World Joker

81話 好き、すぎ。



 

 

 
次の瞬間。一帯に静寂が訪れた。

 

異様な光景に、戦うすべての者が手を止め、見入ったのだ。

キンと耳鳴りがした後、真夜中にも関わらず、水平線から光が差した。

日の出と錯覚するほど、明るく空を照らし・・・

アンデット達の体が、次々と灰になって光に消える。

これにより、グロッシュラー軍は戦力の大半を失い・・・ここまでは、モルダバイト側の、メノウを信用する者達の思惑通りであったが・・・

更には、魔兵器までもが塵と化し。

敵味方問わず、魔力を宿した武器防具が、アンデット同様消え去ったのだ。

「そういうことか」と、オニキス。

試しに肉体強化系の呪文を唱えてみるが、何も起こらない。

「魔法を完全に封じた・・・か」

魔力によって成るものは、すべて葬る。それが、奥義『魔葬』だ。

『魔葬』には、持続性があるため、ここ未開発地区一帯では、一切の魔法が使用不可能となった。

「魔力の存在しない世界を創り出すとは・・・メノウ殿らしい」と、オニキスから思わず笑いが漏れる。

こうして、平等な条件下に置かれた両軍ではあるが。

グロッシュラー側は、魔力に頼り、ほとんどの者が魔兵器を装備して出陣したため、現在は丸腰。

被害は甚大だ。対するモルダバイト側は、魔法兵団の一部に被害を受けただけで済んだ。魔法使用を控えた戦法の成果だ。

それはつまり、メノウとオニキスの考えが見事一致したことを意味する。

 

 

「騎士団以外は下がれ。逃げる者は追うな」

 

 

オニキスは、自軍にそう命じ、戦いの終結を促した。

(あとは・・・グロッシュラーの降伏を待つだけだ)

 

 

 

未開発地区、高台。

 

「お疲れ、ヒスイ」

大業を果たしたヒスイの元へコハクがやってきた。

「お兄ちゃん!!」

コハクの懐に、ヒスイが飛び込む。

いつもならここで再会のキス。コハクもそのつもりでいたのだが。

 

カプッ!

 

(あれ?キスよりそっちが先?)

首筋に噛みつかれるコハク・・・ヒスイはどうやらとても喉が渇いていたらしく。

「ははは、そうきたか」

「・・・だめ?」

ほんの少し口を離し、ヒスイが尋ねる。それはそれは甘えた声で。

「くす・・・いいよ。好きなだけ召し上がれ」

「うんっ!」

再開される吸血行為。

コハクはヒスイの髪を撫で、慈しみ。ヒスイが満たされるのを待った。

ヒスイの「ごちそう様」を聞いてから、今度こそ再会のキスをして。

「僕も・・・」

 

 

「ヒスイのこと貪りたい気分なんだけど、いいかな?」

 

 

「ん・・・」

血を飲めば、当然セックスしたくなる。

戦いはもう終結に向かっていて。これ以上、出る幕はなさそうだ。

戦場の傍らで、情熱的に唇を重ねる二人。

互いに発情。服を脱ぐ間も惜しんで、求め合う・・・

 

 

 

その一方で。

 

「兄ちゃん?もう行っちゃうの??」

再会したアクアと手を繋ぎ、トパーズを見上げるジスト。

「せっかく父ちゃん来たのに」

「・・・・・・」

去るのは、コハクが来たからだ。

「どうせ、ロクでもない」

そう吐き捨て、トパーズは高台を後にした。

 

 

 

再びこちら、青姦上等の二人。

 

ヒスイを柔らかい草の上に寝かせ、取り急ぎパンツだけ脱がせ。

ぢゅうぅぅっ。言葉通り、ヒスイの股間を貪るコハク。

溜まった愛液をまず飲み下し、それからベロベロと舐め回した。

陰唇を捲り、その裏側まで舌を入れ、ヒスイを喘がせる。

「あッ・・・おにぃ・・・ッ・・・うぅぅッ!!」

その舌先で膣口をつつかれ、顔を真っ赤にするヒスイ。

唇を噛んで、ブルッ、震える。

「ふッく・・・あぁ・・・おにぃッ・・・」

表面を愛されるのも嬉しいが、早くも体の中を愛して欲しくなったのだ。

膣口が、ヒクヒク。いかに欲しがっているか一目瞭然だ。

「じゃあ、そろそろ中舐めさせてね」

「あッ・・・んッ・・・!!」

コハクは舌の根までヒスイの膣に入れ・・・

 

