World Joker

103話 大本命



 

 

 
ZZZ・・・ゴミ箱で快眠中のヒスイ。

決して広いとは言えないが、居心地は悪くなかった。

膝を抱えて眠ること15分・・・。

プラスチックの蓋が持ち上がる。待望の時間が訪れたのだ。

 

 

「ヒスイ?」

 

 

コハクの一声で、ヒスイは目覚め。

「お兄ちゃん!!」と、慌てて立ち上がった。

「ヒスイ、やっと見つけた」

何故ゴミ箱の中にいたのか・・・疑問に思ったが、コハクはまず先にヒスイを懐に収めた。

「おにいちゃぁ〜・・・ん」

ヒスイはコハクのシャツに顔を埋め、匂いを嗅いだ。直観的に、本物のコハクだとわかった。

大本命はやっぱり期待を裏切らない。

「おにいちゃんだぁ〜・・・」

感激のあまり、涙ぐむ。

「遅くなって、ごめんね。ヒスイ」

コハクは、ヒスイの腰に腕を回し、身を屈め。

ヒスイは、コハクの首に腕を回し、背伸びして。

唇と唇を重ねる・・・柔らかなキス。

続けて舌と舌を重ね、ちゅくちゅく音を鳴らし、互いを求め合った。

「ヒスイ・・・いい?」

「ん・・・」

立ったまま、ヒスイを壁に寄り掛からせ、シャツのボタンを外し、前開きブラのホックを外す・・・愛しい貧乳が現れた。

ちゅっ。首筋にキスをした後、尖った乳首を舌で舐め上げる。

乳輪までたっぷり唾液で濡らしてやると・・・

「あ・・・」

ヒスイは頬を染め、足をモジモジさせた。

(可愛いなぁ・・・)と、いつもながらに思いながら。

唇で挟んで先を引っ張り。もう一方を手のひらで包むと、先に指を添え、そっと揉んだ。

「あ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

(本物の・・・おにいちゃんの・・・手・・・きもちい・・・)

嬉しくて、泣きそうだ。

 

 

「ん・・・ん・・・」

コハクの髪に指を絡めながら、ちゅっ。ちゅっ。甘々キスを繰り返す。

「はぁはぁ・・・」

しきりに膝を擦り合わせるヒスイ。欲しがっている証拠だ。

コハクは、器用にスカートを脱がせ・・・そして、ヒスイのパンツに中指と薬指を入れた。

「あッ・・・おにいちゃ・・・」

コハクの指先が膣口に触れ、ぴくん!ヒスイが震える。

間もなく・・・クチュクチュ、パンツの中が鳴り出して。

「んッん・・・あッ・・・」

快感の波に、度々ヒスイが肩を竦める。

「・・・あれ?」と、そこでコハク。

膣口が随分弛んでいるように思えた。

(嫌な予感がするぞ・・・)

ツプッ・・・ヒスイの膣に指を入れ、直に触れると、明らかにそこは使用済みで。

その時、ヒスイが・・・

 

 

「お・・・にいちゃ・・・おしおき・・・おわり?ごめんなさ・・・」

 

 

挿入された指にビクビク感じながら、泣きべそをかいて言った。

「・・・お仕置き?」(僕はまだ何も・・・ん!?)

即、思い当たる。自分と等しい、分身BCDEの存在に。

(しまった・・・!!)

何があったか、容易に想像できた。

「ヒスイ、もしかして僕の分身と・・・」

「うん、いっぱいえっちした・・・よ?」

「・・・・・・・・・」(死ネ!!!僕!!!)

ショックで、一瞬目の前が真っ暗になる。

(揃いも揃って・・・ヒスイとヤることしか頭にないのか!?)

ヒスイを見つけるためにしたことが、完全に裏目に出た。

敵はトパーズではなく・・・自分だったというオチだ。

「お・・・おにいちゃん?どうしたの?ふるえてるけど」

自分への嫉妬。分身達に対する怒りで、だ。

「ははははは・・・いやぁ・・・何でもないよ」

コハクはわざとらしく笑って誤魔化し。ヒスイのパンツから手を引いた。

「・・・ごめんね、ヒスイ」

「え?なんで???」(悪いのは私なのに・・・)

ヒスイは訳がわからない。首を傾げるばかりだ。

「とにかく、あいつ等を抹殺・・・じゃなくて、同化してくるから。ヒスイはここで待ってて」

忙しなく、コハクが飛び立つ。

「ちょっ・・・おにいちゃんっ・・・!?」

ポツンとひとり残されるヒスイ。

「そんなぁ〜・・・」

脱がされ半分で、地面にへたり込む。

これまで、コハクの分身達と散々エッチをしてきたというのに・・・大本命とのエッチに限っておあずけだ。

「・・・なんでこうなるの???」

路地に座り込んだまま、ヒスイはしばらく空を見上げていたが。

「・・・寝よ」

制服を着直し、またゴミ箱に戻ることにした。ところがその時。

 

