World Joker

12話 忘れない指先



 

 


メノウとアクア。都市ギルドにて。

 

ギルドでは賞金首No.1吸血鬼の情報が溢れかえっていた。

しかし、真実でもガセでもサンゴが直接手を下した現場を見た者はいなかった。

血を抜き取られた死体の傍に美しい銀髪の女。

「私がやりました」

そう自供しては姿を眩まし・・・同様の事件が何件か続いたという。

(やっぱあいつだよな)

被害者は男ばかりというところに、コクヨウの影。

女、子供は殺さないのがコクヨウの食事に於けるルールなのだ。

 

「ね〜、おじ〜ちゃん。人間だってぇ、豚とか牛とか殺して食べるのに、吸血鬼が人間を殺して食べると罪なの〜?」

「う〜ん」5歳児に難しい質問をされてしまった。

(いいか悪いかは主観の問題だからなぁ)

生きるための狩りはどこでも行われている。

命を奪う行為だとしても、それは悪とはいえない。

(けど、この場合はちょっと違うか)

「牛や豚じゃそうはいかないかもしれないけどさ、吸血鬼にとって人間って、殺さなくても食えるもんだろ?」

 

だったら・・・わざわざ殺す事ないんじゃないの?

 

必要以上の殺生をしないのが自然界の掟。とアクアに話して。

「アクアもさ、ヒスイとかジストが食われたら嫌だろ?」

例え話だとしても、ピクリ、アクアの眉が動く。

「そんなのぜったい許さないよ〜」

「人間も同じ。自分や身近な相手を食われたくないんだよ」

捕食者を恐れ、必死に食われまいとしている。

その為の指名手配なのだ。

なんとかアクアを納得させ、メノウは話を本題に戻した。

コクヨウの食生活にあれこれ言うつもりはない。

「ただ・・・」

 

サンゴが身代わりになって、人間の怒り、憎しみからコクヨウを守っている。

 

伝えたいのはそれだけだ。

「それだけ〜?」

「そ。あいつもサンゴの事が好きだから、ソレ聞きゃ、何とかするだろ」

 

 

 

夜になったので一旦隠れ家に戻る。ところが・・・

「サンゴ・・・?」

昨晩迎えてくれた笑顔はなく、近くの木の枝に止まっていた鴉が“銀髪の男が連れて行った”と、教えてくれた。

(銀髪の男・・・コクヨウだな)

銀の吸血鬼の住処は魔界だ。

「・・・行ってみるか」

魔界と繋がっているポイントを魔法で探り出し、移動。

だが、その日はコクヨウを見つけられず。

勿体なくもサンゴのいない夜を過ごす羽目になってしまった。

そして、捜索2日目。

「お、発見」

魔界の夜空の下、コクヨウと出会う。

丁度コクヨウが食事をしに人間界へ向かおうとしているところだった。

(あいつケンカっ早いからなぁ)

一言注意しただけで、戦いになる可能性が高い。

危険に巻き込まないようアクアを隠してから、メノウはコクヨウに接近した。

「あんだよ、テメェ」

「通りすがりの人間・・・で、お前の相棒」

「アァン?」

コクヨウは眉間に皺、更に青筋が浮き出す勢いでメノウを睨み付けた。

「オレには、相棒なんざいねぇ!」

「ま、信じなくていいけどさ。ひとつだけ忠告しにきた」

予想した通りの反応だった。

コクヨウは細面のクールな美形だが、態度はその辺のゴロツキと変わらない。

眼光鋭く、刺々しい雰囲気だ。

無論メノウはそんな事で怯まず。

 

 

「もうちょい行儀良く食えば?」

 

 

軽いノリで注意を促すと共に一枚の紙切れをコクヨウに手渡した。

ギルドで配布されていたサンゴの指名手配書だ。

「!?」

途端、コクヨウが銀色の両目を見開いた。

心当たりのある証拠だ。

こんな事になっているとは全く知らなかったが、サンゴが自分を庇ったのだという事はすぐに察したようだった。

「あんまし姉ちゃん困らせんなよ?好きなんだろ?」

「うるせぇ!シバくぞ!!」

「やってみれば?」

完全に舐めきった口調。

サンゴの名はあえて口には出さなかったが、ここ魔界で・・・銀の姉弟の間で何が行われていたか、昔話として知っていた。

コクヨウに連れ戻されたサンゴがどんな目に合ったのかも想像がつく。

挑発の動機は主にそれだった。

過去の事とはいえ、笑っては許せない。

「雑魚が!!人間の分際で!!」

「んでも俺、天才だから。お前には絶対負けない」

「あんだと!?」

怒りっぽい体質のコクヨウはすぐさま攻撃態勢に移った。

どんな攻撃も防ぐ自信のあるメノウはニヤニヤと笑ったまま、さあ来いと言わんばかりに・・・愛用の杖を船に置いてきてしまったので構えようがないのだ。

 

