世界に春がやってくる

15話 迷子の子猫


 

タンジェリン。愛称タンジェ。

ジンとシトリンの間に産まれた半猫娘だ。

 

結婚して間もなく妊娠。

猫ならではのスピードで出産。

 

タンジェがモルダバイトで育ったのは3歳までだった。

初孫の誕生にジンの両親は人が変わったように溺愛し、慣れない王政にジンとシトリンが忙殺されている間に、マーキーズへ連れ帰ってしまったのだ。

従って、マーキーズ育ち。

 

モルダバイトの王女にして大富豪のお嬢様・・・にも関わらず8歳でマーキーズの軍隊に志願。周囲の猛反対を押し切り、入隊。

現在に至る。

 

マーキーズの軍隊はグロッシュラーの軍隊とは性質が異なる。

グロッシュラーの軍隊が侵略のためのものならば、マーキーズの軍隊は防衛のためのものだった。この10年、戦争は起こっていない。

タンジェは軍の神学隊に所属し、文武両道の日々を送りながら“神”の研究に没頭していた。

モルダバイトへ帰郷したところで滞在するのは精々2・3日。

モルダバイトに住む親戚との面識も殆どなかった。

 

元来神に対する信仰の厚いマーキーズは10年前の神隠し事件以来、更なる神信仰の国となっていた。

 

 


クリスマス翌日。


「えっ?“神”を探しに?」

「ええ、そうですわ」

 

 

愛娘がしばらく滞在すると聞き、舞い上がるジンだったが、その理由に・・・唖然。

 

「神は確固たる肉体を持たない天上の存在として崇められてきましたけれども、わたくしの調べによりますと、神はこのモルダバイトに棲んでおられる筈なのです」

輝かしい表情で語るタンジェにジン・シトリン夫婦はギクリ。

数学教師・眼鏡・煙草・鬼畜・・・おおよそ“神”とはほど遠い神の姿をどう説明すべきか迷ってしまう。

 

「おお!神よ!!」

 

タンジェはいきなり天を仰ぎ、マーキーズ流の祈りを捧げた。

 

「あなたの下僕が今!参ります!!」

 

 

 

(・・・なんだかなぁ〜・・・)

と、内心溜息のジン。娘の、このテンション。

トパーズには確実に嫌われそうだ。

(それに・・・)

「タンジェ」

「何ですの?お父様」

「もし・・・もしも、だよ?仮にここで“神”を見つけたらどうするつもり?」

情報をマーキーズに持ち帰り、研究対象としてトパーズの存在を広めてしまうようならば、例え娘でも、この件は明かさない。

そのつもりでジンはタンジェに尋ねた。

 

「もちろん!神にお仕えいたしますわ!」

「軍はどうするの?」

「辞めますわよ」

タンジェの言い分はこうだ。

「わたくしが何のために軍に所属しているとお思いですの?」

少々高飛車な口調で。

「“神”を見つけるためですわ!軍自体に未練はありませんことよ?」

 

(そういうことなら・・・)

 

「ああ・・・」

そこでまたタンジェの“祈り”発動。

何度も何度も、しつこいくらいに十字を切って。

「神にすべてを捧げます」

 

 

 

「どうする?シトリン」

シトリンはまだ腕の中で小さくなっている。

「トパーズの事、教えてもいいか?」

「あ?いいんじゃないか。兄上には絶対疎ましがられると思うがな」

「オレもそう思う・・・」

 

 

「ところでお母様」

 

びくぅぅっ!!

 

「アレにちゃんと目を通していただけまして?」

「アレ・・・は、その、何だ、私には必要ないというか・・・」

シトリンが尻尾を丸めて口ごもる。

「何をおっしゃるのです!お母様!勉学はとても大切ですのよ?」

二人の口から出る“アレ”とは、タンジェがシトリンにどっさり送りつけた参考書と問題集のことだった。

「一国の王妃ともあろう者が、高校中退など有り得ませんわ!!しっかり学んでいただかないと、国民に示しがつきません。ここは学問の国、モルダバイトですのよ!!お母様っ!!」

「あぁ〜・・・それはわかっているが、アレを開くとどうしても眠くなって・・・」

何年経とうが、勉強は苦手だ。

娘に強要されるようになってからは益々それに輪を掛けて。

「言い訳は結構ですわ」

「・・・・・・」

(突然変異だ)

そうとしか思えない。

(私の娘が、なぜこうなってしまうんだぁぁ〜!!)