 

「ヒスイ」

 

 

去ったはずの、コハクの声。恐る恐るヒスイが振り向く・・・

「おにい・・・ちゃん」

そこに立っていたのは、4人目の分身、コハクEだ。

「・・・・・・」(も、無理かも・・・)

くらっと、眩暈。正直かなりセックス疲れしていた。

(でも嫌とか言ってる場合じゃ・・・)

愛ゆえの使命感と、性器を捧げる習慣。

(お兄ちゃんは、お兄ちゃんなんだから・・・)

再び自分に言い聞かせ。ヒスイは壁に両手をついて、コハクEにお尻を向けた。

「くす・・・偉いね、ヒスイ」

コハクEが早速パンツを引き下ろす。

「ん・・・ぁ・・・」

さっきまで大本命の愛撫を受けていただけに、生地の内側はベトベトで。

膣口とクロッチ部分が愛液の糸で繋がっていた。

その糸を断ち切るように、間に手を差し込むコハクE。

「ひぁ・・・ッ!!!」

きゅっ、左右の陰唇をまとめて握られ。

ふにゅっ、くにゅっ、揉まれる。

「あ・・・おにいちゃ・・・」

恥ずかしいやら。気持ちいいやら。ヒスイが腰をくねらせた。

「ん・・・んぅ・・・ッ!!」

何本ものペニスを受け入れてきた膣は、すぐに性交の準備が整い。

濡れ過ぎなほど濡れ、自発的に開いている。

「ここ・・・ずいぶん使ったみたいだね」

ヒクヒクしている膣口を撫でながら、コハクEが言うと、ヒスイは正直に認めた。

「もうしたくない?」と、コハクE。

ふるふる、ヒスイが頭を振る。

「おにいちゃんは・・・おにいちゃん・・・だもん」

もはやこれが口癖となっていた。

コハクEは目を細めて笑い。

「・・・今すぐ入れても平気かな?」

こくん、ヒスイが頷いた。

 

 

「ふ・・・ぁ・・・おにぃ・・・ちゃ・・・」

 

 

背面下からぐんぐん伸びてくるペニス。

正面から挿入されるのとはまた違った刺激だ。

「うッ・・・く・・・!!」

ぽたっ、ぽたっ・・・コンクリートの地面に愛液が落ちる。

「ヒスイ、すごく濡れてる」

ご褒美とばかりに、コハクEは、ヒスイの喉を撫で、耳の後ろを舐めた。

「こんなに濡れてくれたら・・・入れ甲斐あるね」

そう言って、後ろから前へ右腕を回し、ヒスイの肩を抱き。

下腹部を左手で支え、上半身と下半身をそれぞれ固定した。

ヒスイの膣に根元までペニスを嵌め込み・・・性器の接続が完了する。

繋がった二人の間に、愛という名の電流が流れ出した。

「あッ・・・はぁん・・・ッ」

ビリビリと感電し、膣が痺れる。更に・・・

ぶちゅっ!ぬぽっ!ぶちゅっ!ぬぽっ!

開く音と、閉じる音が、交互に響いてきた。

「は・・・あくんッ・・・」

開いて閉じて、また開いて閉じて。

コハクEがペニスを動かす度、ビチャッ!ビチャッ!愛液が飛び散る。

それだけ中が濡れているのだ。

「ふえっ・・・や・・・やだ」

どうしようもなく恥ずかしい。ヒスイは抗い、ペニスから逃れようとしたが、逆にコハクEはペニスを膣深く入れ。

「あッ!!!」

ヒスイの体ごとペニスで押し上げた。

「んは・・・ッ!!あ・・・ぁ・・・」

後ろ向きで爪先立ちになったヒスイの両脚がカクカク震える。

下からの圧力で子宮口まで開いてしまいそうだ。

「ん・・・んんッ!!んんんッ!!!」

骨盤がじんじん熱くなる。快感による発熱だ。

ヒスイの目尻に大粒の涙が浮かんだ。

「ひくッ・・・あ・・・」

しゃくり上げ、ヒスイがイキそうになると、コハクEは圧力を緩め。

「ヒスイの中、すごいよ。溺れそうだ」

そうヒスイの耳元で囁やいた。

改めて、ヒスイにペニスを意識させるために、だ。

「ほら・・・感じる?ヒスイ」

「あッ・・・うぅぅんッ・・・あッあッ・・・あぁぁッ・・・!!!」

にゅるにゅる、股の間でコハクEのペニスが泳いでいる。

跳ねたり潜ったりしている、それが、愛おしく。

ヒダが水草のように揺れて絡む。

「えぅッ・・・おにいちゃ・・・!!おにいちゃぁ〜・・・」

存分に感じ、喘ぐヒスイ。

「いいね、その声」

ゆっくりと腰を動かしながら、コハクEが言った。

「うん」と、ひとり勝手に納得し。

それから、ヒスイの髪を一束手に取り、口づけた。

「・・・この髪も、匂いも、体温も」

 

