World Joker/Side-B

番外編

失敗は萌えのもと

World Joker/side-B7話直後のお話となります。やたらと登場人物が多いですがコハクとヒスイがイチャイチャしているだけのような気も・・・。全5話。


[ 1 ]


数年後。

双子は、最大にして最後ともいうべき、途方もない悪戯をしでかすのだった。

・・・が、その前に。

「ヒスイ・・・っ!!ごめん遅くなって!!」

アイボリーのお仕置きに手こずったのか、コハクが教室に戻ってきたのは、作文発表の授業が終わったあとだった。
ほとんどの生徒は帰宅し、残っているのはマーキュリーと保護者のみ。

「お父さん、あーくんは!?」

父親に反逆した愚かな弟を心配し、マーキュリーが駆け寄る。

「磔にしてきたよ」

コハクは笑顔でさらっと受け流し。
ヒスイの元へ。

「ヒスイ?」
「お・・・おにいちゃ・・・」

ヒスイは青い顔で手に細い棒を持っていた。
棒の先には、赤く色が塗られている。
その様子からして、何かのくじ引きに当たったようだが・・・

「ごめ・・・PTA役員になっちゃった」

ほぼ固定メンバーで運営されているPTA役員会。
欠員が出たため、この度立候補者を募ったのだが、誰も手を挙げなかったのだ。
ヒスイとて例外ではない。

「悪いっすねー。この時期は特に忙しくてー」

と、コハクに耳打ちするオーケン。
話し合いで新規メンバーが決まらなかったので、やむなく“くじ引き”という強行手段をとったのだという。

「別に構いませんよ」と、コハクは快く引き受けたが・・・

「・・・・・・」
(私、こういうのすっごく苦手なんだけど)

ヒスイは自身のくじ運の悪さを呪っているようだった。

 

「早速なんすけどー」

学食を貸し切りにして、PTA役員の会合があるらしい。

「・・・・・・」
(知らないヒト、いっぱい・・・)

何年経っても、ヒスイの人見知りは治らない。
会合は1年〜6年まで合同で行われるため、半数以上が“人間”なのだ。
学食に移動して早々、緊張でガチガチになるヒスイ・・・するとコハクは。

「わ!?なに!?おにいっ・・・」

ヒスイを膝の上に乗せて着席した。
大人の常識はこの際無視だ。

「お・・・おにいちゃ・・・なんか笑われてるよ!?」
「いいの、いいの、この方が落ち付くでしょ?」
「そう・・・だけど・・・」

コハクという鎧を完全装備。
少々恥ずかしくもあるが、確かに安心する。
そして・・・

「・・・んぁっ!?」
(話、全然聞いてなかった・・・っ!!)

打ち合わせ中に・・・居眠り。
気付くとまた周囲に笑われて。
その時、ひとりの女性がコハクの腕の中にいるヒスイを覗き込んだ。

「ヒスイサン、お元気そうデスネ〜」
「サファイア!?」

サファイアは、世界蛇ヨルムンガルドを息子として育てている、堕天使シングルマザーだ。
その種族故の運命か、世界蛇ヨルムンガルド・・・アレキの成長は並外れて遅く、いまだに小学生をしている。
従って、サファイアは熟練PTAだ。
もうずいぶん長いこと会長職に就いているのだという。

種族の壁を超え、役員達に慕われている姿を見て、

「なんか・・・すごいね・・・」
と、ヒスイ。
同じ年代の子を持つ親として、かなり差がついてしまった気がする。

「イイですカ〜?ヒスイサン」

サファイアは昔と変わらぬ軽やかなノリで言った。

「愛されるタイプには2種類ありマース」

何かを成すことによって愛されるタイプ。
何も成さなくとも愛されるタイプ。

「ヒスイサンは後者なのデ、何もしなくていいのデス〜♪」

と、ヒスイの鼻先をプッシュするサファイア。
どっと笑いが沸き起こる。
辛辣にも思える発言だが、悪意は感じられず。
コハクも笑い。
ヒスイだけが、赤い顔で俯いていた。

 

それから数日後の深夜のことだった。

「聞いたぜ、PTA役員になったんだってな」

この偉そうな物言いは、サルファーだ。
珍しくヒスイの前に姿を見せたかと思うと・・・

「知ってるだろ?父さんが忙しいの」

いつも以上に刺々しい態度で迫ってきた。
今夜もコハクは仕事で出掛けている。
サルファーがしているのは、教会の話だ。
厄介な案件があるとかで、総帥セレナイトが直々に動いているらしい。
その仮パートナーとしてコハクが同行しているため、ヒスイを残しての外出が増えたのだ。