シトリン、心の叫び。

(こ・・・こうなったら・・・)

一刻も早く厄介払いがしたい。

「ジン!“神”の居所をさっさと教えてやれ!!」

 

 

(兄上・・・後は頼んだ・・・)

 

 

 

「“神”が、こちらのお宅に??」

ジンから渡された案内図を手に。

 

赤い屋根の屋敷に迷い込んだ、一匹の子猫。タンジェ。

「ごめんください」

玄関に鍵が掛かっていなかったので、そのまま上がり込んでしまった。

(確かに神は実在する・・・けれど・・・もう少し・・・神殿とか・・・)

イメージと随分違う、“神”の棲み家。

タンジェは半信半疑ながらも歩みを進めた。

 

 

「神?いらっしゃいますか?あ・・・」

最初に覗いたリビングルームで目にした世にも美しい光景。

銀色の髪をした、一組の男女。

床に敷かれた絨毯の上で眠る女の傍らで、本を読んでいる男。

「・・・神?」

想像とは全く違う暮らしぶり。

だが、外見は想像以上に美しく。

見とれながらの第一声だった。

 

 

「・・・・・・」

トパーズの視線がタンジェに注がれる・・・

(・・・シトリンのガキか)

面識はなくとも、すぐにわかる。

顔はジンそっくりで、金色の耳と尻尾が生えている少女なのだ。

「あなたが・・・神?」

タンジェは質問を繰り返した。

「・・・・・・」

トパーズはYESともNOとも答えなかったが、タンジェはそれを“無言の肯定”と受け止めた。

「それでは“アマデウス”は・・・」

“アマデウス”とは“神に愛されし者”の意で古くから使われてきた言葉だ。

神学に於いては“神の妻”また“神の子を産み落とす女性”に対して用いられる。

「・・・・・・」

トパーズは少し考えてから・・・

「・・・コレだ」

と、ヒスイを足でグリグリ。

「う〜ん。うぅ〜ん」

うなされてゴロゴロと寝返りを打つが、それでもヒスイは目覚めない。

「この方が・・・“アマデウス”。清楚で美しい方ですわね」

タンジェの口から率直な感想が出た。

ヒスイが自分の祖母にあたることは当然知らない。

(“アマデウス”がいるという事は“神の子”がいるという事・・・)

 

“神”に仕えるべきか。

“神の子”に仕えるべきか。

 

次第に興奮が高まり、タンジェの頬が上気する。

 

 

 

「たっだいま〜!!」

買い物に出ていたジストとコハクが帰宅した。

「ヒスイっ!!おみやげっ!!」

ヒスイの顔を見るために、コハクより一足早く、ジストがリビングへ駆けつける。

「“神の子”!!」

“神”や“アマデウス”と同じ銀髪のジスト。

タンジェは一目見るなり“神の子”と決めつけ、叫んだ。

「わたくしを下僕にしてくださいませっ!!」

「はぁぁぁっ!!?」

ジストはドン引き状態だった。

(何だよ、この子、全然意味わかんね〜・・・)

「あのさ、“神の子”ってなんかの間違いじゃ・・・」

「いずれ覚醒されますわ!!」

「覚醒ぃ〜??」

 

 

「なによ・・・うるさいわね」

ジストとタンジェのやりとりが耳障りだったらしく、気怠そうにヒスイが起き上がった。

「・・・その子、ジストのガールフレンド?」

「違うよっ!!」

ジストは慌てて否定したが、ヒスイは聞いていない。

「待ってて、今お兄ちゃん呼んでくるから・・・」

半分寝惚けているのか、ガールフレンドを紹介する為に家へ呼んだのだろうと勝手に解釈。

 

ふあぁぁ〜・・・

 

欠伸をしながらコハクの元へ向かう。

(あれ?でも今のコって・・・シトリンの・・・)

「・・・ま、いっか」

 

 

 

「おにぃ〜ちゃ〜ん」

「ヒスイ。ただいま」

 

 

ちう〜っ。

 

 