 

(良かった)

 

 

思いのほか、誠実でいられた。

凶悪な感情のまま、ヒスイの体を求め。強姦プレイ寸前だったのだが。

血を吸われたことで、頭が冷えた。

(うん・・・ちゃんと愛せてる)

 

「はッ・・・はッ・・・あ!!」

長さはペニスや指に敵わないとしても、同じ内側の粘膜だ。

親近感を覚えながら、舌と肉襞がネットリ絡み合い。膣内に快感を生み出した。

「あぁ・・・あッ・・・・・・あ・・・ふ・・・」

大きく脚を開き、ヒスイもまた快感を貪っている。

「うッ・・・ん!!うぅん・・・ッ!!」

グチュグチュと気持ち良く、コハクの舌にほじられる膣穴。もういつでもペニスが通せる。

舌に不満があるわけではないが、遅かれ早かれペニスを欲するのが女の性だ。

膣は男に射精をさせるための器官なのだから、それも仕方がない。

「あう・・・ぅ・・・あぁん・・・おに・・・ちゃ・・・」

ペニスを望みながら、膣内を舐め尽くされ。意に反する快感に、もどかしく喘ぐ。

コハクならわかっているはずなのに、今回に限ってなかなか舌を引いてくれなかった。

「う・・・ッ・・・うぅん」

血を飲んだせいなのか、やたらと凹が凸を恋しがる。

結合を急くあまり、いつにも増して、焦らされているように感じるのだ。

「あ、あ、あッ・・・」

喉から手が出るほど、欲しい。

蕩けた膣内をコハクの太い肉棒で掻き混ぜられたい。

(やだ・・・わたし・・・今、すごくえっちだ・・・)

ペニスのことばかりを考えている。

(血、のんだせい・・・だもん・・・)

理由をつけても、恥ずかしいものは恥ずかしい。

そうなるともう、舌に感じているどころではなくなって。

舐められれば、グチョグチョと愛液は出るが。

「も・・・や・・・イキた・・・」

ヒスイが涙目で見ると、ちょうどコハクが勃起ペニスをズボンから引き出したところだった。

その姿にホッとし、挿入に備えるヒスイだったが・・・・

「あッ・・・!!ちが・・・あッんッ・・・!!」

コハクは手にしたペニスでヒスイのクリトリスを擦った。

「ふッ・・・あぁぁ・・・!!!」

剥き出された突起に、コハクの先走り汁が滲み込んでくる。

「・・・好きだよ、ヒスイ」

鈴口にクリトリスを挟み込み、愛の言葉も先走るコハク。

いつものペースなら、挿入直前か射精後なのだが、言いたくて堪らず。

早々と、告白してしまった。

ヒスイがもう言葉を返せる状態ではないことはわかっていた。

唇に軽くキスをしてから、「お待たせ」と。コハクはペニス挿入に取り掛かった。

 

 

「ん、あぁ・・・」

 

 

(これ・・・すき・・・すぎ・・・)

ちゅくちゅく、膣口が亀頭を吸い。

それを経て、ペニスが膣内へと入り込んでくる。

「あ・・・んッ・・・」

その質量が何とも愛おしく思えて。ヒスイの瞳から悦びの涙がこぼれた。

「おにいちゃ・・・んあぁ・・・ッ!!!」

ペニスを根元まで詰め込まれ、腰で蓋をされる。

「ふぁッ・・・ぁ・・・」

満杯になった膣が歓喜に震えた。

 

 

「ヒスイが今、一番触って欲しい場所、どこにあるか知ってる?」

 

 

「お腹の中のこのへん、ね?」

ペニスの先端で子宮口をなぞり、コハクはその場所を示した。

ヒスイのお腹の中がどうなっているのか・・・それは、直に触れているコハクの方がよく知っているのだ。

「あぁぁぁ・・・ッ!!!!」

ググッ。ペニスで押し上げられることによって、そこに子宮があると認識できる。

ペニス×子宮口。ポルチオ感覚と呼ばれるものに、ヒスイはすっかり目覚めていた。

「ここが一番好きなの、知ってるけど」と、開発者のコハク。

「僕もね、ここに触るの好きなんだ」

そう言って、ヒスイの下半身を折り返し、膣口の向きを変える。

途中でペニスは抜けてしまったが、真上から再挿入。

「ひぁ・・・ッ!!あ、ぁぁぁぁ!!!」

ズクンッ・・・!!

