World Joker

67話 乙女の悩み


 

 

 

シトリンとヒスイ。二人に見られていることに気付かぬまま、タンジェはショーツを脱いだ。

どういう経緯でそうなったかはわからないが・・・どうやらこれからエッチのようだ。

しかしなぜかサルファーは木を挟んだ向こう側にいて。

タンジェ単身、木に寄り掛かり、自ら割れ目に指を忍ばせた。

間もなくして、タンジェの股間から濡れた音が聞こえ。

「ふ・・・くっ・・・」

声を殺し、穴に指を入れる・・・二本、それもかなり深く。

「は・・・」

入口から中まで自力で拡げ、そこが空気を含んでぱくぱくと鳴り出すまでほぐし、木の反対側で待つサルファーの元へと移動するタンジェ。

「サルファー、準備・・・できましたわ・・・」

再び木に身を寄せ、大胆にお尻を突き出し、割れ目を晒す。

それから、おいでおいでと尻尾を振って、サルファーを誘った。

「何だよ、昼間っから・・・」

サルファーの視線がタンジェの陰部に注がれる・・・

「・・・・・・」

濡れているのを見れば、悪い気はせず。

ズボンのチャックに手を掛けるサルファー。

 

 

「エロい女」

 

 

そう言ってタンジェの腰を掴み、いきなり勃起を押し込んだ。

「ふはッ・・・!あ・・・ッ!サルファ・・・ぁ・・・あッ!」

パンッ!パンッ!サルファーは一定のリズムで腰を打ちつけていたが・・・その動きは見る間に早くなり。

「あッ!!お待ちになって・・・ッ!!もう少し・・・ッ!」

タンジェがそう訴えるのも構わず。

ツプ・・・ッ!ペニスを抜き、体外射精。

タンジェの誘いから、時間にしてわずか数分のことだった。

 

「はぁ・・・」

 

タンジェは悩ましげな息を吐いた。

(わたくし、またイケませんでしたわ)

そもそも、イクという感覚がわからない。

擦られるのが気持ち良くなってきたところで、終わってしまうのだ。いつも。

しかもそれをサルファーには言えずにいた。

「ほら、行くぞ。モタモタすんなよ」

エッチの後もドライなサルファー・・・タンジェの悩みなど露知らずだ。

 

 

 

「何だ!アレは!!」憤慨するシトリン。

「男の風上にも置けんぞ!!あれではタンジェがイケん!早すぎる!!」

そう・・・不憫なことに、タンジェは絶頂を知らない体だった。

「母上?どうした?黙って」同意を求め、シトリンが視線をヒスイに向ける。

「あんなの・・・初めて見た・・・」と、これまでノーコメントだったヒスイが口を開いた。

「お兄ちゃんと全然違う・・・」

中に出して。後を拭いて。髪を撫でて。キスをして。

コハクがいつもそうするので、それが当たり前だと思っていたのだ。

「そうだろう!?」

シトリンにしてもそうだ。

コハクもジンも、アフターケアを重要視する男なのだ。

従って、ヒスイとシトリンはサルファーのプレイスタイルに納得がいかない。

実の息子、実の弟であっても、非難轟々だ。

「何なの、サルファー・・・」

眉を寄せ、ヒスイが呟く。

「これは何とかしてやらねば・・・」

両腕を組んで唸るシトリン。その時だった。

 

ゴウッ!!シュガーランドの南方から火の手が上がった。

 

火事は火事でも大火事だ。炎の勢いが半端ではない。業火の嵐である。

「あっち!お兄ちゃんがいる方かも!!」

・・・と、いうことは。

「兄上と闘り出したか!!」

恒例の親子喧嘩。それしか考えられない。

「我々も向かうぞ!!」「ん!」

目印は炎、方向がわからなくなっていた二人には好都合で。

シトリンは再びヒスイを担ぎ上げ、全速力で走った。

 

 

 