「いいか、悪いのはお前なんだから、絶対父さんに迷惑かけるなよ」
「わかってるわよ!そんなことっ!!」

ムキになって言い返すヒスイだったが・・・

「どうせお前のことだから、何でも父さんに任せっきりなんだろ」
「ぐ・・・」

わざわざ言いにくるあたりが憎い。
図星なだけに、余計。

サファイアやサルファーにここまで刺激されてしまっては、さすがのヒスイも“何かしなければ”という気分になって。

「そうだっ!明日の朝ごはんは私が作ろう!お兄ちゃんより早起きして!あーくんもまーくんもびっくりさせちゃうんだからっ!!」

料理のスキルは度外視で、ヤル気満々だ。夜更かししている場合ではない。

(早く寝なきゃ!!)と、思った矢先・・・

「ただいま」

裏口から、コハクの声。

「!!お兄ちゃん!!おかえりっ!!」

声を聞けば、顔が見たくなって。
顔を見れば、キスがしたくなる。
それはコハクもヒスイも同じで。
 
※性描写カット
 
翌朝、ヒスイは。

ぐっすり眠って、すっきり目覚めた。
ところが・・・時計を見て仰天だ。

「!!嘘でしょ・・・」
(こんな筈じゃ・・・)

張り切っていたわりに・・・思いっきり寝坊してしまった。
子供達はすでに学校へ。
あっさり、計画は失敗に終わる。

「・・・・・・」
(おかしいわね・・・私ってこんなにダメだったっけ???)

首を傾げるヒスイのところへ。

「おはよう、ヒスイ。朝ごはんできてるよ」

コハクが迎えにやってきた。
ちゅっ。
ほっぺにキスを貰って、ベッドから立ち上がると。

「着替えそこに出てるから」
「あ、うん」

丸襟丸袖、マリン色、夏にぴったりなチュニックと、ホーダー柄のレギンス。
新品のうえ、サイズ直しまで済んでいる。

(お兄ちゃん・・・いつの間に・・・)

毎度のことながら、不思議に思う。と、そこで。

「そうだ、先にスイカ食べる?」コハクの嬉しい提案。

「スイカ!?わ!!なんでわかったの!?」

実は密かに食べたいと思っていたのだ。

「この間、市場に行った時、じっと見てたから。食べたいのかな、と思って。夕べちょっと仕入れてきたんだ」

「・・・・・・」
(お兄ちゃん・・・)

ここまでくるともう感動の嵐だ。

「あーくんがタネ飛ばして、今ちょっとキッチンが大変なことになってるから、ゆっくりきてね」

と、コハク。
朝からひと悶着あったらしく、布巾を手に持っている。
片付けの途中なのだ。

「うん・・・」

爽やかなコハクの笑顔に見とれるヒスイ。

(顔にタネついてたけど・・・やっぱりカッコイイよ・・・お兄ちゃん)
 

PTA参加の学校行事として、もうすぐ『夏祭り』がある。
校庭を会場としたささやかなものだが、今回初めて、お好み焼きの屋台を出すことになった。
ちなみにお好み焼きは、異世界料理のひとつであり、作り方が知られていないため、事前に料理教室が開かれることになった。
講師は勿論コハクだ。が。
授業参観以来、そのイケメンぶりが噂になり、PTA・一般問わず参加希望者が殺到・・・教室に入りきらない事態となっていた。

「・・・何よこれ」
口を尖らせるヒスイ。
アシスタントとして共に壇上に立ったが、コハクに集まる好意の視線が気になってしょうがない。

「まずは、キャベツを切ります」と、コハク。

「ヒスイ、ちょっとそこの包丁取ってくれる?」

材料の説明をしながら、ヒスイの方へと手を伸ばす。

「ん〜・・・」

ヒスイは生返事で包丁を取った。
他者に刃物を渡す場合・・・自分が刃を持ち、相手に柄を差し出すのが常識であるが。
ヒスイはうわの空で。
柄を握り、刃をコハクに差し出した。
結果。

「んっ?」

グサッ!と、コハクの手に刺さり。
その手から血が噴き出すと、教室は大騒ぎになった。

「!!ごめ・・・なさ・・・」

ヒスイが教室を飛び出し、コハクが後を追う。

「ヒスイ!!」

すぐに追いつき、肩を掴んで抱き寄せる、と。

「離してっ!!」

ヒスイは暴れて。
まさしく逆ギレだ。

「大失敗だよ!?怒ればいいでしょっ!!」
「え?怒る???」

コハクはまるで意に介さず。

「ほらほら、泣かない、泣かない」

涙ぐむヒスイの目元を優しく唇で吸った。
そのうえ。

「ごめんね、僕の注意が足りなかったんだ」と。

自分から謝る始末。甘やかし炸裂だ。

「っ!!だからぁっ!そうじゃなくてっ!!」

今回ばかりは、己のダメっぷりを自覚していたため、つい感情的になってしまうヒスイ。

「う〜ん」コハクは困った顔で。

(怒れって言われてもなぁ・・・別にこんな傷たいしたことないし)

