World Joker

番外編

カミナガヒメ

コハク(+アイボリー+ジスト)×ヒスイ

[前編]

赤い屋根の屋敷、リビング――

いつものように過ごしているヒスイに、アイボリーが言った。
「なー、ヒスイ」
「んー、なに?」
「俺さ・・・」


「“髪コキ”やってみたいんだけど」


「・・・は?」
クッションから顔を上げ、ヒスイが聞き返す。
言葉の意味がわかっていない様子だ。
アイボリーは、クッションの側でしゃがみ込み。こう説明した。
「ヒスイの髪を、ひとりえっちに使わせて、ってこと」
「髪???」
ヒスイは少し考えてから。
「私は別にいいけど、お兄ちゃんに聞いてみないと・・・」
「じゃ、コハクんとこ行こうぜ!」
「うん」




コハクは一階のバスルームにいた。
その手には、デッキブラシ。掃除中なのだ。
「――で、あーくんが“髪コキ”っていうの?試してみたいんだって」と、ヒスイ。今日も暢気だ。
「・・・・・・」
コハクは当然、どういうものか知っている。
「・・・じゃあ、あとは、あーくんと僕で話すから」
「ん!」
男同士の方が良いと思い、ヒスイはそそくさとその場を去った。

そして――

コハクがリビングにやってきた。
「お兄ちゃん!どうだった?」
駆け寄るヒスイにキスをして。
「部屋で待ってて」
「うんっ!」




夫婦の部屋にて。ヒスイ。

(お兄ちゃんもするのかな?)
だったら〜と、ドレッサーの前で髪を梳かす。
ヒスイの、健康的で艶やかなロングヘアは、コハクの日々の努力の賜物だった。
そこには、愛情が宿っている。故に、大事にされているのだが・・・
(これを、お○ん○んに巻くのよね???気持ちいいものなの???)
「・・・ま、いっか」


「ヒスイ、お待たせ」
間もなくして、コハクが姿を見せた。
アイボリーも来るのかと思いきや、コハクひとりだ。
「あれ?あーくんは?」
コハクはにっこり笑ったっきり、答えない。
そのうえ、いきなりヒスイの唇を奪った。
「んっ!?ん・・・」
頭を撫でながら引き寄せ、キスを深くする。
「ん・・・ふ・・・」
驚きながらも、ヒスイは応じ。口の中に、コハクの舌を迎え入れた。
「はぁはぁ・・・」
舌と一緒に、唾液が絡み合う。
それが段々と粘りを増し、互いの口内から、いやらしい音が漏れ出す。
ちゅっ・・・ちゅくっ・・・くちゅくちゅ・・・ちゅ・・・
いつしか、唇同士のキスから、舌同士のキスになり。
とろとろ・・・どちらのものかわからない唾粘液を垂らしながら、舌と舌を擦り合わせ、時には舌で舌を舐め合った。
「は・・・はぁ・・・」
疑問は、キスで痺れる頭の隅に追いやられ。
ヒスイはもうすっかりその気になって。
シャツを脱がされるのにも、無抵抗だった。


ベッドインと同時に、コハクは仰向けになったヒスイの上に乗り。
「はぁはぁ・・・おにちゃ・・・んッ!!」
早くも緩み始めたヒスイの膣口を撫でながら、空いた手で、乳房を愛でた。
「あッ・・・!!」
コハクの手が軽く触れただけで、乳首がぷっくりと膨れ。
「んッ・・・!!」
指先で摘まれたり、捻じられたりしているうちに、先端の乳管が開き・・・コハクがそこにキスをする。
それからたっぷりと唾液を塗り込められた。
「は・・・はぁぁ・・・ッ!!」
乳管から乳腺へ流れ込んでくる快感。
胸の奥が快感で満たされたところで、それを馴染ませるように、優しく揉みあげられる・・・
「あ・・・んぅ・・・あ・・・はぁはぁ・・・」(おっぱい・・・きもちい・・・)
一方で、濡れた膣口の上をヌルヌルと、コハクの指が滑る。
「はっはっ・・・は・・・!!」
どちらも甲乙つけ難い快感で。ヒスイの息が上がっていく・・・
白肌は朱に染まり、しっとりと全身に汗が浮いていた。
そんなヒスイの姿を見ながら、コハクが上着を脱いだ。
「さっきしたばっかりだから、大丈夫だとは思うけど、一応慣らしておこうね」
左手でベルトを外し、勃起ペニスを出すまでの間、ヒスイの膣に右手の指を二本入れ。
ぐちぐちぐち・・・ぐぱぁ・・・奥までペニスのサイズに拡げた。
「あッ!!あぁッ!!」
張り詰めたヒスイの声を聞きながら。
「好きだよ、ヒスイ」
ちゅっ。額へのキスと愛の告白を済ませ。
コハクは、指とペニスを入れ替えた。