「「な・・・」」シトリン&ヒスイ、呆然。

二人が到着した時には、事態は終結していた。

とはいえ、シュガーランドの1/3は丸焦げだ。

そこには、コハク、トパーズ、オニキス、アクアに加え、ジストとメノウもいて。

「ヒスイっ!!っと・・・あ・・・」早速、動けなくなるジスト。

「もうさぁ、大変なのなんのって」と、言う割には楽しそうに話すメノウ。

「詳しい事情は知らないけどさ」

メノウとジストが合流した時は、口喧嘩をしていたという。

「そのうちコハクの奴が“今ならトパーズを殺せる気がする”とか言い出してさ。トパーズはトパーズでコハクを煽るようなコトばっか言うし」

「・・・・・・」「・・・・・・」

コハクとトパーズは、互いにそっぽを向いている。

仲裁に入ったらしいオニキスは疲れた顔をしていた。

「あ〜あ、焼き菓子ランドになっちゃったじゃん」

メノウが冗談半分にボヤくと。

コハクは一応、謝罪した。

「ははは、お騒がせしちゃってすみませんでした」

 

 

 

 

お菓子の国、シュガーランド。

 

カルセドニーとの接触を果たした今、園内にそれほど危険はないように思えた。

ここに8人が揃ったが、メノウはすぐに離脱し。

その後、去る者と残る者でグループを再編成し、解散となった。

 

アクアをジストに任せ、ようやく二人きりになったコハクとヒスイ。だが。

チラチラと、ヒスイは落ち着きなくコハクの顔色を窺った。

(どうしよう・・・)

トパーズと喧嘩になったということは、もしかしたら、お尻の穴のことで怒っているのかもしれないと思う。

(このあと、おしおきとかじゃ・・・)

「お・・・にいちゃん?」恐る恐るコハクを呼ぶ、と。

「ん?」

コハクは穏やかな表情で。とても大暴れした直後とは思えない。

きゅっ。思い切ってヒスイが手を握ると、コハクは優しく握り返し。

「デートしようか」と、言った。

「うんっ!」

コハクの笑顔にホッとするヒスイだったが・・・それは甘かった。

 

 

「デート・・・だよね?お兄ちゃん」

 

 

焼き菓子地帯からそう離れていない場所で。

パウダースノーがうっすら積もった地面に押し倒されたヒスイ。

「うん。コレ込みでね」と、コハク。

デートにエッチは当然含まれる。それが後か先かというだけで、どうやら今日は先らしい。

コハクは早速ヒスイの上に乗り、ちゅっ。ちゅっ。と首筋にキスを繰り返しながら、服の上から軽く胸を揉んだ。

「ん・・・ふぅ・・・」エッチ慣れしたヒスイの体はすぐその気になり。

ノーパンなので、濡れ具合は丸わかりだ・・・が。

「あ・・・おにいちゃ・・・そこ・・・や・・・」

コハクの指先が後穴をつつくと、ヒスイは声を震わせた。

「うん。わかってる」(嫌なのはわかってるけど・・・)

ヒスイの小さな穴はまだ、とても柔らかく湿っていて。

それがトパーズによるものだと思うと、かえって悔しい・・・つまり、嫉妬だ。

「・・・・・・」

 

 

アレは良くて、コレはダメ?

 

 

・・・と。感情に任せて、今ここで指を入れたら、鬼畜プレイまっしぐらだ。

「・・・・・・」

表面の皺を指の腹で撫で回しながら、葛藤するコハク。

「やっ・・・おにいちゃ・・・そっちじゃ・・・な・・・」

ヒスイは仰向けで両脚を開いたまま、懸命に訴えた。

「・・・・・・」

エッチの際の“お願い”はわざと聞き流すことも多いが、今日は・・・

 

 

「・・・うん。そうだね」

 

 