なにせベタ惚れなので、どんな失敗でも許せるし、むしろ萌える。

(可愛いぃぃぃ!!!)が、すべてのダメージを無効にしてしまうのだ。

「血、舐める?」
「舐めないっ!!」

ヒスイはコハクの腕を振りほどき、両手をきつく握って叫んだ。

「私っ!家に帰ってるからっ!!お兄ちゃんはPTAの使命を全うして!!」

 

「う〜ん・・・お兄ちゃんの役に立つには・・・喜んでもらうには・・・どうすればいいんだろ???」

ヒスイにしては珍しく、頭を悩ませながら帰宅・・・すると。

「母上!!」「ママぁ〜!!」

門の前で娘達が手を振っている。
シトリンとアクアだ。

「ね〜、ママぁ〜、これ見て〜」と、ヒスイに一冊の雑誌を渡すアクア。

「何これ???」

それは、セックスについて特集が組まれた女性誌だった。

「アクアぁ〜、これでコクヨ〜を一発KOしようと思ってぇ〜」
「おい、母上の前で、あまりはしたないことを言うな」

姉シトリンが咎めるも、妹アクアは堂々とエロ話を続けた。

「泊りでぇ〜、修業しようと思うんだけどぉ。ママも参加しない〜?」
「!!お、おい、何を言って・・・」

狼狽するシトリンをよそに。

「・・・これ、お兄ちゃん喜んでくれるかな?」

真に受けたヒスイが、アクアを見上げる。

「パパ、絶対喜ぶよぉ〜、アクアが保証する〜」
「ホント!?」
「うん〜」ニヤリ、アクアの口元が歪む。

「私っ・・・!!やるっ!!これでお兄ちゃんを一発KOするもん!!」

ヒスイは、アクアのセリフを引用し、決意を告げた。

「母上!?本気か!?」シトリンの声が裏返る。

(うぉぉぉ!!心配でならん!!)

「私も行くぞ!!」勢いで、シトリンもまた『一発KO同盟』に加わり。
 

こうして・・・女子3名による夏合宿が決行されることになった。
 

「待ってて、お兄ちゃん!!私、すごい女になって戻ってくるからっ!!」
 

 
[ 2 ]


女3人が到着したのは、とんでもないボロ寺だった。

「修業っていったらぁ〜、やっぱこういうとこでしょ〜」と、得意気なアクア。だが。

「!!あのお寺変だよっ!!」
 

ひと目見るなり、ヒスイは声を張り上げた。
“何かいる!!”と言って、先に進みたがらない。
しかしそこはシトリンとアクアが両脇を固め。

「はっはっはっ!母上は怖がりだな!」笑い飛ばすシトリン。

「お化けとかぁ〜?出るわけないじゃ〜ん」

アクアもまた笑って。
怯えるヒスイを引き摺っていく・・・
寺まで約50mの獣道。
その途中のことだった。

「なぁにこれぇ〜?」

女3人、一旦停止。
崩れた石像らしきものの破片が積み上がり、進路を塞いでいた。
が、そこで。

「邪魔ぁ」「邪魔だな」

姉妹が声を揃えて蹴り飛ばす。

「あっ!!こらっ!!何して・・・っ!!」

ヒスイはまたしても声を張り上げ。

「そういうことしちゃだめでしょっ!!」
と、娘達を叱った。

「なんでぇ?」「何故だ?」
「“祟り”は怖いんだからっ!!」

 

そう大真面目に説くヒスイを見て。

「母上は信心深いのだな」と、シトリン。

「あはっ!なにそれぇ〜」と、アクア。

姉妹揃って、お腹を抱えて笑う始末だ。

「・・・先に行ってて」

ヒスイはその場にひとり残り、飛び散った石像の破片を拾い集めた。

「なんだろ、これ・・・狛犬・・・かな?」

なにせバラバラなので、判断が難しい。

「ん〜と、これで全部かな?」

元の位置に元のように積み上げると、丁寧に両手を合わせて「ごめんなさい」。

(あれ?なんか・・・)

最初に感じた嫌な気配はいつの間にかなくなっていた。

 

1時間近く遅れてヒスイがボロ寺に辿りつくと、そこは随分環境改善されていた。
アクアが掃除をし、シトリンが草刈りと修繕を行ったのだという。
これなら、2泊3日、そこそこ快適に過ごせそうだ。

「それじゃ〜、修業はじめるよぉ〜!」

早速、アクアが仕切り。

「うんっ!」

ヒスイが返事をする。
今回一番のヤル気を見せていると言っても過言ではない。

「まあ、来たからにはやるしかあるまい」

若干照れつつ、シトリンも結構その気だ。

「え〜っとぉ、コレとコレとコレと・・・」

教材と称し、アクアが畳の上に並べたのは。
ちょっと変わった道具の数々・・・

「・・・・・・」「・・・・・・」

ごくっ、ヒスイとシトリンの母娘が息を飲む。
女体のトレーニングというより、ラブグッズのお試し会のような雰囲気になってきた。

「ちょっ・・・そういうのやだってばぁっ!!」

逃げ回るヒスイを、アクアが追いかける。

(まずいぞ!!)シトリン、心の声。

早くも懸念していた展開だ。

(何としても母上を守らねば!!)

