世界に愛があるかぎり

24話 恋の戦利品



モルダバイト城。

「じゃあ、私ローズのところに行ってくる」
「うん。僕はシンジュに挨拶をしてくるよ」

ちゅっ。

「アタシからの結婚祝いだ。好きなだけイチャつきな」
そう言って、カーネリアンはコハクに5日間の休暇を与えた。
休暇一日目はベッドの中で過ごした。残り4日・・・休暇を利用しての挨拶まわりだ。
新妻を自慢したい一心でコハクがヒスイを連れ回している。


「・・・で?その後進展ないの??」
ヒスイはローズの部屋を訪れた。そこで早速女同士の話をする。
「全然」
ローズの部屋にはヒスイのブーケが飾られている。激戦を勝ち抜いて我が物としたのだ。
御利益があるようにと日々祈りを捧げている。
「囲碁やら盆栽やら、シンジュの年寄りくさい趣味が伝染して休日はジジババみたいに過ごしてますよ。今、シンジュに将棋を習っていて・・・」
「へぇ〜・・・」
ヒスイがにやにやしている。
「お休みの日は一緒に過ごしてるんだぁ〜・・・いいムードじゃない?」
「私がおしかけてるだけですけどね」
「くすっ。頑張ってるんだね」
「そりゃ、頑張りますよ・・・」
「どうしたの?元気ないわね」
「それが・・・」
ローズはヒスイに意外なライバルの存在を打ち明けた。
「え?ラピスが?」
「はい。どうも趣味が似てるみたいで。双子だから仕方ないですけど」
「ラピスかぁ〜・・・まずいわね」
「私も最初はあんなモジ男相手にならないと思ってたんですよ」
「シンジュは世話好きだから。ダメな奴ほど放っておけないのよ」
ヒスイが言うと説得力がある。まさにその通りなのだ。
何をやってもダメなラピス・・・シンジュがやたらとフォローしている。
最近それが目について、気になって仕方がないのだ。
一番近くにいられれば・・・なんて悠長なことを言っていられなくなってきた。
「私はローズの味方よ!ラピスなんて蹴散らしてシンジュを勝ち取るのよ!」
ヒスイは熱く語った。
「ヒスイ様・・・」
「ヒスイでいいわ」
二人はがっちりと抱き合った。
恋する女の友情がここに誕生した。


「・・・いい考えがあるの」
帰り際、ヒスイがローズに秘策を授けた。
(ヒスイ様って・・・ヒトのことにはこんなに頭が回るのに、なんで自分のことになるとあんなにバカなんだろ・・・。シンジュも言ってたけど、頭がいいのか悪いのか本当によくわからない・・・)



「力試し・・・ですか」
翌日、ローズは早速実行に移した。
「そう。どうせシンジュには勝てるはずないだろうけど、胸を借りるつもりでやってみたいな〜って」
「まぁ、そういうことでしたら・・・いいですよ。勝負しても」
“シンジュは将棋の腕を自負しているから、そこが狙い目よ。ヨイショしながら勝負を申し込めば絶対のってくる。はなから自分が負けるとは思っていないから条件をつけても大丈夫。例えば・・・”

ヒスイの言葉がローズを導く・・・

「でね、もし私が勝ったら・・・デートして欲しいな、って。大人の姿で」
「はぁ?」
「だめ?言うだけは言っとこうと思って。どうせ勝てるわけないし」
「まぁ、いいでしょう。私が負けるはずありませんからね」
(やった!)

“約束を取り付けてしまえばこっちのものよ。シンジュは絶対に約束を破らない。あとはローズが勝つだけよ”

(勝つだけ、って言われてもねぇ)
将棋は始めたばかりなのだ。正直勝つ自信はない。
(けど、ダメもとでやってみる価値はある!)