「・・・おにいちゃん。あのね、今・・・んっ・・・」

コハクのキスはただいまの挨拶に留まらなかった。

唇を割り、舌を入れ、ヒスイの舌を捉えて、絡める。

離れていた2週間の反動で、何かとすぐ欲情してしまうのだ。

スルッと、指先をヒスイの下着へ滑り込ませて。

「ヒスイ、ちょっとだけ足開いて・・・」

「え・・・?んっ!」

割れ目にベットリとしたものが塗り込まれ、困惑のヒスイ。

はじめはヒンヤリしていた・・・が、急にソコが熱を持って。

「!?お・・・にいちゃ・・・なにを・・・うっ・・・あんっ!!」

ヒスイの両手両脚から力が抜ける・・・

「くすっ。軟膏タイプの媚薬だよ。イイ気持ちでしょ?」

これが“おみやげ”だよ、と、ヒスイの耳元でコハクが囁いた。

「・・・っ!!んぅっ!!」

 

 

(ああ、この流れって・・・絶対いつものオチが・・・)

 

 

頭の片隅でそんな事を思うが、媚薬効果で喘ぎ声しか出ない。

「あぅ・・・ん・・・はぁ・・・はぁ・・・」

ヒスイは無秩序にすべての体液を垂れ流し、床の上にへばってしまった。

「ヒスイ、久しぶりにしてくれる?」

コハクがズボンのチャックを下ろすと、ヒスイはすかさず顔を寄せ、口を開けた。

「はっ・・・あ・・・おにぃ・・・んむっ・・・」

コハクのペニスを舌の上に乗せ、媚薬の快感に震える、ヒスイのカラダ。

上の口よりも、下の口に欲しいのだ。

粗相をしたように滲み出す夥しい愛液が、脚も床もべちょべちょに濡らして。

「だ〜め。まだあげないよ。そんなに欲しいなら、自分の指でしてごらん」

 

はっ。あ。はむ・・・っ。

 

硬さ漲るコハクのペニスを口に含んで。

「んっ・・・んぅ・・・」

 

くちゅ。くちゅ。

 

下の口は自分の指で慰める。

「上手にできたら、入れてあげる」

今日に限ってコハクは意地悪モードだった。

日によってプレイも千差万別なのだ。

「んむっ・・・んんっ・・・」

懸命に頬張るが、ヒスイの小さな口ではコハクの巨根をたっぷりと根元まで銜え込むことはできない。

ヒスイはいつも、吸うより舐めて奉仕する。

ペロペロと、尿道口を舌で割り、丁寧に舐め上げてゆく。

(ああ・・・ヒスイ・・・なんて可愛いんだ・・・)

コハクのペニスも絶好調。

ピクピクと威勢良くヒスイの愛撫に応えた。

ヒスイはコハクの袋を甘噛みし、肉の玉を撫で転がした。

「んっ・・・イイよ・・・ヒスイ・・・すごく・・・」

「おにいちゃ・・・おにい・・・はぁ・・・」

 

 

蒸れて匂い立つヒスイの陰部。

右足を掴んで、股を開かせ、肉粒を指で擦る。

「あうぁっ!!ああんっ!!」

突いて欲しくて堪らないのに、挿入を焦らしに焦らされ、泣き乱れるヒスイ。

 

 

コハクはヒスイの足指を舐めながら、掬った愛液でヌルヌルと膨らんだ芽を撫でつけた。

恥骨の皮膚を上に押し上げ、顕になった場所を優しく攻める。

「はっ・・・は・・・おにいちゃ・・・おねが・・・」

ヒスイ自ら指で膣口を広げてみせた。

トロッと・・・とっておきの蜜でコハクを誘う。

「ヒスイ・・・」

 

生唾ごっくん。

コハクも突き入れたい衝動に駆られて。

 

パシパシ!ペタペタ!

「あっ!あ!あんっ!あぁ・・・ん!!」

 

今日もまたヒスイの揺れるカラダと喘ぐ顔を鑑賞しながら腰を振る。

「ああっ!うっ!おにいちゃんっ!!うっ!はぁはぁ!あっ!あんっ!あっ!あ・・・」

「はっ・・・は・・・ヒスイ・・・ヒスイっ・・・っは・・・」

ヒスイが愛でた球体が痙攣し、射精寸前。

「おっ・・・おにいっ・・・っちゃ・・・おきゃく・・・」

「え?」(おきゃく?)

コテンとヒスイが先に力尽き。

(ああ・・・なんでいつもこうなるの・・・)

 

 

後に続く少女の悲鳴。

「きゃぁぁぁぁっ!!」


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