裏部屋T No.05
ここに眠る想い
学校にて。カップル絵巻No.12の設定をもとにしてます。
トパーズが教員を務める女子校に、ヒスイが手伝いにきて一週間・・・今日も数学資料室で雑務に追われていた。
「やっと手に入ったわ・・・」
嬉しそうに手元を見つめるヒスイ。
手にしているのは、トパーズのファンクラブの会員証だ。
会員番号は189とかなりの後番だが、生徒を装ってやっとファンクラブに入れたのだ。
ヒスイにしては頑張った方だ。
「トパーズって、やっぱり人気あるんだ・・・うん、当たり前よね・・・」
嬉しいような、寂しいような。
(これが親心なのね)
「あ!ト・・・」
数学資料室前の廊下でトパーズを見つけ、声をかけようと口を開くヒスイ。
ところが。
「センセー」
ひとりの女生徒に先を越されてしまった。
「・・・・・・」(会長だわ)
会長とはファンクラブの、である。
ヒスイは思わず資料室に引っ込んだ。引っ込んだが・・・気になって。
扉の隙間から二人の様子を覗き見。ちょうどその時聞こえてきたのが。
「センセーに奥さんと子供いてもイイよ」
「・・・・・・」(今ドキのコって、大胆ね・・・)
不倫覚悟の告白。
自分は口が裂けてもあんなことは言えないと思う。
「・・・あれ?なんだろ?急に」
胸やけがする。
(お昼ご飯食べすぎたかな???)
ヒスイは首を傾げ。
「保健室、いこ」
資料室からそっと抜け出そうとした、が。
「逃げ出すとは、いい度胸だな」
トパーズに見つかり、資料室に引き戻される。
「ち・・・ちが・・・邪魔しちゃ悪いと思って・・・」
更に言い訳が仇になり。
「ほう・・・見ていたか」
トパーズは冷笑を浮かべ、扉に鍵をかけた。
「見ていたなら話は早い」と、ネクタイを緩める。
それからヒスイに顔を近付け・・・
「オレはモテるぞ?」
「だ・・・だから何?」
動揺し、どもるヒスイ。一方トパーズは。
「いいのか?オレが他の女と寝ても」
たとえばあの女とか、と、ヒスイの顎を掴み、耳元で意地悪に囁く。
「言え、“いやだ”と」
「・・・っ!!」
顔を背けようとしても、できない。
ヒスイは視線を泳がせ・・・
「そんなこと言う資格ないもん」
するとピクッ、トパーズの眉が動いた。
「本気でそう思ってるのか?」
キス寸前まで顔を寄せ、問いただす・・・が。
ヒスイは赤い顔で口を結んだまま、目を合わせようとすらしない。
「・・・20点だ」
ヒスイの回答に点数をつけるトパーズ。
「赤点だな」と言って、ヒスイの手首を掴んだ。
ドンッ!ヒスイの背中が壁にぶつかるまで追い詰め。
「ト・・・トパーズ?」
怯えるヒスイの表情を見て「35点」と採点した。
続けて、指をヒスイのショーツに入れ。
「あッ・・・んんッ!!」
「点数がいいのはここだけだな」
※性描写カット
只今、昼休み。
扉一枚隔てた先では、女生徒達がおしゃべりをしながら往来している。
学校でのエッチは毎回そんな状況なので、挿入時、ヒスイはいつもトパーズに口を押さえられていた。
「ん・・・ッ!!」
※性描写カット
「あッ・・・だめ・・・も・・・やめ・・・!!」と、その時。
「あっ」
ヒスイのポケットからポロッと落ちたのは、ファンクラブの会員証。
場が一気にシラける。
トパーズはヒスイより先にそれを拾い上げた。
「・・・とことんバカだな」
なぜ今更ファンクラブなのか・・・ヒスイのズレた愛情表現に、苛立つ。
(ファンクラブなんかに入ってる暇があったら、オレに直接好きだと言え)
「返してよっ!やっと入れたんだからっ!」
ヒスイの言い分は無視で会員証は没収。
「いいか?」トパーズはヒスイに上を向かせ、言った。
「お前がすべきことは“共有”じゃない」
“独占”だ。
「えっと・・・あの・・・」
意味が伝わっているのかいないのか、ヒスイの反応は鈍い。
「・・・まあいい。じっくり教え込んでやる」
そして・・・
「ちょっ・・・え?トパーズ???」
初めから拘束するつもりでいたのだろう。
数学資料室の机には縄が用意されていた。
スルスルと鮮やかな手さばきでヒスイの両手両足を縛るトパーズ。
「次の授業が終わるまで、そのまま待ってろ」
「ええっ!?」
※性描写カット
(あ・・・トパーズの声)
どうやら隣の教室で授業をしているらしい。
耳を澄ますとよく聞こえる。
(そういえばまだキスしてもらってない・・・あとで絶対してもらわなきゃ!!)
ヒスイは妙な決意を胸に、壁向こうのトパーズの声に耳を傾けた。
「・・・早く授業終わらないかな」
それから数十分後、授業終了のチャイムが鳴り。
トパーズが数学資料室に戻ってきた。
「トパーズ!おかえりっ!」
羞恥的ポーズのまま迎えるヒスイ。
※性描写カット
「・・・・・・」
放ったらかしにしたのが良かったのか・・・ヒスイの口から幾度となくトパーズの名が出た。
「あッ!あッ!あッ!トパーズっ!!」
昇り詰めた瞬間にも、ヒスイはトパーズの名を呼んだ。
※性描写カット
「・・・今のはなかなか良かったぞ」
「ん・・・」
「やっとキスしてもらえた」と。ヒスイはとても嬉しそうに笑った。
そののち。
「あ、そうだ。保健室行こうと思ってたんだっけ」
パンツをはきながら、ヒスイは独り言のように呟やいた。
「保健室?どうした、理由を言ってみろ」と、トパーズ。
保健医が男なので、トパーズ的には阻止したい。
「うん、さっきちょっと胸ヤケがして」と、ヒスイ。
さっきとはいつか、トパーズが尋ねると。
「う〜んとね、トパーズが会長と話してるの見てからかな」
「・・・・・・」(バカだ・・・どうしようもないバカだ)
それが“嫉妬”であることに、気付いていないのだ。
“嫉妬”とは、愛の感情。
(ここに、それが眠ってる)
「トパーズ?」
「・・・・・・」
トパーズはブラウスの上からヒスイの鼓動を探り、一番強く脈打つ場所に唇を寄せた。
眠り姫のように。キスで目覚めるものなら。
(何度だってしてやる。だから・・・)
目覚めろ・・・ここに眠る想い。
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