 

「うそ・・・勝っちゃった」
「・・・・・・」
(信じられない・・・この私が負けるなんて・・・)
シンジュは将棋盤を凝視して固まっている。
文句の付けようのない一手だった。
(私が・・・負けた・・・)
ショックが隠しきれない。
ローズは頭が良かった。
“勉強ができる”という分野ではなく“狡賢い”という分野で。
先の読めない癖のある将棋を指すのだ。
「約束よ!デートして!」
「・・・わかりました」



(信じられない・・・デートでこんなとこくるなんて・・・)
今日は何時間もかけてお洒落をしてきた。
シンジュから行きたい場所があると言い出したので、心が躍った。
そしてたどり着いたのは・・・将棋の集会所。
コホン。シンジュは咳払いをしてローズを見た。
約束通り大人の姿をしている。
魅力漂う20代後半・・・16歳のローズと並ぶと立派な年の差カップルだった。
「ここで一局どうですか」
「・・・・・・」
(は〜ん。私に負けたのがよっぽどくやしかったのね。ヒスイ様が言ったとおりの負けず嫌いだわ)
ローズはにやりと笑った。
「・・・いいわよ。その代わり、私が勝ったら腕組んで歩く!どう?」
「・・・いいでしょう」


「♪」
ローズは浮かれていた。
秋風の吹く街角をシンジュと腕を組んで歩いている。
すれ違う人々は皆、シンジュを振り返る。
(ふふっ。みんな見てる。いい男と歩くのって・・・気持ちいい〜!)
ローズは更に強く腕を絡めた。
「・・・・・・」
(負けた・・・人間の・・・しかも女性に・・・)
「・・・あり得ない・・・」
そんな言葉がシンジュの口から洩れる。
「・・・もう一回やる?」
ローズは負ける気がしなかった。今、ノリにノっている。
「次は・・・キスよ」
「・・・・・・」
(あそこがこうなって・・・そうか!こう打てば・・・勝てる)
一方、シンジュは連敗の屈辱から冷静な判断力を欠いていた。
「・・・いいでしょう」



モルダバイト城。

シンジュの部屋にて。
(か・・・勝てない・・・)
シンジュのプライドは塵と化した。
能面のような顔で将棋盤を見つめている。
ローズは強かった。
(なぜ・・・こんなに強いんだ・・・)
「約束よ。キスして」
ここに。と、唇を指さしてローズが微笑む。
「・・・わかりました」
シンジュは立ち上がりローズの肩に手をかけた。

どきん。どきん。どきん。ごくっ。

(つ・・・ついにシンジュと・・・キス・・・)

ガチャ。

「あ・・・」
最悪のタイミングで現れたのは・・・ヒスイだ。
「ごめん・・・続きやって」
しばらく会えなくなるからと、休暇の最後にシンジュの顔を見にきたのだ。
それがかえって仇になってしまった。
「ヒスイ様!」
シンジュがヒスイの後を追う。
「コホン。約束は後で・・・ということで」
少し赤い顔でローズにそう言い残すとシンジュは部屋を出ていった。
「チャンスだったのにぃ〜・・・」
ヒスイにはいつもいいところで邪魔をされる。
(ヒスイ様の・・・バカ〜っ!!!)



「・・・何ですか、その目は」
「べ〜つに」
からかうようなヒスイの眼差し。いたずらに微笑む様は本当にメノウとよく似ている。
「ヒトに散々口うるさく言うくせに、自分だってやることやってるんじゃない」
「違いますっ!!!あれはただ約束を・・・」
「約束?」
「そうですよ。将棋で負けっぱなしなんです。今日は」
シンジュは横を向いてぼやいた。
あはは!ヒスイは大口を開けて笑った。
「それでキスを?」
「そういうことです」
「・・・“約束”だからって割り切ってるの?」
潔癖性のシンジュが自分からキス・・・ヒスイはそれに少し違和感を覚え、急に真面目な顔で訊ねた。
「・・・割り切らなければやってられません。デートだのキスだのと・・・くだらない」
「それ・・・ローズの前では言わないほうがいいわよ。絶対喧嘩になるから」
「・・・・・・」
「ファーストキス・・・大切にしてあげて。シンジュだって初めてでしょ?」
「・・・・・・」
初めてではない。
初めて触れたのは目の前の唇だ。
シンジュは溜息をついた。考え出したらキリがない。
「ヒスイ様・・・」
「何?」
「・・・一局いかがですか?」