「あ!!あぁぁぁ!!!」


ちゅ・・・ちゅちゅちゅちゅちゅ・・・!!膣襞に亀頭が片っ端からキスをする。
「あ・・・はぁ・・・んッ!!」(おにいちゃ・・・すき・・・すき・・・すき・・・っ!!)
亀頭にキスされた膣襞はメロメロになって、逞しい幹に付き従った。
「んはぁ・・・」
カラダの内側から、コハクのものになっている感覚にゾクゾクする。
これから訪れるであろう浮遊感に先駆けて、視線が上方を漂う。
「あッ・・・あッ・・・」
続けて、全身がビクビクし始めた。
もともと残っていた快感に、新たな快感がプラスされ、あっという間に一線を越えてしまったのだ。
「イッ・・・イクッ!!いっちゃ・・・!!」
ヒスイが絶頂を訴える中。
「もう迎えにきてくれたの?」と、挿入を終えたコハクが微笑む。
子宮が降りてきていた。そのため・・・
「!!ひッ!!んあぁぁぁ・・・ッ!!」
初っ端から、亀頭が子宮口にキスをする。
「んぐッ!!あ・・・あぁ・・・ッ!!」
息をつく暇もない、本気のキスを与えられ。
子宮口もまた、本気のキスを返す。
「あ゛ッあ!!あぁぁぁ!!」(おっきいの、くるっ・・・!!)
潮騒に似た耳鳴りと、痙攣。


「―――!!!!!」


絶頂ボイスを発したヒスイの喉元から、唇、舌まで、すべてが快感に震えている。
コハクはそれを自身の唇で確かめるように、ひとつひとつ口づけていった。
「よしよし、いい子だね」



夫婦の部屋の扉は数センチほど開いていた。
廊下には、アイボリーと、アイボリーに誘われたジストがいる。
コハクの指示で待機していたのだ。
「相変わらずエロいよなー・・・」と、呟くアイボリー。
「・・・だなっ!」
ジストも同感の意を示す。
「・・・・・・」「・・・・・・」
互いの股間に目を遣ると――立派な男の反応。
「父ちゃんに呼ばれるまで、我慢しないとな」
ジストが熱っぽい息を吐く。
アイボリーもまた辛そうではあったが、無駄に美しい顔で、言った。


「俺達にとっちゃ、これからが本番だぜ」

[後編]

「ん・・・」
ヒスイは、どこか愛らしさのあるカエルポーズでコハクの下敷きになり、少しの間意識を失っていたが。
「あッ・・・んッ・・・おにいちゃ・・・!!」
ヒスイの中でコハクのペニスがゆっくりと動き続けていた。
そのおかげで、愛液にも快感にも不自由しなかった。
「あ・・・はぁ・・・ん」(お○ん○ん・・・まだはいって・・・る)
「おかえり、ヒスイ」と、コハクが笑ってキスをする。
それから、拡げた太腿に乗せた腰が弾みを増し、ペニスの律動が強まった。
「あッ!あッ!はぁ・・・ッ!!」
膣の中はぐちゃぐちゃに蕩けて。
「あッ・・・うぅッ!!」(ぐちゃぐちゃ、きもちい、きもちいぃ・・っ!!)
ヒスイはすぐさまそれに溺れていった。
「あッ、あッ、あッ、あ!!あぁ・・・んッ!!」


