World Joker

32話 R18アフターケア



 

 
引き続き、昼休み。

 

「驚くことばっかりだよ」

と、カーネリアンは豪快に笑って言った。

「その割にはずいぶん機嫌が良さそうね」

隣にはヒスイ。生徒に紛れて行動できるよう制服を着ているが、中学生にしか見えない。

「そりゃそうだよ」

カーネリアンはいつまでも幼いままのヒスイが可愛くてしょうがなく、コンビ結成を大いに喜んでいた。

 

二人は今、廊下を歩いている。

 

「そういえば、カーネリアンってスピネルと仲いいの?」

「スピネル?何だい、急に」

「この間、そんな感じだったから」

「遊びに連れてってくれって言うからさ、何回か一緒に出かけたけど?」

「・・・・・・」(全然知らなかったわ)

それが何か?と尋ねられ、ヒスイはストレートに。

「スピネルのこと、どう思ってる?」

「そりゃ可愛いさね、あんたとオニキスの息子なんだからさ」

「え?そういう理由で仲良くしてるの?」

「他に何があるってんだい?」

「・・・・・・」

勿論それは悪いことではないが、特別に意識されていないのも確かで。

ヒスイが先の言葉に詰まる・・・と。

「ところでさ」今度はカーネリアンが言った。

「トパーズとは仲良くやってるかい?」

「トパーズ?」

何故そこでトパーズの名が出るのか不思議に思いながらヒスイが答える。

「うん、まあ普通に」

「そうかい」カーネリアンは笑顔でヒスイの頭を撫で。

「しっかり構ってやるんだよ?」

「?うん」

女同志の微妙なやりとり、そして二人は職員室前で立ち止まった。

教師と生徒はここでお別れだ。

「昼メシはどうすんだい?良かったらアタシと一緒に・・・」

「ううん、お兄ちゃんと屋上で待ち合わせしてるの!お弁当持ってきてくれるって!」

相変わらずのコハク病ぶりに苦笑するカーネリアンと別れ、ヒスイは屋上へ向かった。

そこではコハクが待っていて。

「お兄ちゃんっ!」「ヒスイ」

まずは、抱き合う。

「うまくできた?」

「うんっ!」

頭を撫でられながら、コハクの胸にたっぷりと顔を埋めるヒスイ。

「あれ?お兄ちゃん、何でス・・・」

「さあ、お昼にしようね、ヒスイ」

ヒスイの口から出た疑問を遮り、ランチタイムへ突入。

コハクがランチボックスを見せると、ヒスイは目を輝かせ。

受け取ると、夢中になって食べ出した。

デザートのクリームプリンまで全部たいらげた後、スプーンを咥えたまま、ヒスイは再び尋ねた。

 

 

「お兄ちゃん、何でスーツ着てるの?」

 

 

「ちょっと出掛けるだけだよ」

きゅぽっ・・・ヒスイの口からスプーンを抜き取り、唇にキス。

最初は軽く触れただけだったが、二度目、三度目と回数を重ねるごとに濃厚なものになり・・・えっちの気配。

「はずかしいよ、こんなとこじゃ・・・」

スカートの中をまさぐられ、ヒスイが顔を赤くする。

それよりも、質問にちゃんと答えて欲しい。

「おにいちゃん、どこ・・・いくの?」

しかし返事はなく、代わりにコハクの指先がヒスイの割れ目に沿って動いた。

「あッ・・・」

「よしよし・・・」

激しいキスをしながら、コハクはヒスイの秘肉を摘むようにして揉み。

「ん〜・・・んッ、はぁ、はぁ」

布越しにコハクの手の温かさを感じて、じわり・・・素直に愛液を分泌するヒスイ。

「はぁ・・・ッ」

コハクのネクタイを引っ張り、恥ずかしそうに俯く。

「くす・・・可愛いね、ヒスイ」

コハクは、しっとりとした布地の上からヒスイの陰裂をゆっくりと撫で上げ。

「入れたくなっちゃうなぁ・・・」

「やっ・・・!!おにい・・・ちゃんっ!!」

行き先を教えてくれなきゃえっちしない!と、ヒスイは抵抗。

すると、コハクは笑って。

「“ア”のつくところ」

「“ア”?もしかして・・・アン・・・」

じたばた、コハクの腕の中で〜くヒスイが解答を口にしかけた時だった。


「あんッ!!」いきなり脚を掴まれ。

素早くチャックを下ろしたコハクに、パンツの脇から無理矢理ペニスを押し込まれた。

 

 

「あく・・・ッ!!」

 

 

根元まで挿入された瞬間にぷつんと思考が途絶えた。

スイッチが切り替わり、意識するのは膣肉を拡げるコハクのペニスのみ。

「あっ・・・おにぃっ・・・!!」

「軽く一回イッとこうね〜・・・」

天然の潤滑液を上手に使って、巨根を往復させるコハク。

「うッ!うぅッ!!あッ!!」

強引な摩擦と突き上げが、ひたすら気持ち良く。

「あッ、あッ、おにいちゃぁ・・・」

ヒスイは、コハクのペニスに服従し、両脚を大きく開いて快感を貪った。

「あッ!!あ、あ、あぁ・・・ッ!!あ・・・」

そのまま絶頂へと導かれてゆく・・・

「あ・・・」

ぱたっ・・・コハクの腕を掴んでいたヒスイの右手が地面に落ちた。

下腹部の痺れと共に、全身から力が抜ける。

無理強いされた時ほど、イクのが早いヒスイ。

 