(やっぱりこの人・・・強い・・・)
ローズは廊下で偶然出会ったコハクに勝負を持ちかけた。
シンジュからコハクの腕前は聞いている。
コハクに勝てれば自分も本物だと、意気揚々と戦いを挑んだのだ。
(だけどこれは・・・次元が違う強さだわ・・・)
相手の自信を削ぐ圧倒的な強さだった。
「・・・恐れ入りました」
ローズは負けを認め、頭を下げた。
「いえ。あなたも強い。これではシンジュが勝てないわけだ」
コハクが苦笑いする。シンジュに同情・・・そんな笑みだ。
「まだ始めて間もないんですよね?」
「はい」
「だったらもっと強くなるかもしれませんね。あなたには才能がある」
(・・・将棋の才能があってもねぇ・・・)
そこまで考えてハッとした。
(・・・使える!!)
ローズの瞳がキラリと光る。
(この才能をフル活用してシンジュに勝ち続ければ・・・ふふっ♪)




後日。

(・・・負け続ければいずれはこうなると思っていた・・・)
シンジュは自分の性格を呪った。
筋金入りの負けず嫌い。それが災いして思わぬ落とし穴に・・・落ちた。
「・・・婚前交渉は感心できません」
裸のまま腕を組んでブツブツと言っている。
「負けたんだから文句言わないの」
ローズは自分からメイド服を脱いだ。
「・・・・・・」
(・・・くやしい)
今日こそは勝てると思った。
ローズの出した条件をよく検討もせずに聞き入れてしまった。
(・・・馬鹿だ。私としたことが勝負に熱くなって・・・)
二人は今ベッドの上にいる。
「残念だったわね」
ローズの肌がシンジュに触れる。
「お好きなように。負けは負けですから」
シンジュはプイッと顔を背けた。完全に自棄だ。
「なら、お言葉に甘えて」
ローズはシンジュの上になり両手でシンジュの頬を軽くつねった。
笑って、そのままキスをする。
「・・・ん・・・」
(・・・あんなに軽蔑していたことなのに・・・何をしているんだ・・・私は・・・こんなことがヒスイ様やコハクにバレたら・・・最悪だ)




・・・精霊ってホント綺麗。

肌も髪も雪のように真っ白で・・・眩しい。
キスをした後、シンジュの全身を眺める。
これからしようとしていることを考えると少々恐縮してしまう。

光の精霊・・・聖なる生き物を穢すのだ。

処女の血で。

(そうよ。私だって初めてなのに)
シンジュはベッドの上で横になったきり、自分から一切動かない。
ミサの生け贄状態だ。
機嫌の悪そうな顔で明後日の方向を見ている。
(ちょっと強引過ぎたかな・・・)


(でも・・・)


初めての不安より、シンジュとひとつになれることにゾクゾクしている。
穢れなき最高位の精霊シンジュ・・・本来ならば一介の人間がどうこできる相手ではない。
(私のものに・・・できるってことよね)
心も体も・・・といいたいところだが、シンジュには再三フラレている。
心までものにできるかどうかはこれからの頑張り次第と割り切っている。
(まぁ、体から始まる関係ってのもアリでしょ)
迷いはない。何度フラレてもシンジュのことが好きなのだ。


「・・・何まじまじと見てるんですか」


ローズが長い時間シンジュの体に見とれて動きを止めていたので、逆に見られっ放しのシンジュは落ち着かないらしい。
「するならさっさと済ませてください」
「さっさと済ませろ・・・って言われても・・・」
シンジュの肝心なトコロはヤル気0だ。
(勃ってもいないのにどうしろっていうのよ〜っ!!)
「・・・これから何するかわかってる?シンジュ」
「・・・わかっていますが?」
「・・・これはちょっと女の子に対して失礼じゃない?」
「別に私が望んでいる訳ではありませんから」
シンジュの言い草にムッ・・・しかしローズの場合、憎しみは愛情に変わるのだ。