アクアの興味を他へ逸らそうと、必死で考え・・・

「おお!そうだ!温泉があると言っていたな!どうだ?入ってみんか?」

すると、アクアはヒスイ弄りを止め。

「ん〜、いいよぉ」

一方、「私はあとでいい」と、ヒスイ。

例の女性誌に書かれているトレーニング法を実践すると言って、単身、寺に残った。
 

そしてこちら・・・寺から100mほど離れた露天温泉。

「なかなかいい湯ではないか!」

褐色の湯で、温度は高め。
無論、貸し切りだ。
女同士、しかも姉妹なので気兼ねもなく。
シトリンは温泉を囲う岩に肘を乗せ、豪快に両脚を広げて寛いでいた。
ところが。

 
※性描写カット


怒りを露わにしつつ、タオルを体に巻き、顔を上げる・・・と。

「!?」

温泉周辺はいつの間にか濃い霧に包まれていた。
すぐそこにいる筈のアクアの姿さえ見えない、異常事態だ。

「む・・・何だ!?この霧は」

一方こちら、ヒスイ。
寺の周辺には霧など出ておらず、障子越しに穏やかな夕陽が差し込んできていた。
そんな中。

「はぁっ・・・はぁっ・・・」

ヒスイは懸命にトレーニングに励んでいた。
体操服※コスプレ衣装に着替え、スクワットやつま先立ちのエクササイズ。
美乳作りのため、畳の上で仰向けになり、タンベル運動もした。
勿論、イメージトレーニングも欠かせない。

「はぁ・・・おにい・・・ちゃん・・・」

その時、スパンッ!と、障子が開かれ。
そこには、コハクと双子の姿。

「!!おにいちゃ・・・!?あーくん!?まーくん!?」

一応置き手紙をしてきたのだが、コハクがヒスイなしの生活に耐えられる筈もなく、双子を連れて迎えに来たのだ。
ヒスイの不自然な格好を見るなり、

「暗くなるまで外で遊んでおいで」

と、コハクは双子を放る勢いで外に出し。
障子を閉めた。

※性描写カット

「好きだよ、ヒスイ」
「お兄ちゃん・・・」

瞳を閉じて、唇を寄せ合う二人・・・もうすぐキス、というところで。
バリッ!今度は障子紙に穴が開いた。

「・・・・・・」「・・・・・・」

見える拳はアイボリーのものだ。

「大変だぁぁぁぁ!!!大変だ!大変だ!大変だ!」

非常事態をアピールするために、次々と障子紙を破るアイボリー。
そして言った。 

「シトリンとアクアが男になったっ!!」
 

 
[ 3 ]

 
アイボリーの報告を受け、2人の様子を見に行くと・・・
男性化したシトリンとアクアが、裸で、どつきあっていた。

「母上と我等で3Pなどとは不届千万!!」
「冗談に決まってるじゃ〜ん」
「いや!あの顔は本気だった!む!?何を笑っている!!」
「シト姉だって〜、一瞬心揺れたくせにぃ〜」
「な、なにを言うか!!私は断じてそんなことは考えておらん!!」

隠すべきところも隠さず、互いにメンチ切り。

アイボリーが

「ほらっ!生えてる!」

と、両者の股間を指差した。
シトリンは若かりし日のコハクそのもので。
圧巻の美しさを誇っている。
もともとスタイルが良いだけに、引き締まった体つきだ。
女なら、きっと誰もが見とれてしまう。
一方、アクアは、流れる銀髪に濃厚な色気が宿り。
危険な男の香りを漂わせている。
異性を緊張させる、冴えた魅力だ。

「はいはい、そこまでね」

立派な息子になってしまった娘の間に割って入るコハク。

「とにかくこれ腰に巻いて」

と、厚手のタオルを2人に渡した。

「男のソレは所構わず晒していいものじゃないからね」と。

ここは、苦笑いするしかない。
そもそも・・・なぜこうなったのかと言えば。

「祟りだね」

と、コハク。

「あ〜・・・」「あれか」

アクアとシトリンが顔を見合わせる。
心当たりは、当然ある。

「だから言ったのに〜・・・」

ヒスイが口を尖らせると。

「母上の言った通りだった、すまんな」

シトリンが頭を撫で。

「ママぁ〜、拗ねた顔も可愛い〜」

アクアが頬をつつく。
美男子2人がヒスイをチヤホヤ・・・ホストクラブのような雰囲気になってきた。

「・・・・・・」
(なんだかなぁ・・・)