「ひぃ・・・ッ!!あ!!!」


イキっぱなしの子宮を突かれる度、軽く意識が飛んだが、それでも交わりを止めようとしない。
「あんッ!あんッ!あぁ・・・ッ!!」
一層愛液で膣を濡らし、嬉しそうに腰を振って、淫らに堕ちてゆく・・・
「おにいちゃ・・・あッ!!ひッ!!おにい・・・んう゛ッ!!おにいちゃぁ〜・・・」
カラダは馬鹿みたいに絶頂を繰り返し、視界は極端に狭くなった。
キスをくれるコハクの美貌しか見えない。
「ん・・・ふぁ・・・」
「出すね」ヒスイの耳元でそう囁き、コハクが射精する――


「――――!!!!!」


ねっとりと、エロティックな精液の放出に、夢中になる子宮。
ヒスイは声もなく。
例えるなら、吹き出しの中をハートでいっぱいにするような、そんな感じ方だった。
「v v v v v 」



「ひとまず、お疲れ様」
上体を離し、ヒスイを見下ろすコハク。
「うん、綺麗にできた」と、愛おしげに頬を撫でる。
「はー・・・はー・・・」
天井に向いた手のひら、曲げた指先が一本ずつ、ビクッ、ビクッ、と、小刻みに跳ねる。
快楽が全身に回りきっている証拠だ。
「そろそろいいかな?」
まだ硬いペニスを入れたまま、抱き起こし、正面座位へ。
用意しておいた、ふかふかのバスタオルでヒスイの体を包み、息子達を呼んだ。


足音を立てないよう、そっと入室するアイボリーとジスト。
まずはヒスイを覗き込む。
堕ちた姿が、ぞくりとするほど美しい。
(これが・・・ヒスイ・・・やっぱ綺麗だ・・・)←ジスト、心の声。
甘く翳った瞳、肌からは赤味が抜けていて。高潔にすら見える。
「これ、意識あんの?」アイボリーが尋ねた。
「うっすらね」コハクが答える。
「父ちゃん、ホントにいいの?」と、ジスト。
「いいよ、一人も二人も変わらないから、気にしないで」と、コハク。
さあ、やってごらん――優しい声で息子達を導く。
コハクが腰を揺らし、膣を刺激し始めると。
「――あッ!!おにいちゃ・・・あッあッ・・・」
ヒスイの肌はまたすぐ赤くなり。
「んふぁ・・・」
微笑みに似た表情を見せた。
アイボリーとジストの存在を気にかける様子もない。
そんな状況の中、アイボリーもジストも余裕がなかった。
手早くペニスを出して、ヒスイの髪を巻き付ける。
それで擦り上げたり、きつく締め上げたりしながら。


「あー・・・俺もう出る」
「オレもっ・・・!!」


それぞれ、ヒスイの髪に射精した。
ヒスイはというと・・・目を開けたまま、コハクとキスをしている。
グプッ!グプッ!精液の詰まった子宮を突き上げられながら、何とも気持ち良さげに。
「そのままでいいよ」
キスを中断し、コハクが言った。
「こっちはもう少しかかるから、先にお風呂入って休んでて」
「おう!サンキューな!コハク」
「うんっ!ありがとっ!父ちゃん!」
二人はコハクに礼を述べ、夫婦の部屋を後にした。
「あんだけ突っ込まれてりゃ、チ○コ大好きにもなるわなー」と、アイボリー。続けて・・・
「なー、ジスト」
「うん?」
「一緒に風呂入んね?話したいこと色々あんだけど」
「――オレも」