「いいわ。そのまま寝てなさい」


それなりに知識はある。
「!?ローズ、何を・・・!!」
シンジュの股間にあるものをローズが両手で握る。
シンジュは慌てた。
「じっとしてなさい!このままじゃできないでしょっ!」
城No.1のやり手メイドだけあって迫力がある。
(私がやるしかないっ!!)
ローズは自分が主導権を握る決意を固めた。
動かないお人形が相手では初体験・・・などと言っていられない。
不思議とそれが苦とも思わない。
怒られて観念したのか、シンジュは大人しくしている。


ローズは気持ちを込めて揉みしごきはじめた。
初めてなので加減がわからない。
最初に握った感じでは柔らかかった。
指先や手の平で押したり撫でたりしているうちに、それがだんだん大きく硬くなっていく。
(うわ・・・シンジュでも・・・こう・・・なるんだ・・・)
シンジュのことは神聖視している。いつも。


気高いシンジュ。綺麗なシンジュ。可愛いシンジュ。


それなのに今、自分の手の中で人間の男と変わらない反応を示している。
ローズは得も言われぬ悦びを感じた。
「く・・・」
屈辱に耐えるシンジュの表情・・・興奮は更に高まる。
大人の姿に変化しているのでシンジュの体はローズよりも大きい。
唇を噛んで顔を背けたままシーツを握っている。
(私・・・コレ・・・好きかも)
初めて知った感触だった。手触りがとにかく癖になる。
少し力を入れて握るとシンジュの顔が歪む。
意のままであることが、楽しい。
(・・・あそこが・・・ムズムズする・・・ああ・・・私・・・濡れてるんだ・・・)
気持ちがいい・・・というよりはすでにもう欲しくて堪らない。
その気持ちを抑えようとすればするほど濡れてくる。


「シンジュ・・・好き」


告白と同時に、ローズは両手で大切に握っていたものを口に含んだ。
「や・・・めてくださ・・・」
シンジュがついに泣き言を洩らした。
体をずらしてローズの口から逃れようとするが、シンジュが嫌がれば嫌がる程ローズの興奮は加速してゆく一方だった。頬張る口に力がこもる。
「・・・美味しい・・・」
確かな味があるわけではない。愛があるからそう感じる。


ローズは一旦口から出して、先端を軽く舐めた。
どこを刺激すれば感じるのか・・・目につく場所を片っ端から舐め回す。
「ぅ・・・」
ローズの舌が触れる度、シンジュが喘ぐ。
それが嬉しい。
もっと喘ぐ声が聞きたくて。ローズは夢中に舌を動かした。


「ん・・・っ」


くわえたものをゆっくりと上下に動かしてシンジュの反応を見る。
苦悶の表情・・・しかし頬は鮮やかな桜色に染まっている。
(シンジュ・・・可愛い・・・)
ほったらかしの割れ目から勝手に流れ出す愛液がポタポタとシーツの上に落ちた。
待ち焦がれている。自分では届かない場所がむず痒く疼いていた。
奥を突き上げて欲しい・・・願望が高まる。
ローズは顔を上げ、覆い被さった姿勢のまま、シンジュの美しく乱れた顔を目指した。
下腹部から・・・形のいい臍・・・腹筋・・・胸筋・・・撫で上げて、キスをして、舌を這わせる。


体を密着させると最高に気持ちが良かった。


シンジュの肌はさらさらと柔らかく、滑らかで温かい。
その上に薄く汗が滲んでいる。
(好き・・・好き・・・好き・・・っ!!)
好きで好きでしょうがない。
シンジュの何もかもが愛おしい。
殆ど無意識に乳首を吸って、舌で舐める。
それから首筋・・・シンジュの肌は敏感で繊細で吸った跡がくっきり残った。
跡を残すことでシンジュの体が自分のものになっていくように感じる。