未来の義兄と弟。二人の対決が始まる。

 

乱暴者のコクヨウ・・・拳を振り回しての攻撃かと思いきや、いきなり魔法呪文を唱えた。

「おっ!?」

氷系魔法の先制攻撃。

地面から斜めに生えた鋭い氷柱が連なり、メノウを狙う。

「なんだ、結構魔法使えるじゃん」

いずれコンビを組む二人・・・任務中にコクヨウが魔法を使っている所を見た事がなかったのだが、戦士系か魔法使い系かに分別するなら、コクヨウは意外にも後者だった。

「んなら、俺はコレで」

シャツの胸ポケットから取り出したのは、マッチ箱。

そこから一本取り出して。

「遊んでやるよ」

擦って熾した火に息を吹き掛ける。

マッチの先に灯った火はアルコールを得たように大きく燃え上がり。

あらゆる外敵から術者を守る炎の壁となった。

表面はコクヨウが放った氷柱が一瞬で蒸発する程の超高温だ。

「な・・・」

コクヨウは口をあんぐり・・・

生意気な人間の子供と思っていた相手にマッチ一本で打ち消されてしまった。

何度放っても、すべて炎に飲み込まれてしまう。

「ったく、ちょっとは勉強しろよな。頭は悪くないんだからさ」

失笑するメノウ。なぜなら、コクヨウが使用するのは初級の呪文ばかりだったのだ。

(それしか知らないんだろ)

勉強嫌いで呪文を覚えるのを面倒くさがる・・・コクヨウはそういう奴だ。

初級の呪文でも魔力が強いので、中級、それ以上の威力はある。

普通の人間に対してならば脅威だろうが、天才魔道士メノウの前では赤子も同然だった。

「さて、ここに取り出したるは一枚のハンカチ」

メノウはまるでマジックショーでもするかのように、今度は尻ポケットから白いハンカチを出した。

「タネも仕掛けもございません」

マジシャンお決まりの口上で、ハンカチの裏と表を見せる。

マジックショーなら鳩が飛び出すところだが、メノウが一振りしたハンカチから現れたのは、白い大鷲。

フレスベルグという名の風を司る妖鳥だ。

「!!」

羽ばたきによる突風、驚きで隙だらけのコクヨウに飛び掛かる巨大鷲。

凶悪に発達した足の爪がコクヨウを捕捉した。

コクヨウの動きは完全に封じられ、ケンカはそこで終了。

「お前等吸血鬼にとっちゃ、俺達人間なんてただの食料かもしれないけどさ」

気をつけた方がいい。

 

 

「人間には、“復讐心”ってのがあるんだ」

 

 

「敵に回すと結構厄介だぜ?俺としちゃ共存を勧めるけど?」

「ケッ・・・笑わせんな!死んでも御免だ!!」

脅しにもコクヨウは屈しなかった。

「ま、いいけどさ。とにかくソレ何とかしろよ」

コクヨウが握り締めているサンゴの指名手配書を視線で示し。

メノウがハンカチをたたむとフレスベルグの姿も消えた。

「姉ちゃん、大切にな」

勝手にそう締め括り、メノウは去った。

一方、残されたコクヨウは・・・

「なんなんだよ!アイツ!!」

見ず知らずの少年にあっさり負かされてしまったのが、信じられない。

(“姉ちゃん、大切にな”?)

「・・・テメェに言われたかねぇよ!」

唾を吐き、悪態をついてから、指名手配書を広げる。

やはり、サンゴだ。

「・・・・・・」

 

 

オレの事なんて、愛してないくせに。

 

 

「なんでこんなことすんだよ・・・サンゴ」

 

 

 

 

隠れ家に・・・サンゴの姿。

 

メノウとアクアに逢いたくて。

コクヨウの目を盗んで城を抜け出してきたのだ。

 

「サンゴ?」

「おば〜ちゃんだぁ〜!」

 

ほとんど同時にメノウとアクアの声がして。

「あ・・・」

安堵と喜びがサンゴの胸中を占める。

「すみませんでした。黙っていなくなったりして・・・」

ペコリ。サンゴは頭を下げて。

いなくなる前の晩と同じように不可解な味の夕食を作り、いなくなる晩と同じように絨毯の上で過ごした。

 

アクアが眠り、メノウと二人きりになるまでは。

 

「・・・何かあった?」

サンゴの様子がこれまでと違う事に、メノウは気付いていた。

コクヨウの元から逃げるようにしてここまできたのだろう。

何かと気懸かりだ。

「無理しなくていいよ。俺達夫婦なんだからさ」

「メノウさま・・・」

 

 

“夫婦”

 

 

