World Joker

68話 薄荷ドロップ


 

 

 

「その、なんだ・・・」

若干言葉を濁しつつ、弟サルファーの話を切り出すシトリン。

「・・・で、・・・だぞ?酷いと思わんか」

これではあまりにもタンジェが不憫と嘆く。

話を聞いたジンは、猫シトリンの喉元を撫でながら言った。

「確かにそうだけど・・・男にも色々あるっていうか・・・」

(サルファーくんてもしかして早漏なのかな・・・)

同じ男として、そう責める気にはなれず、ジンの態度は煮え切らない。

「男にも色々?何だソレは?」

シトリンの相手はジン一人・・・男の色々など知る由もなく。猫顔で、迫る。

「だからその・・・なんていうか」

正直こんなことを相談されても困る。

(セックスの指導でもしろっていうのか・・・義弟に・・・)

常識では考えられない・・・が。

「ジン、お前から話してみてはくれんか」

こういうことは男同士の方がいいだろう、と、シトリンは悪気のない口調で言った。

「・・・・・・」(どうしろっていうんだよ〜)

 

一難去ってまた一難。気の休まる暇のないジンだった。

 

 

 

 

翌日。PM8:00。赤い屋根の屋敷。

 

 

「ヒスイ、コレな〜んだ?」

 

 

リビングで寛ぐヒスイの元へ、夕食の片付けを終えたコハクがやってきた。

その手には、水色の小さな缶がのっている。

「・・・・・・」

忘れもしない、航海中の透明エッチ。

その薬の瓶を見せられた時とセリフが被っている。

(お兄ちゃん・・・またヘンなエッチする気だ・・・)

確信に近い予感・・・ヒスイは身構えた。するとコハクは笑って。

「そんなに怖がらなくていいよ。ただの飴だから」

シュガーランドのお土産。

帰り際、こっそり売店で買ったのだという。

 

コハクは缶の蓋を開け、飴を一粒口に含んだ。

しばらく口の中で転がしていたが、特に変化はなく。

ただの飴というのは本当らしかった。

「おにいちゃん?どうするの?」

白のモコモコした素材のミニワンピを着ているヒスイを仰向けに倒し、パンツに手をかけるコハク。

「たまには休ませてあげないとね、ココも」

だから今日は舐めるだけ・・・と、ヒスイのパンツをほんの少し下ろし、その隙間に舌を差し込んだ。

「ひぁ・・・!!おにぃ・・・ちゃ・・・な・・・んか・・・スースーするよぅ」

コハクの口の中にある、それは・・・薄荷飴だった。

「んふ・・・は・・・あ」

下の口で初めて味わう清涼感・・・ヒスイの腰が困惑に揺れた。

「ふ・・・ッ・・・んッ」

陰肉の合わせ目を唾液で濡らされ、自分も淫らに濡れてゆく・・・

 

「あッ・・・あン」

コハクの舌に撫でられると、ヒスイの肉芽はぷくぷくと育ち、包皮の間から尖った先を覗かせた。

そこに、メントール成分配合の唾液をたっぷり塗り込まれる。

「あッ・・・はぁッ!!」

息を吹きかけられると、尚更スースーとして。

爽快な快感に体が興奮し、舐められれば舐められただけ、感じてしまう。

「は・・・ッ!ふぁ・・・んッ!!」

「コレは気持ちがいいみたいだね」

コハクは一旦口を離し、言った。

舐める度、ヒスイの愛液が口の中に流れ込んでくるのだ。

それを薄荷飴と絡めるとまた美味で。癖になる。

コハクは再び口を付け、舌を出して、ヒスイの陰裂を舐め出した。

「んッ!んッ!んんッ!!あッ・・・は・・・!!おにぃ・・・」

コハクの薄荷責めに、激しくよがるヒスイ。そして・・・

 

 

 

「ふは・・・ッ!!」

 

 

 

「よしよし、イッたね〜・・・今、キレイにしてあげる」

コハクは、ヒスイの両脚を揃えて折り返し、お尻まで垂れた愛液まで全部舐め取った。

「・・・っと」

それから、ティッシュを切らしていることに気付く。

「取ってくるね、ちょっと待ってて」

ちゅっ。薄荷味のキスを残し、コハクはリビングを出ていった。

「はふ・・・」

間もなくして、ヒスイが起き上がった。

(おにいちゃん・・・気持ち良すぎ・・・)

巧みに舐め回され、途中何度も腰が抜けるかと思った。

「なんかまだスースーするし・・・」

赤い顔で呟きながら、ヒスイは近くのカーテンにつかまり、立ち上がった。

夜空を眺めようと窓に顔を寄せる、と。

 

 

「よっ!」

「お、お父さん!?」

 

 

窓の外に、メノウ。ヒスイは慌てて窓を開けた。

シュガーランドではあっという間に姿を眩ましたかと思えば、メノウは相変わらずの神出鬼没ぶりで。

「また攫いにきちゃった」と、ヒスイの腕を掴んで言った。

「は?」(また???)