コハク、心の声。
ヒスイの周りは本当に男だらけで。
コハク的には複雑である。が。
そんなムードを打ち破ったのは、ヒスイだった。

「ふたりとも手貸して」

シトリン、アクア、それぞれの右の手のひらにペンで紋章を描いてゆく・・・

「何だ?これは」「なぁに?これぇ」

姉妹・・・今は兄弟だが、揃って首を傾げる。

「ふたりとも武器と召喚契約してるでしょ?それを一時的に凍結させるの」

シトリンは大鎌、アクアはトンファー。
確かに、必要に応じて、即、手にすることができる。

「武器を差し押さえて、攻撃力を抑えなきゃ・・・」

「?」「?」

ヒスイの話についていけないという風の2人。
そこでコハクが。

「自覚はないだろうけど、君達、取り憑かれてるから」

どこからか用立てた麻縄に聖水を降りかけ、話を続けた。

「じき精神を乗っ取られて、敵味方なく暴れ出す。その前にちょっと縛らせてね。まあ、これは時間稼ぎにしかならないだろうけど」

コハクもヒスイも悪魔祓いを生業としているだけあって、手際がいい。

「たぶん元は狛犬だと思う」

そうコハクに話すヒスイ。
狛犬は神社や寺の守り神として人間に祀られている霊獣だ。
時と共に薄れてゆく信仰に不満を募らせ・・・依り代としていた石像が崩れたことで、陽と陰のバランスが不安定になっていた。
長い間放置されたうえに、それを足蹴にされたことで、陰に転じ、悪霊として解放されてしまったのだ。
すぐに「ごめんなさい」をしたヒスイだけが、辛うじて霊災から免れた。

ヒスイは、シトリンとアクアに向け言った。

「これからお兄ちゃんと除霊するから」

実体を持たない悪霊・・・何かに憑依させて封じるのが、教会推奨の対処法だ。
調伏し、新人の守護霊にするため回収するのである。
その場合、もともと器であったものが望ましいが、知っての通り狛犬の石像はバラバラになっている。
以下、コハクの采配。

(シトリンとアクアは僕がまとめて相手するとして・・・)

激戦が予測されるため、ヒスイはなるべくこの場から遠ざけたい。
その手立てはもう考えてある。

(あとは、崩れた狛犬の石像を、誰が修復するか・・・)

答えはひとつだ。

「・・・あーくん、まーくん、ちょっと手伝ってくれる?」
「うんっ!」「はいっ!」

わくわくした顔でコハクを見上げる双子。
悪戯根性があるので、この事態をむしろ面白がっている。
コハクは備え付けの書道具を持ち出し、水墨画で狛犬の姿を描いてみせた。

「狛犬は2体、左右で対になってる。片方には角があって、もう片方には角がない。どうかな?この絵でわかる?」

こくり、双子が頷いた。

「完全に元の形に戻すのは難しいかもしれないけど・・・復元率70%を超えれば、封印は可能だから・・・できるかな?」
「任せろ!俺、プラモ組み立てんの得意!!」

アイボリーが胸を叩き。
隣でマーキュリーも相槌を打った。
彼もまた、パズルが得意だったりする。

「あ、これ、接着の呪文」と、今度はヒスイが双子にメモを渡した。

「術者はまーくんの方が向いてると思う。あーくんはちょっと早口だから途中で噛みそう」

さらっとそう言い放ち、続けてコハクに指示を仰ぐ。

「お兄ちゃん、私は?」
「これをお願いできるかな」

コハクは一通の手紙をヒスイに託した。
口下手なヒスイが説明に困らないよう、おおよその経緯をしたためたものだ。

「コクヨウとジンくんに見せて、ここに連れてきて貰えるかな?」
「ん!わかったっ!!」
 

拘束はファミリー会議の間しか保たなかった。
ヒスイをモルダバイト中枢に向かわせた後すぐ、麻縄が切られ。
シトリンとアクアは見事に乗っ取られていた。
イケメンには違いないが、禍々しいオーラを纏っている。

「それじゃあ、僕がしばらくお相手するよ」

くいくい指を曲げ、コハクが挑発し。
次の瞬間、争いが起こった。
突進してくるシトリンとアクアを、コハクが掌打で吹き飛ばす。

(拳で殴る訳にはいかないしなぁ・・・)

逞しい男の姿をしていても、娘は娘だ。
父親としては、かなりあしらいにくい。

「よっ、と」

シトリンの踵落としを右手で止めると、ほぼ同時に体を反転させ、アクアの蹴りを蹴りで止める。
息をつく間もないとはまさにこのことだ。
W回し蹴り、上段下段、キックの嵐。
避けて、弾いて、凌ぎながら、それぞれの足首を掴んで放り投げるコハク。しかし。
シトリンもアクアも柔軟な動きで、すぐに体勢を立て直し反撃してくるのだ。