 

「好きだなぁ・・・」

 

 

「・・・って、つくづく思うよ。分身でもね」

「な・・・なにいって・・・も・・・おにいちゃんはぁ・・・」

コハクEの愛の告白で、ヒスイの赤面濃度が一気に上昇した。

「あッ・・・あッ・・・あ」

そのまま、膣を好きなだけ探らせる・・・手前も奥も、まんべんなく掻き混ぜられ、快感で下腹が破裂しそうだ。

「ひ・・・ッあ・・・あぁぁッ!!!」

取り乱し、ガリッ・・・壁に爪を立てるヒスイ。すると・・・

「だめだよ。そんなことしたら、爪が痛む」

コハクEが上からヒスイの手を包み込み、ぎゅっと握った。

「もうちょっとだけ我慢してね」

手と手を重ねたまま、射精のための腰使いに切り替えるコハクE。

「あ・・・ッふ・・・!!あッあッ!!あッあ!!」

それに伴い、膣への刺激が増強し、堪らずヒスイが先に達する。

「あー・・・」

自然と膣肉がペニスを締め付け、射精を促す・・・あとはもう、その時を待つだけだ。

「は・・・あぁ・・・」

膣はビショビショ・・・だが、喉はカラカラで。

けほっ・・・ヒスイは軽く咳込んだ。

(なんだかすごく・・・のどかわいた・・・血・・・のみたい・・・)

「あ・・・」

目がチカチカする。もう足にも力が入らない、が。

崩れ落ちるヒスイの腰をコハクEが両手で掴み。

射精寸前のペニスを激しく突き込んできた。

「っあッ・・・あぁぁぁぁッ!!!」

無視できない快感。再び愛液が溢れ出し、滝のように内腿を伝ってゆく。

「はッ・・・ぁ・・・」

濡れれば濡れるほど、渇きを感じ。

性的絶頂と吸血鬼的渇望で意識が朦朧とする。

(だめ・・・ちゃんと・・・さいごまで・・・あ)

次の瞬間、膣への摩擦がぴたりと止み、代わりに熱い精液が滲み込んできた。

「あ・・・あッ、うッ・・・」

 

 

「ヒスイ・・・喉、渇いてるでしょ。僕の血飲む?」

 

 

射精しながら、コハクEが言った。

唇を噛んで、ふるふる、頭を振るヒスイ。

「へ・・・いき、かわいてない・・・もん」

せめて血だけでも、本物のコハクから吸いたい。そのための嘘だ。

「・・・・・・」

分身でもコハクはコハク。嘘がバレない訳がないが。

「・・・無理強いはしないよ。僕は分身だからね」

 

 

 

その後の、ヒスイ。

 

「・・・・・・」(えっちしすぎたかも・・・)

体中の水分をセックスで使い切ってしまったみたいに。

本当に喉がカラカラだ。心なしか唇までカサついてきた気がする。

「お兄ちゃんが迎えにきてくれるまでの辛抱だもんね」

足も腰も、だるい。ヒスイは、のろのろとゴミ箱に戻った。

「・・・・・・」

膝を抱えて目をつぶる。しかし、喉が渇いて眠れない。

(忘れてたけど・・・私、吸血鬼だもんね・・・)

「はぁ・・・血・・・飲みたいな・・・」

補給に困ることは滅多にないので、尚更辛く感じる。

「う〜ん・・・」

渇きと戦うこと15分・・・ついに、ゴミ箱の蓋が開かれた。

「お兄ちゃんっ!!血ちょうだいっ!!」

夢中で胸元に飛び込み、寄せられた首筋にカプッ!噛み付く。

ごくごくごく・・・一気飲み、したのはいいが。

(あれ・・・?なんか・・・味が・・・)

渇きのあまり、違いに気付くのが遅れた。

(もしかして・・・お兄ちゃん・・・じゃない!?)

コハクと思い込み、顔も見ずに行為に至ってしまったのだ。

改めて相手を確かめ・・・ヒスイ、蒼白。

 

 

(ま・・・間違っちゃったぁぁぁっ!!!)

 

 

ページのトップへ戻る