・だもん。すぐに・・・きもちよく・・・なるよ」

その発言とともに、ちゅくんッ、膣が窄んで。

「!!ヒス・・・」

見るともう、ヒスイはタオルの下に潜ってしまって。
照れているのがわかる。

(ヒスイぃぃぃぃ!!!!なんて可愛いんだ!!!)

超絶萌えだ。
あまりの興奮に、思わず腰を揺すってしまう。

「んッ・・・あ・・・おにぃ・・・」

(ああ、これは・・・なんて表現したらいいのかな・・・)

愛のままに。
真紅の薔薇を蹂躙しているようだ。
美しく重なった朱の肉が、ペニスと絡んで、捲れて、捩じれて。
何とも神秘的な、桃色の蜜が滴る。

「あッ・・・っあッ・・・」

(まずいなぁ・・・)

痛みと快感に翻弄されるヒスイにますます夢中になってしまう。
膣を開くと、毛穴も開いて。
全身から発汗し、ヒスイの肌はツルツル・スベスベ、極上の手触りとなるのだ。
とはいえ、この出血。
長引かせるべきではないのは一目瞭然だった。

「お・・・おにいちゃ・・・」

ヒスイも切羽詰まっていた。
ペニスと盛んに交わっている間、もがいて、もがいて。
足の指でシーツを皺くちゃにして。

「あ・・・はぁ・・・」

肩で息をしながら、今すぐにでもイキたそうにしている。

「・・・・・・」
(できればこの手は使いたくなかったけど・・・)

絶頂への道のりを短縮するため。
次の瞬間〜コハクはヒスイのタオルを剥ぎ取った。

「!!」

コハクの顔を見上げ、ヒスイは耳まで赤くなった。
隠れ場所を突然奪われたことにより、一気に羞恥心が高まったのだ。
もうそれだけで絶頂に逃げたくなる。

「あッ・・・やぁッ・・・!!」

締まる膣から素早く抜け出たペニスが、
ブチュッ!!
と、再度挿入された。

「ひッ!!あぁぁぁッ!!!」

グチュッ!!グチュグチュグチュ・・・
イキかけの膣を、強制かつ大胆に拡げられ、血飛沫が上がる。
シーツには赤ワインを零したようなシミができていた。

「あ、ああぁぁぁぁッ!!ひぃ・・・んッ!!!!」

倒錯した快感に、身体より先に精神が達し、一瞬頭の中が真っ白になった・・・が。

「ヒスイ、こっちがまだだよ」

コハクの呼び声とペニスの熱が気付けとなって、すぐに意識が戻る。

「あ・・・おにぃ・・・んあッ!!」

腕を交差させ、必死に顔を隠そうとするヒスイ。
コハクはそれすらも阻止して、ヒスイの唇を本気で吸った。

「!!!んはッ!!!」

そこで・・・身体も達し。
出血しながらも、ペニスを絞る。

「んッ・・・あ・・・おにい・・・ちゃん・・・」

タオルを没収してから、僅か1分足らずでヒスイをイカせ、その膣に射精するコハク。
臙脂に染めてしまった壁を、白く塗り替えるべく、貯蔵していた精液をすべて噴射した。

「欲張ってごめんね、ヒスイ」

無理をさせたのは重々承知だが・・・忘れられないセックスになった。
こんなことまで許してくれるのだから、自分は愛されているのだろう、と。
とても満たされた気分だった。

「好きだよ、ヒスイ。死ぬほど愛してる」

コハクがそう告げると。
ヒスイは

「嬉しいけど、死なないでね、お兄ちゃん」

と、笑った。

それからしばらくして。

「歩ける?」
「ん・・・」

体にタオルを巻き、事後の血まみれがヒスイの目に触れないよう注意を払いながら、バスルームへと連れて行く。
柑橘系のボディソープで全身を綺麗に洗い、素肌の水滴を拭き取って。
ヒスイを洗面台の上へと座らせる。

「お兄ちゃん???」

コハクは小物入れから細長い“何か”を取り出した。
袋を破ると、樹脂製のキャップを被った白い棒。
形状は針のない注射器に似ている。先が丸いのが特徴的だ。

「力まないで、じっとしててね」

コハクは親指と中指で棒を持ち、キャップごとヒスイの膣口へ挿し込んだ。

「!!ひ・・・あんッ!!!」

ツププププ・・・一定の深さまで挿入し、手を止める。

「あぅ・・・ッ・・・!!」

セックスの続きなのかと、背中を反らして困惑するヒスイ。

「よしよし、すぐに済むからね〜・・・」

コハクは、いつもの調子でヒスイをあやしながら、逆側の先端を人差し指で押した。

「!!!あ・・・んんッ・・・!!!なんかはいって・・・あッ!!」

ヒスイの膣内で、キャップの先端が割れ、そこからひとまわり小さな棒が射出された。
しっかりと膣奥に詰まる・・・新感覚。
不快ではない。

「おに・・・ちゃ、これ・・・なに???」

ヒスイの膣口から空キャップを抜き、コハクは爽やかな笑顔で答えた。

「タ○ポン、だよ」
「タ○ポン???」
(なにそれ・・・大人のオモチャ???)

初めて聞く名称だが、効果は絶大で。

「わ・・・血止まったよ!?」

一本、紐が垂れているのが気になるが、とにかくこれでひと安心だ。

「動いても平気?」

と、ヒスイ。
頷くコハクの前を、裸のまま歩く。

(ああ・・・可愛いなぁ・・・)

紐が出ているところがまた、ラブリーに思える。

「ヒスイ、おいで。冷やすのは良くないから、そろそろパンツ穿こうね」
「うんっ!!」

呼ばれて駆け寄るヒスイ。
コハクにドロワーズを穿かせて貰ってから、抱っこでベッドへ向かう。
下腹が少し重く・・・なんだかとても眠い。

「今夜は、お赤飯炊こうね」

と、コハク。

「お赤飯???なんで???」
「人間界ではそういう風習があるらしいんだ。とてもおめでたいことだから」
「へ〜・・・でも・・・」

ベッドの上。
ヒスイは珍しく畏まって言った。

「人間の女の子って・・・大変だね」

 

+++END+++


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