「さすがにやるなぁ、っと・・・」

シトリンの、千手観音を彷彿とさせる手数の多さ・・・男性化しているだけあってパワーも増し、受け止めた手のひらにビリビリとした衝撃が走る。
が、片方にばかり気を取られてはいられない。
コハクはポケットから小瓶を出し、迫りくるアクアに投げつけた。
瓶の蓋が外れ、中の液体が散った瞬間。

「グォォォォオ!!!」

獣の声で吠え、アクアが蹲る。
瓶の中には、コハクの血が入っていた。
ヒスイ専用の媚薬として持ち歩いているものだが、本来、熾天使の血には絶大な退魔効果がある。
一見凄惨な光景だが、苦しんでいるのは内なる悪霊で、アクアの体は血で汚れただけだ。

「やるじゃねーか、コハク」

瓦礫の山に向かう途中、足を止めて魅入るアイボリー。
子供の目では追い切れないスピード戦だが、攻防の凄さは伝わってくる。

「当たり前だよ。お父さんは特級のエクソシストなんだよ」

マーキュリーは、アイボリーのTシャツの襟を掴んで引っ張った。

「いくよ、あーくん」
「たまには僕達も褒められることしようよ」


 
[ 4 ]



獣道を逆戻りして、石像の組み立てに向かう双子。

「なぁなぁ、俺ってそんなに早口?」

アイボリーはヒスイに言われたことを気にしているようで、いまいち集中できていない様子だ。

「まーの方が頼りにされてんの」と。
すぐ拗ねる・・・癖。
一方、マーキュリーは子供ながらに何かを押し殺した声で。

「グダグダ言ってないで、さっさとやって。いつもの遊びじゃないんだよ」

角が無く、口を開いているのが、阿形と呼ばれる狛犬。
角を持ち、口を閉じているのが、吽形と呼ばれる狛犬。
まずはパーツの分別からだ。
いつになくまじめに取り掛かるマーキュリーに対し。

「そんなに褒められたいのかよ」

アイボリーが口を尖らせる・・・その仕草は母ヒスイに似ている。

「褒められるより、怒られる方がいいなら、マゾだよ、あーくんは」

切羽詰まった事態だからか、今日のマーキュリーは結構な辛口だ。

「ちげーよっ!!」

小さな牙を剥いて反論してから。

「そんなんじゃねぇもん!!」

アイボリーはまた口を尖らせ。

「まーって・・・時々怖い・・・」

呟くような声で言った。

 

こちら、モルダバイト城。

ジンの元へ、銀の獣※コクヨウに跨ったヒスイが現れた。

「ヒスイさん!!どうもご無沙汰して・・・」

婿養子のジンは、義母のヒスイにやたらと気を遣ってしまう。
ヒスイのブルマ姿に疑問を抱くが、恐れ多くて訊くに訊けない。
そんなことはお構いなしで、ヒスイはジンに手を伸ばし、言った。

「来て!シトリンが大変なの!!」
「祟り舐めんなよ!!クソッタレ!!」

大地を疾駆しながら、怒り心頭のコクヨウ。
他者を背中に乗せて走るなど、いつもなら絶対に応じないが、今回ばかりは仕方ない。
緊急事態ということで、首輪を外され、本来の姿に戻っているので、1人や2人はゆうに運べる。

「これ、お兄ちゃんから」

と、ジンに手紙を渡すヒスイ。
慌ててジンが目を通す・・・

“君達がこの手紙を読んでいる頃には、もう―”

まるで遺書のような書き出しだ。

「お兄ちゃんが、シトリンとアクア相手にひとりで戦ってるの!」
「あの極悪天使がやられるワケねーだろが!」

ペッ!走りながらコクヨウが唾を吐く。
当然のことながら、天敵コハクの心配はしていない。

「危ねぇのは、憑依された女どもの方だろ!」
「あ〜・・・えっと・・・」
(今は“男ども”なんだけど・・・)

言葉を濁すヒスイ。
どうやらそのことは文面に書かれていないらしい。
そして・・・こちら、ボロ寺では。

「コハク!できたぜ!」

7割、それ以上の素晴らしい出来だ。
接着はすべてマーキュリーが行ったが、アイボリーの貢献度もかなりのものだった。
その声を合図に、コハクが除霊に取り掛かる・・・と、いっても最高位の天使であるため、他のエクソシストと違い、神の名を借りる術式などは必要としない。

「ちょっと痛いかもしれないけど我慢してね」

コハクは、ロザリオを巻きつけた木の枝で、シトリン、アクアの背中を順番に叩いた。
それだけで。
悪霊は2人の体から離れ。
あとはそれを狛犬の体に戻せば良いだけだが・・・
そこに、ヒスイ、コクヨウ、ジンが登場したことで、コハクの予定が狂い出した。
ヒスイに持たせた手紙にはこう綴っていたのだ。

“君達がこの手紙を読んでいる頃には、もう―徐霊は済んでいると思う”