ローズは妙な征服感に酔いしれていた。

「・・・もう・・・気が・・・済んだでしょう?」
「・・・まだよ。悪いけど・・・最後までいかせてもらうから」
「・・・もっと・・・自分を大切に・・・」
こんな時でもシンジュは説教くさい。
「でないと・・・後で後悔することに・・・なります・・・よ」
「するわけないわ」
シンジュの唇を塞ぎ、口の中へ舌を伸ばす。
抵抗すべくシンジュが舌を動かせば動かす程、ローズの舌と絡み合い濃厚なものになっていく。
「ん・・・むっ」
「んんっ・・・」


「・・・じゃあ、いくわよ」


しっかりと勃っているシンジュに自分から貫かれるためにローズは下半身の位置を合わせた。
「あ・・・っ・・・ぅ」
割れ目に先が少しあたるだけで、快感が怒濤のように押し寄せる。
これならきっと大丈夫・・・ローズは腰を沈めた。
(!?痛い!!!)
忘れていたが初めてなのだ。
(なにこれっ!?もの凄く痛い!!)
濡れてはいても全く開かれていない状態からの挿入には無理があった。
予想以上の痛みに、まだ半分も入っていないところで動きが止まる。
「ローズ・・・?」
シンジュが見上げている。
「な・・・なんでもない・・・」
シンジュに心配をかけるまいと微笑んでみせたが、冷や汗の出る思いだった。
内側の肉が自分の思うように開いてゆかない。
気持ちは奥へと焦るが少し腰を動かしただけで激痛が伴う。
(だけどっ!やっとここまできたのよ?死ぬほど痛かろうが何だろうがシンジュとひとつになりたい!!)
「・・・こんなの・・・一瞬よ」
ローズは呟いて一気に腰を深く落とした。


ズブッ。


「!!!!」
「!!!!」
あまりの痛みにローズは声を失い、シンジュは女性の内側を知った衝撃で何も言えない。
二人とも頭の中が真っ白で、しばらくの間硬直状態だった。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
先に気を取り直したのはローズだった。
「・・・ちゃんと気持ちよくしてあげるから」
涙目で笑って、ゆっくりと腰を動かす・・・
「・・・ローズ・・・」
痛みを堪える健気な姿にシンジュの胸は甘く締めつけられた。
何の手助けもしてやらなかった・・・罪悪感に襲われる。


「はあ・・・っ。はぁ。はぁ」


「・・・私のために無理をする必要はありません・・・よ」
そっとローズの腰に手を添える。
「あ・・・ん・・・っ!!」
その途端ローズの体がビクッとなった。
シンジュからローズの体に触れたのはこれが初めてだった。
「・・・っ・・・シンジュぅ〜・・・」
涙がこぼれる。肌に触れるシンジュの手があたたかい。
痛みも吹き飛ぶ嬉しさだ。
人前で涙など見せたことのないローズもシンジュの胸に伏して、感激の涙を流した。


「・・・・・・」
シンジュが下から腕を回し、ローズの体を包み込んだ。
「・・・お疲れさまでした。このまま・・・休んでもいいですよ」

体はまだ繋がっている。

シンジュが抱き締めてくれた・・・これほどの喜びはない。
柄にもなく涙が止まらなかった。
ローズの涙はシンジュの肌をしっとりと濡らした。



「・・・どうして・・・」
しばらくしてシンジュが口を開いた。
「・・・ん?」
「こんなに痛い思いまでして・・・体の繋がりを求めるのですか」
「まだわからない?」
シンジュの胸に手をついてローズが体を起こした。
大好きな顔を上から覗き込んで頬を軽くつねる。
ローズなりの愛情表現・・・



「好きだからに決まってるでしょ」



そして・・・キスをする。
「次も勝つわよ。覚悟しててね」
強気に笑って、もう一度キス。
やれやれと、シンジュが溜息をつく。
その表情には微かな微笑みが浮かんでいた。


「・・・お手柔らかに」


ページのトップへ戻る