「この窓さ、連れ出すのに丁度いい高さなんだ」

そう言って、メノウはヒスイを引っ張り。

「あのさ」

 

 

 

『しばらく俺と一緒に暮さない?』

 

 

 

「あの・・・えっと・・・ここじゃないところで?」

父の言葉に動揺するヒスイ。

「うん。俺と二人で」

いつもの悪戯な笑みで、メノウが室内のヒスイを見上げる、と。

(お〜・・・困ってる困ってる)

コハクと離れるのを渋っているのが一目瞭然だ。

(“いいよ”って、即答して欲しいトコなんだけど、ま、しょうがないか)

こうなったら奥の手、と。

「クシュン!」メノウはわざとらしくくしゃみをして鼻を啜った。

「お父さん、風邪?」

「そうかもな〜・・・年のせいで風邪ひきやすくなったのかも。そのうちポックリ・・・」

ニヤニヤと笑って、ヒスイを見る。芝居の効果はあったようで。

「お父さん!」冗談を諌めるヒスイの声。それから・・・

 

 

「・・・いいよ。一緒にいく」

 

 

「んじゃ、決まりだな」

「あ、でもお勤めが・・・」

ヒスイの言う“お勤め”とは、教壇下のアレである。

「それはトパーズに話つけてあるから。コハクのこともさ、心配しなくていいよ」

「え?そうなの???」

父親の強引かつ手際の良さに、ヒスイは驚くばかりだ。

「それで?どこで暮らすの?」

「アンデット商会の社宅」

 

 

 

 

「・・・・・・」

リビングにコハクが戻ると、窓は開いたまま。

夜風が吹き込み、カーテンがはためく。

そして・・・ヒスイはいない。

「おじ〜ちゃんがつれてったよ」と、そこにアクア。

「うん」と、コハクは頷いた。

なんとなく、そんな気がしていたのだ。

グロッシュラーとの戦いに向け、時が流れ出した。そういうことだ。

「さびし〜でしょ」

「うん。寂しくて死にそう」5歳の娘に本音をぶっちゃけるコハク。

「ママがいないとぉ〜、パパってホントにダメだよね〜」

「うん。ダメだね」口の減らないアクアに言われたことを全肯定だ。

 

 

「しょ〜がないから、アクアが遊んであげるよ〜」

 

 

「はは、そうだね」

アクアの同情に、コハクは肩を竦めて苦笑い。

「それじゃあ、遊んでもらおうかな」

「いいよぉ〜」

アクアはニカッと笑い、言った。

「じゃあ〜、あれやって〜、爪に絵かくやつ〜」

 

 

「ああ、ネイルアートね」

 

 

 

 

同日、PM10:00。アンデット商会、社宅。

 

「休みが一日潰れたぞ、どうしてくれる、クソジジイ」

文句を言いながら、トパーズが入室してきた。

メノウに代わり、シュガーランドで復元魔法を行使してきたのだ。

焼き菓子を元のお菓子に戻してきたという訳だ。

“復元”は、時間も魔力もかなり費やす魔法で、当然疲労も溜まる。

トパーズはメノウを見据えたまま、ソファーにドカッと腰を下ろした。

と、同時にムギュ!お尻で何かを踏んだ。

「・・・なんでこいつがここにいる」

眠るヒスイがソファーを丸々占領している・・・トパーズは仕方なく床に座った。

「お前もしばらく泊ってけば?」メノウが言った。

「ホントは親子水いらずの予定だったんだけどさ〜。メシ作る奴いないし」

「・・・アイツはどうした」

アイツとは、無論コハクのことだ。

「ここにはいないよ」と、メノウ。

「だってあいつ、揺さぶりかけてくんだもん」

 

 

「ヒスイがもし眷属を望んだら〜とか言ってさ」

 

 

「・・・それで、こいつが望んだら、どうする気だ?」

起きないヒスイの頬をつまみ、トパーズは意地悪な笑みで。

 

 

 

人間、やめるか?

 

 

 

「・・・ま、そんときゃ、そんときで」

メノウはコハクに返した答えと同じ答えをトパーズに返した・・・が。

「んでも、俺、親バカだからさ」

 

 

ヒスイの言うこと聞いちゃうかもな。

 

 

 
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