実際そのつもりでいたのだが、コクヨウがコハクの予想を上回る早さで駆け付けたのだ。
そこからは、職業柄の条件反射・・・コクヨウは牧羊犬さながらの動きで悪霊を依り代まで追い込み。

「任せて!!」

頼まれてもいないのに、ヒスイが封印の札を構える。
ところが。コクヨウの背中が揺れ、狙いが外れて。
ヒスイの投げた札の1枚がマーキュリーの額に命中。

「あっ!まーくん、ごめんっ!!」
「ぎゃははは!!キョンシーみてぇ!!ヒスイ最高!!」

アイボリーがバカウケする。

「・・・お母さん、しっかりしてください」

マーキュリーは額の札を剥がし、ヒスイに代わって狛犬に張り付けた。
すぐにヒスイが呪文を唱え始める・・・が。
詠唱途中で、思いっきり噛んだ。

「テメ・・・噛んでんじゃぇぞ!!コラァ!!!」

今度はコクヨウが怒りだす。
しかし、途切れた呪文の続きはコハクが引き継いでいた。

(ヒスイは大体いつもこのへんで噛むからなぁ・・・)

ヒスイの失敗は日常茶飯事なので、対応にも慣れているのだ。
ちょっとくらい予定が狂ったところでどうということはない。

(ああ・・・可愛い・・・)

デレデレしながら・・・徐霊完了、だ。
悪霊が抜け、倒れ込むシトリンとアクアの体を受け止めたのは、ジンが咄嗟に草で編んだ網だった。

「あの・・・ふたりともずいぶん男性的に見えるんですけど・・・」

物は言いようで。
ジンはやんわりと遠回しにそう口にした。
男性的・・・というか、完全に男だ。
内心かなり動揺している。

「祟りでちょっとね」と、コハク。

「明日の朝には元に戻ると思うから。変わらず愛してあげてね?」

ジンの肩に手を置き、にっこり。

「はぁ・・・」
「コクヨウ、君もね」
「うるせぇ!オレに指図すんじゃねぇ!」

荒くれた口調だが・・・クンクンとアクアの匂いを嗅いでいる。
怪我がないか心配しているのだ。
これには一同笑ってしまった。
次にコハクは。

「あーくんもまーくんも御苦労様」

と、同時に双子の頭を撫でた。
すると、アイボリーはヘヘッ!と機嫌良く笑って。
コハクに抱きついた。

「ん?ずいぶん嬉しそうだね」
「人の役に立って、嫌な気分になることはあまりないです、お父さん」

マーキュリーもまた笑顔で言った。

「・・・なるほど、そういうことね」
(役に立って、嫌な気分になることはない、か)

「お父さん???」
「ありがとう、ひとつ勉強になったよ」

マーキュリーのふわふわの銀髪をくしゃくしゃにして、コハクも笑う。

「あ!まーだけずるい!!俺もくしゃくしゃして!!」
と、アイボリー。そこに。

「あ!ずるいっ!私もくしゃくしゃして!!」

子供達に負けじとヒスイも乱入してくる、が。
途端に、アイボリーの悪戯心に火が付いて。

「ヒスイの頭は俺がやってやる!!」

両手をわしゃわしゃと動かし、ヒスイに迫る。

「やだっ!!お兄ちゃんがいいっ!!」

ヒスイは一目散に逃げ出した。
その頃には・・・
シトリンもアクアも意識を取り戻していた。
さすがにタフな血統だ。

「いやぁ、すまんな」シトリンからジンへ。

「ごめんねぇ〜」アクアからコクヨウへ。

そうは言うが、2人ともさほど男性化を気に病んでいない。
兄弟のまま肩を組み、今夜は男同士で飲み明かそう!という話になっている。
こうして、一段落したところで。

「あ、私温泉入る!」

と、ヒスイ。
当然コハクも、子供達も一緒だ。

「あ、そだ、パパぁ〜」

コハクを呼び止め、アクアが手招きする。

「ん?」
「あのね〜・・・」

コハクの耳元で、こそこそと内緒話。

「・・・なるほど、そういうことね」

コハクはさっきと同じセリフで、笑いを堪えながら聞いていた。

「じゃ〜ね〜!いってらっしゃぁ〜い!」と。

手を振り見送るアクアの後ろから、シトリンが顔を出し。

「あ!おい!待て!あそこには・・・」

被害者としての立場から、注意喚起しようとするが。

「大丈夫〜、大丈夫〜」

わざわざ伝える必要はない、というアクア。

「しかしだな、母上にもしものことがあったら・・・」
「大丈夫だよぉ、だってパパだもん〜」

それを聞いたシトリンは・・・納得、だ。

「ふ・・・それもそうだな」


 
[ 5 ]