メノウにとっては当たり前のその言葉に、サンゴの罪悪感が煽られる。

真実を話そう・・・覚悟を決め、サンゴは口を開いた。

「・・・魔界に家があって・・・そこに帰ってたんです」

「うん」

「そこで・・・私・・・弟と・・・」

「うん。知ってる」

「!!ごめ・・・なさ・・・」

サンゴは項垂れ、言葉も途切れ途切れに。

そんなサンゴの肩に手を置き、メノウは頭を左右に振った。

 

 

「サンゴは一族の為に頑張ってるだけだろ?」

 

 

「っ・・・メノウ・・・さま・・・ぁ」

たちまちサンゴの表情が崩れ、ポロポロと涙が頬を濡らす。

「な〜・・・サンゴ。俺の事好き?」

「・・・はい」

泣きながら、深く頷く、サンゴ。

「じゃあさ、俺としてもいいと思う?」

「・・・はい」

 

 

 

「服は着たままでいいけど、下着は脱いで」

 

捲り上げられた桃色のドレス。

体の入口は隠さないようにと、メノウが言った。

床の上でほんの少し脚を開かせ、サンゴの背後を陣取るメノウ。

そこから手を伸ばし、そっとサンゴの陰部へと指を忍ばせた。

「お?」「あ・・・」

触れるとそこはだいぶ濡れていて。

喜ぶメノウ。照れるサンゴ。

指先を愛液で湿らせ、サンゴの快感の芽を探る・・・と、言っても忘れてなどいない。

ぽってりと存在感のある肉粒。

サンゴの控えめな性格からは想像もつかないエロティックな陰核が割れ目の上部に埋もれている事をメノウは知っていた。

包皮の下でメノウの到着を待っているのだ。

(ホント久しぶり・・・)

しみじみと懐かしさに浸りながら指を運び・・・

「ぁ・・・」

屹立した肉粒を剥き出されたサンゴは小さく声を洩らした。

捏ねごたえのある、大粒の陰核。

「俺、結構エロいから、覚悟してね」

「メ・・・ノウさま・・・」

押し当てた人差し指をゆっくりと・・・「の」の字に動かす。

「あっ・・・あっ・・・」

再びサンゴが喘いだ。

これまで与えられた事のない、優しい快感が下半身に沁みて。

「・・・ぅん」

敏感な陰核を指の腹でクルクルと撫でられる・・・初めての甘い刺激にサンゴは困惑しながらも、感じていた。

「はっ・・・ぁっ」

充血した膨らみの外側から内側へ。

サンゴの突起の頂点で、メノウの指先が何度も何度も円を描く。

「あっ・・・んっ、んっ!」

奥が熱く燻り、入口とその周辺をたっぷりの愛液が濡らす。

クチャクチャ・・・

慣れた手つきでサンゴの股間を擽るメノウ。

「ね、サンゴ」

「は・・・はい」

「触ってみなよ、ココ」

「え・・・?あ・・・」

メノウに導かれ、自分を濡らす愛液に触れる・・・

「あ・・・」

(こんなに濡れたの・・・初めて・・・)

ベトベト、ヌルヌル、ネトネト・・・これほど淫らに糸を引くものなのか。

「ちゃんと濡れてる」

背中からメノウの声が響いて。

サンゴは真っ赤になった。

「中もさ・・・」

「あっ・・・!!」

細く優しいメノウの人差し指と中指が二本同時に滑り込んできた。

「あ・・・ぁっ!」

「濡れてるよ。温かくて・・・すっげ〜・・・気持ちいい」

そう言ったメノウが膣内で指を曲げる。

「あ・・・メ・・・ノウさ・・・ま」

「ホントはさ・・・ココに俺のを入れちゃいたいんだけど」

 

 

俺は・・・本来この世界に存在しない人間だから。

 

 

「その資格がない」

サンゴの膣壁へ愛撫を続けながら、メノウはハッキリと言った。

「ここじゃ、万が一にも責任取ってやれないし。だから・・・ごめんな」

「・・・いいえ・・・あっ!!」

謝罪後すぐにメノウの薬指が追加挿入された。

俺の太さはこんくらい・・・中で指を広げ、ペニスを意識させる。

「想像して」

色、形、長さ・・・言葉でペニスの描写をしながら、ゆっくりと出し入れを繰り返し。

「はぁ・・・あっ、あ!!」

高まる興奮に合わせ、出し入れのスピードも加速していく。

「あっ・・・あっ、はぁ・・・っ、あ・・・」

内側の肉を収縮させ、サンゴはイッたも同然の反応を見せた。

その時、ポタリ・・・と。

メノウの手の甲に、サンゴが涙を落とした。

「ごめ・・・なさ・・・今日泣いてばかり・・・」

「・・・いいよ。泣いても」

「メノウ・・・さまぁっ・・・」

 

 

強い人。

愛しい人。

ずっと一緒にはいられない人。

 

 

命と引き替えにしても。

この人の子供を産んだ訳が、わかる気がする。

 

 

 

この指先はきっと・・・死ぬまで忘れない。

 

 

 
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