そして今、二人はお風呂に入っていた。
コハクが掃除していた、一階の和風風呂だ。
檜づくりの浴槽には、すでにお湯が張られていた。
並んで湯船に浸かりながら・・・二人、黙って振り返る。
「・・・・・・」「・・・・・・」
甘い匂いの充満した部屋で、美しいヒスイを見ながら、その髪を使って自慰に耽る・・・至福の時間。だっだが。
「ちょっと虚しかったんだけど、俺」と、アイボリーが切り出す。
「うん、オレも」と、ジストも続いた。
“ヒスイ”を強く感じることはできたし、肉体的にはこれ以上ないくらい興奮した、が。
ヒスイは・・・全く二人を見なかった。
「完全に意識の外、って感じじゃんか」
「・・・しょうがないよ。ヒスイが好きなのは、父ちゃんなんだし」
「コハクがOKしたのって、こーゆことか。キビシーよな、特に俺に」
アイボリーは湯船から天井を仰ぎ見て言った。
「俺達、エロ漫画でいうところの、下半身モブだろ」
聞いたジストは笑ったが・・・
「ジスト、元気ねーな。どした?」
「なんでもないよっ!あっ!オレちょっと用事思い出したっ!!」
そう言って、立ち上がる。
「用事って、おい、ジスト!?」
アイボリーを置き去りに、ジストは和風風呂から出ていった。
そのままどこへやら、だ。




それから数時間後・・・
夕日が沈みかかる頃、ジストは屋敷に戻ってきた。
ヘアケアのギフトセットを手に。
ヒスイは探すまでもなく、リビングの定位置にいた。
珍しくちゃんとルームウエアを着ている。
「ヒスイ・・・」
「ジスト!どこ行ってたの?晩ごはん、みんなで食べようって、お兄ちゃんが」
「・・・ごめんっ!!これ、お詫びにっ!!」
「え?なに?なんで???」
ギフトセットをとりあえず受け取ったものの、ヒスイは首を傾げている。
「髪、汚しちゃったから・・・」
「?洗えば済むことじゃない、別に髪の毛ぐらい・・・」


「髪の毛ぐらい、じゃない!ヒスイの一部だ!!」


ジストに熱く語られ。ヒスイの方が驚く。
「あ・・・うん・・・まあ・・・そういう考えもあるわよね」
「ヤラして貰っといて何だけどっ!!もっと大事にして!!」
「・・・うん、わかった」
ジストの切なる訴えを、ヒスイが聞き入れたところで。


「二人とも、ご飯だよ」


コハクの声。
「いまいくー!!」
ヒスイが元気よく返事をする。
「ほら、ジストも、いくよ!」と、笑顔で手を引いた。
「あ、うんっ!」(あ・・・)
揺れるヒスイの髪からは、シャンプーのいい香りがした。
「・・・・・・」
窓から差し込む夕日に、きらきらと染まる、ヒスイの長い髪。
魅力的ではあるけれど。



男を慰めるためにある――わけじゃない。



(ヒスイも、ヒスイの髪も、愛されるためにあるんだ、きっと)
ヒスイの動きに合わせ、無防備に遊ぶ毛束に、目を奪われる。
(オレはこれで充分・・・)





見ているだけで、心ときめく。


触れてはいけない、お姫様。

[後日談]

赤い屋根の屋敷、リビング――

いつものように過ごしているヒスイに、アイボリーが言った。
「なー、ヒスイ」
「んー、なに?」
「俺さ・・・」


「今度は“足コキ”やってみたいんだけど」


「・・・は?」
クッションから顔を上げ、ヒスイが聞き返す。
言葉の意味がわかっていない様子だ。
アイボリーは、クッションの側でしゃがみ込み。こう説明した。
「ヒスイの足を、ひとりえっちに使わせて、ってこと」
更にこう付け加える。
「足で、ひとりえっちを手伝って、って言った方が正しいかもな」
「足で?手伝う???」
ヒスイは少し考えてから。
「私は別にいいけど、お兄ちゃんに聞いてみないと・・・」
「じゃ、コハクんとこ行こうぜ!」
「うん」