「ん・・・はぁ・・・」

 

子宮に精液を噴きつけられながら、ぼんやり空を眺める。

(えっと・・・何だっけ・・・)

都合の悪いことはいつもこれで誤魔化されてしまうのだ。

凝縮されたセックス。

結合に使われた穴のまわりがじんじんと熱く、ヒスイはしばらく何も考えられなかった。

 

 

「ヒスイ、大丈夫?」

 

 

ペニスを抜いた後も呆けているヒスイをコハクが上から覗き込み、汗ばんだ額と頬を撫でた。

「ヒスイ?」

「・・・あ!思い出したっ!!」

やっとエッチモードから通常モードに戻り、飛び起きるヒスイ。

スーツ姿のコハクを問い詰めようと口を開いたが・・・

「ヒスイ、時間だよ?」

「えっ!?」告げられた時刻に慌てる。

教壇の下に隠れるため、授業開始15分前までに教室へ行かないといけない。

現在20分前・・・若干の余裕はあるが、もたもたしてはいられなかった。

「ゆっくりできなくてごめんね、はい、これ」

「?なに?」

「えっちのアフターケア」と。

コハクから受け取ったポーチには替えのパンツと・・・

「透明薬?」

航海で手に入れた、思い出深いアイテムだ。

説明書もちゃんと付いている。

「何かの役に立つかもしれないよ」

ちゅっ。コハクはヒスイの唇にお別れのキスを残し。

屋上から飛び立った。

「またあとでね、ヒスイ」

「あっ!!お兄ちゃんっ!!もぉぉっ!!」

結局、スーツの理由も行き先も聞きそびれてしまった。

 

「“ア”のつくところって・・・なんだかすごく嫌な予感・・・」

 

 

 

 

学園裏門前。

 

「すいません、お待たせして」

コハクが舞い降りた先には同じくスーツを着たオニキスが立っていた。

「それじゃ、決着をつけにいきますか」

「いや、しばらくは内部の様子を探る。どんな会社か知らずに働いている社員も多い。巻き込む訳にはいかんだろう」

オニキスは、組織の悪だけを取り除けばいいと主張し。

「何言ってるんですか。このままだとヒスイが狙われる。そう時間をかけてはいられない」

コハクは、手段選ばず迅速に片付けると主張する。

二人の意見が食い違うのは恒例だ。

「あなたはあれやこれやと秤にかけすぎだ」と、続けてコハク。

「お前は何事もやりすぎだ」と、オニキスが言い返す。

 

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 

黙って睨み合う二人・・・これもまたいつものことであり。

「これだけは言っておきます」コハクが先に口を開いた。

 

「僕が守るべきものはひとつ。世界にヒスイより尊いものはない」

 

 

 

 

その頃、尊いヒスイは・・・

 

 

授業開始まであと10分。

 

急いでトイレに入り、パンツを替えた、が。

「あれっ?」

出ると、方向がよくわからない。

ヒスイは・・・方向音痴なのだ。

(右だっけ?左だっけ?)

キョロキョロしているうちに予鈴が鳴り・・・

教室を見つけられないまま、校内をうろついているうちに、本鈴。

授業が・・・始まってしまった。

生徒達は教科や授業内容によって教室を移動する。

午後の授業はまさしくその移動教室。

口頭で場所は聞いたものの、校内は広く、同じような景色ばかりが続くので、ヒスイはすっかり迷ってしまい・・・何とか辿り着いた時には、授業開始から15分が過ぎていた。

(もう間に合わない・・・どうしよ・・・あ!!)

そこでコハクのアフターケア、ポーチの中味を思い出す。

(透明薬!!このためだったの!!)

これで透明になれば、誰にも見つからずに教壇下までいける。ただ・・・

消えるのは肉体だけで、衣服はそのまま残ってしまうのだ。

(ピアスと指輪は手に握ればいいとして・・・)

「・・・脱ぐしかないわね」

 

 

 

教室近くのトイレにて。

説明書に従い、透明薬を一口飲み込み。

制服と穿いたばかりのパンツを脱ぎ、ヒスイは完全に姿を消した。

ちょうどその時だった。

突然、ヒスイ使用中の個室の扉が開いた。

鍵をかけるのを忘れていたのだ。

「!!」

ヒスイは咄嗟に壁に張り付き、息を殺した。

入ってきたのは、勝気そうな顔立ちの生徒だ。

癖のある亜麻色の髪をポニーテールにしている。

我慢しきれず授業を抜け出してきたのか、せかせかとした動きで。

(あれ?この子会ったことある・・・スピネルのところに遊びに来てた・・・)

国境の街、ペンデロークの家。

偶然ヒスイも居合わせたため、スピネルに紹介されたのだ。

(ジルコン・・・そうそう、ジルって呼ばれてたっけ)

名前を思い出したまでは良かったが、何とそこで。

(え!?)

ジルが便座を上げた。そして、お目見えしたのは・・・

 

 

(えぇぇーっ!?アレが・・・アレが付いてる!!?)

 

 

 
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