こちら、露天温泉。

「ひゃっほう!すげぇぜ!!」

鼻を摘み、温泉に飛び込むアイボリー。

「いきなりは心臓に悪いよ」

マーキュリーは軽く準備運動をしてから、湯に足を浸けた。
露天というだけあり、実に広々として。
子供達にとっては温水プールのようなものだ。
ついついはしゃいで泳ぎ出す。
その傍らでは。

※性描写カット 

ふくらはぎに、ぬるんとしたものが巻き付いて、ヒスイの意識を引き戻した。

「!?お・・・おにいちゃ・・・!!」
「ヒスイ?」
「う・・・うな・・・うなぎが・・・」
「ん?うなぎ???」
「きゃぁぁぁっ!!!」

数十分後・・・
寺の裏手で煙があがり、何事かと男子4名※シトリン・アクア・ジン・コクヨウが駆け付ける。

「!!」

シトリンは、コハクが七輪で焼いているものを見て驚嘆した。

「そ・・・それは!!うなぎの蒲焼きではないか!?」
「ああ、このうなぎね。すごぉく目障りだったから」

あとは見ての通りだ。
見事に捌かれている。

「丁度良かったよ」と、愛想良く笑うコハク。
「うなぎは精がつくって言うからね。わざわざ来てもらったことだし、これでも食べていって」

そう言って、うなぎの蒲焼きを皿に盛り付け、ジンとコクヨウに勧めた。

「はい、ジンくん」
「ありがとうございます」
「はい、こっちはコクヨウの分」
「・・・・・・」
(クソ・・・差つけやがって)

ジンとは皿の形状が違う。
コクヨウは犬と同じ扱いだ。
コハクの鬼畜な性分がダダ漏れしている。

「いいな〜、アクアも食べたぁい」

物欲しそうにアクアが皿を覗き込むが。

「テメェが精つけてどうすんだよ!!」

そんな状態のアクアに襲われでもしたら、男として終わる気がする。
食われる前に食う!の精神で、コクヨウは蒲焼きを丸飲みにした。
ジンもまた、美味しそうに蒲焼きを口に運んでいる。
この光景にいたく感動するシトリン。

(よくぞ仕留めてくれた!!父もどきよ!!)

コハクに感謝せずにはいられない。
この日・・・シトリンの目にはコハクが“いい奴”に見えたという。

 

後日、PTA役員会にて。

「コハクサン、今日はおひとりデスカ〜?」
「うん、まあ」

コハクは軽く相槌を打ってから、PTAの仕事についてサファイアに話を聞いた。

「色々ありますヨ〜」

夏祭りやバザーの開催、学区内の清掃とパトロール、広報誌の作成、そのための取材、コハクが講師を務めた親向けの教室もそのひとつである。

「どうカしたんデスカ?」
「この間、息子から学んだことがあってね。ちょっと試してみようかな〜と」

ヒスイにもできそうなPTAの仕事を探しているのだという。

「役に立つとか立たないとか、そんなことは関係ない。ヒスイはヒスイらしく、いつも僕の傍にいてくれれば、それだけで充分なんだけど」

そこで苦笑いを挟んで、コハクは話を続けた。

「ヒスイはちょっと違うみたいで、何かをしたがってるから」

するとサファイアは、クフフ・・・と、目を細めて笑い。

「役に立ちタイと思うのモ、それを望まナイのモ、どちらモ愛情に付随する感情デス」
「うん、そうみたいだね」

コハクもまた、瞳を伏せ、静かに笑った。

「ア!ヒスイサンにピッタリなお仕事、ありますヨ〜?」

夏祭りの盆踊りで使う音頭のデモテープ作り。

「有志のPTAコーラス隊カラ選抜する予定でしたガ、ヒスイサン、とっても歌ガお上手ですカラ〜。お願いできマスカ〜?」
 

そして、某日。
録音スタジオ・・・といってもそこは、赤い屋根の屋敷だ。
デモテープの作成は、人前で歌うのが苦手なヒスイにもってこいの仕事だった。
両手でしっかりマイクを持って。
コハクの前なら、ちゃんと歌える。
レコーディングは無事終了し。

「お兄ちゃん!」と、ヒスイ。

「私っ!役に立った?」
「うん、助かったよ。ありがとう」

コハクがそう伝えると、ヒスイは本当に嬉しそうに笑った。
あの晩の、双子の笑顔と重なる。

「・・・・・・」
(役に立って、嫌な気分になることはない、か)

これもまた、ヒスイの幸せのひとつとなるなら。

(自立されちゃ困るから、まあ、ほどほどに)

活躍の場をつくってあげられたらと思う。
そういう意味では、PTAの役員になって良かったのかもしれない。

(でもって僕は、これからも、ヒスイの役に立って、立って、立ちまくるけどね!!)

これこそが、コハクの愛情表現なのだ。

(好きだよ、ヒスイ)

今日は心の声で愛を告げ。

(だからどうか・・・)
 

どうか・・・
ヒスイも僕のこと―
ずっとずっと、好きでいてくれますように。

 

 
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