コハクは裏庭で洗濯物を干していた。
「――で、あーくんが今度は“足コキ”っていうの?試してみたいんだって」と、ヒスイ。今日も暢気だ。
「・・・・・・」
コハクは当然、どういうものか知っている。
「・・・それ、本気?」
「超本気」
“髪コキ”が失敗だった訳ではないが、ヒスイに無視され、やはり悔しかったのだ。
「ひとりえっちは、できるだけノーマルな方向でお願いしたいなぁ」と、コハク。
「アブノーマルの宝庫に言われたくねぇんだけど」アイボリーが言い返す。
真実を軽く聞き流し、コハクは笑顔で。
「いいよ。じゃあ、二時間後にリビングで」
「おう!」

そして二時間後・・・

浮かれ調子のアイボリーがリビングにやってきた、が。
「!!」(なんだよ・・・これ・・・)
リビングには、姉のシトリン、アクア、兄のジスト、マーキュリーが揃って待っていた。
そこへまずコハクが合流した。
「父ちゃん?これ、どういうこと???」←今回、誘いを断ったジスト。
一方で。
「俺が聞きてーよ!!」アイボリーが叫ぶ。
「興味がありそうだったから、声をかけたんだ」
にっこり微笑むコハクに続き・・・
「そうだぞ!見に来てやったんだ!お前のアレをな!」と、シトリン。
「良さそ〜だったらぁ、コクヨ〜にもやったげよ〜と思って」と、アクア。
双子の兄マーキュリーは・・・
「足で、とか・・・ドMっぽいよね、あーくん」と、若干引き気味だ。
「コハクぅぅぅ!!!」(最初からコレが狙いか!!容赦ねぇ!!)
アイボリーは、コハクを恨めしそうに見上げ。
「何プレイだよ!!」と、食ってかかった。
「止める?」
憎々しく、美しく、コハクが問う。その答えは。
「やってやる!!」だった。


「十代の愛と性欲、舐めんなよ!!」


早くヒスイを連れて来い!と、息巻くアイボリー。
受けて立とうと謂わんばかりに、コハクがヒスイを呼んだ。
「ヒスイ、おいで」
「ん!」
開いた扉から、ひょこっとヒスイが顔を出し。
たたた・・・コハクに走り寄る。
その姿は相変わらず愛くるしいが・・・
「!!何だよ、それ・・・」再びアイボリーが叫ぶ。
コハクの白シャツ一枚で登場するかと思いきや、なんとデニムのスキニーパンツを穿いている。
滅多にないファッション・・・アイボリーにとっては事件だ。
(肝心なトコが何も見えねぇ!!)
萌えをゴッソリ削り取られた。しかも・・・
「さあ、始めようか」と、先に腰を下ろすコハクとヒスイ。
「だから、何なんだよぉ・・・」
アイボリーが頭を抱えて蹲る。
ヒスイは、コハクの腕の中から、両脚を伸ばしていた。
ヒスイ本人は、こういうものだと思っているらしい。
「あーくん、はやくー」と、言いながら、準備運動で足の指を動かしている。
「こんな感じでいいのかな?お兄ちゃん」
「うん、うん、上手だよ」
ちゅっ。そこでキスを交わす。
(イチャつく必要あんのか!?今!!)
アイボリーは心で嘆いた。
(色々酷過ぎるぜ・・・主にコハクがな!!)

・・・と、そこでコハクが。

「あーくん、ゴム被せるのと、ジャージ越しと、どっちがいい?」と、尋ねてきた。
上はTシャツ、下は薄手のジャージ※膝丈※のアイボリー・・・
「・・・ジャージで」
自棄になりつつ、ヒスイの前に座る。
「じゃあ、やるね!あーくん!」