コハクは頷き、ヒスイの後穴から指を離した。

「欲しいのは、こっちだよね」と、愛液の漏れ出すもうひとつの穴に触れ、確認する。

「あは・・・んっ!!」

返事と喘ぎが混じったヒスイの声を聞いてから、コハクはジーンズの留め具を外し、勃起ペニスをヒスイに見せた。

「あ・・・」

愛と欲情の象徴を目にしたヒスイは頬を染めて悦び、受入口を一段と潤ませた。

そこに・・・ぴとっ。ペニス先端ではなく幹を密着させ。

「ひぁ・・・おにいちゃ・・・な・・・なに・・・あっ・・・ん!!」

にゅるんっ!割れ目に沿って滑らせる。

くにゅくにゅ、にゅるにゅる、濡れた性器同士をくっつけ、擦り合わせ。

「あ・・・は・・・あぁ・・・」

「どう?ヒスイ」

「すご・・・きもち・・・ぃ・・・」

股間にすり寄るペニスは、頬ずりに似て。

愛おしいものに触れたいという純粋な想いを感じて、心底幸せな気分になるのだ。

「はぁ・・・はぁ・・・ん・・・はぁ・・・」

コハクが腰にほんの少し力を込めると、先端が入り口を掠め。

「あん・・・っ!」

その先端で肉粒をツンツンされると、そこから快感が波紋のように広がっていった。

「ふぁ・・・ん・・・ぁ・・・」

いつにも増して甘えた声が出てしまう。このままイッてしまいそうだ。

「おにいちゃ・・・おにいちゃ・・・おにいちゃ・・・ぁ」

「ヒスイ・・・挿れていい?」

耳元でコハクが囁やいた。

「ん・・・」

拒む理由は何もない。ヒスイは膣口をヒクつかせながら、挿入を待った・・・が。

スイートタイムはここまでで。

 

 

「ヴぁ・・・んっ!!」

 

 

これまで優しかったペニスが、膣内で突如凶暴化し、奥へ喰らいついたのだ。

たった一突きで、これ以上ないくらい深く入り込まれ、驚き喘ぐヒスイ。

「お・・・おにいちゃ・・・!!あ、あぁっ!!」

油断していただけに堪えがきかず。

ヒスイは、子宮口を何度か押し上げられただけで達してしまった。

「あ・・・はん・・・ぁ・・・!!」

「・・・・・・」

収縮する膣内でなお前進しようとするペニス。

このまま子宮口を抉じ開け、もっと奥へと行きたがっているようで。

「んぐっ・・・だめ・・・おにい・・・そんな・・・に・・・おくまで・・・はいんな・・・あっ、あっ」

コハクの肩を掴み、悶えるヒスイ。

「んはっ!!ひっ・・・うっ・・・おにぃ・・・」

「・・・・・・」

(行き止まり・・・か)

 

 

 

この先を、トパーズもジストも・・・子供達は皆知っている。

だけど僕にはどうしたって知ることができないんだ。

 

 

 

(・・・て、まずいな、コレは。考えちゃいけないことだ)

すぐにそう気付き、力を緩める。

「お・・・にいちゃん?」

「・・・ごめんね、ヒスイ」

「?」ヒスイは乱れた呼吸のまま、不思議そうな顔をして。

「いつものほうがいいよ、おにいちゃん」と、言った。

 

 

『・・・好きだよ。ヒスイ』

 

 

いつもの告白とキス。ヒスイは満足そうに笑って。

「うん!私もっ!」

 

 

 

 

そしてここ、モルダバイト城では。

 

「う〜む」唸る金色猫が一匹。

公務のため、早々にシュガーランドから引きあげてきたシトリンだ。

「シトリン、おかえり」

いてて・・・と、ベッドから上体を起こしたのは夫のジンカイトである。

決闘・・・というか、改造の反動で衰弱し、点滴中。そのうえ全身筋肉痛で、指一本動かすのも辛い。

そんな中、猫シトリンはジンのベッドに潜り込み。

 

 

「ジン、折り入って相談があるんだが・・・」

 

 

 
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