シトリンは固唾を飲んで見守り。
アクアはニヤニヤ、ジストはドキドキ。
マーキュリーは・・・冷たい視線を浴びせている。
そんな中。
「はぁっ・・・はぁっ・・・は・・・」
若い美雄の、淫らな息遣い。
「大事なトコロだから、やさしく、やさしく・・・」
ヒスイは自分に言い聞かせるようにして、懸命に足を動かしていた。
「は・・・」(やべぇ・・・これ・・・)
艶めかしく滴る汗。
ジャージの裏側の勃起を、小さな足裏で押し揉まれ、指で刺激され。
何より・・・ヒスイの体温を、ジャージ越しに感じることができる。
「っ・・・ヒスイ・・・そこ・・・もうちょい強く・・・」
「ここ?」
「あー・・・イイ・・・すげぇイイ・・・」
ジャージに男の蜜が染み広がっていくところを、兄姉に見られているが、全く気にならなかった。
「はぁっ!はぁっ!」
(このままヒスイに突っ込みてー・・・)
「――っ!!」
切ない疼きに身を任せ、アイボリーは射精した。





和風風呂の一画には、足湯がある。
ひと仕事(?)終えたヒスイは、そこで寛いでいた。
(足コキかぁ・・・お兄ちゃんに協力してもらって、今度オニキスにも・・・)
吸血で欲情するのは、オニキスも同じなのだ。
誰を求めているのかも、さすがにもう、わかる。
(これで、少しは気持ち良くなってくれるかな・・・あーくんは、結構気持ち良さそうだったよね)
ゆるく足を泳がせながら、そんなことを考えていると。
「わ・・・!?」
突然、背後から抱きしめられた。
アイボリーに、だ。
シャワーを浴びた直後らしく、ジーンズは穿いているが、上半身は裸で金髪が濡れている。
「あーくん?どうしたの???」
「ヒスイ、今日はサンキューな」
「あ、うん」
「・・・俺、昔からヒスイのこと好きだって言ってるじゃんか」
「うん」
「あれ、本気だから」
「うん、でも無理」
ヒスイが即答する。
「そんくらいわかってる」
アイボリーは、思いのほか静かなトーンでそう言った後・・・


「本番ヤラせろとは言わねーけど、一生ヒスイでヌくかんな。覚悟しとけ」


一段と低い声で告げ、離れた。
「・・・・・・」(あー・・・ちょっと言い過ぎたかもしんね)
後悔しつつ、アイボリーが何歩か進んだところで。
「あーくん」
ヒスイが呼び止めた。それから実にあっさりとした口調で。
「それ、ちょっと重い」と、言った。
「ひでぇ!!」
振り向いたアイボリーは、いつものノリで笑った。
ヒスイのつれない態度に、逆に救われたのだ。
アイボリーが笑うと、ヒスイも笑い。
「でもね、こんなやりとりできるの、あーくんだけだよ」
何でも言い合える、友達みたいね――と、見上げる笑顔が可愛くて。
「・・・・・・」
(思いっきしフラれてんのに、なんで俺キュンキュンしてんの・・・そういやちょっと、マゾっ気あったっけ)
アイボリーの場合、Mを極め、むしろSに近い性質ではあるが。
「はー・・・」やるせない溜息。
「あーくん?」
「そんなこと言ってると、もっと好きになんぞ」
「え、やだ」
「やっぱ、ひでぇな!」

と、その時。

「あーくん」
マーキュリーの声に呼ばれる。
「じゃ、またあとでな!」「うん!」



「ゆ」の暖簾をくぐった先で。
「どした?まー」
「別にどうもしないけど、いつ襲ってもおかしくない雰囲気だったから」
「・・・・・・」
(どっちがだよ)と、言いたげな目でアイボリーが見ていると。
「・・・Mって、痛みを怖がらないから、もしかしたらSより勇気があるのかもしれないね」
マーキュリーが言った。
「そーか?」と、アイボリー。
「両想いの可能性がゼロだからこそ、いいポジション確保しときたいじゃんか」
そのために、当たって砕けているだけだと語る。
「それで、どうなの?」と、苦笑いのマーキュリー。



『何でも言い合える、友達みたいね』



アイボリーは、ヒスイの言葉を思い返し、目を閉じた。


“息子”より、“友達”の方が、まだ恋に近い――そんな気がするから。


「・・・ま、今んとこ、悪くねぇ」

+++END+++

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