濡れた膣肉を裂き、ペニスが落ちてくる。

ズクッ!ズクッ!ズクッ!ズブンッ!その度に、子宮口を刺激され。

「ああッ!!ああッ・・・ッあ・・・」

ヒスイはわずか数秒で達した。

 

「はッ・・・はぁ・・・んッ・・・」

(あ・・・くる・・・)

ヒクヒク、そして、ビクン!精液待ちの膣が、射精の瞬間を敏感に感じ取る。

「たぶん、ヒスイがびっくりするくらい、たくさん出ると思うから」と、コハクが射精を予告して。

「残していいからね」

「あッ・・・おにいちゃ・・・!!!」

 

 

ゴポゴポ、ゴポ・・・ッ!

 

 

「んあ・・・ッ、は・・・」

コハクがペニスを抜くと、ゴプッ・・・ヒスイの膣口から精液が大量に戻り出た。

こぼれた分は舐め取って。

ドロドロになったペニスを、また、挿れる。

「ああ・・・ッ!!おにいちゃ・・・!!」

「ごめんね。まだ、出したいんだ」

正常位で、コハクが腰を振り乱す。

グプッ!グプッ!カポッ!カポッ!

ヒスイの膣から、深く湿った摩擦音がする。

残った精液を、膣壁に塗り込められているようだ。

「あッ!ふッ!あぁッ!!あッあッ・・・」

擦られて、イッて。また、擦られて、イッて。

コハクの射精まで、もたない。

「っひッ・・・!!ふぁ・・・!!だめ・・・も・・・こし・・・ぬける」

絶え間ない快感に泣きながら、ヒスイが訴える・・・すると。

「飲んで、ヒスイ」

コハクは、噛んで傷付けた自身の指を、ヒスイの口に含ませた。

「んんッ・・・んんッ・・・」

コハクのペニスに体を揺らされながら、血を吸うヒスイ。

「んは・・・ッ!!」

途端に、吸血の欲情効果が現れ。

イキ疲れも吹き飛び、ユルユルだった膣の締まりも良くなった。

仕切り直しとばかりに、ペニスを味わいだして。

「あッ!あッ!あッあッ!ああんッ!!あッ!あ!ああぁ!!」

人が変わったように、激しく腰をバウンドさせた。

ズブッ!ズプッ!ズブッ!ズプッ!

ペニスに膣口を向け、すすんで貫かれ、快感を得る。

「あッ・・・!はあッ!はあッ!あぁッ!!」

 

股間がビチャビチャに濡れているのは、愛液のせいだけではなかった。

度々Gスポットを刺激され、潮を吹いているのだが。

もはやヒスイには、その自覚さえなく。何を漏らしているのかもわからない。

頭の中まで、精液をかけられたように、真っ白で。

 

 

快感と、絶頂しかない。

 

 

「はッ・・・あ・・・あぁ・・・おにいちゃぁ・・・っ!!!」

 

 

 

 

ここで。愛の記録人、ジスト。

 

「うわ・・・またヒスイがエロい・・・」

またもや夫婦のセックスに立ち会ってしまった。

「ジス兄〜、なんか前モッコリしてるよ〜?」と、同席のアクア。

「う・・・あんまし見ないでくれる?恥ずかしいから」

両手で股間を覆う仕草がまた滑稽だ。が。

(なんでだろ・・・)

この場でヌク気にはどうしてもなれなかった。

(さっき見た時は何でもなかったのに・・・)

まだ喉に飴が詰まっているみたいに、苦しい。

「・・・・・・」

なんとなく、理由はわかる。

(こんなの気の迷いだっ!!)

ブンブン、ジストは頭を振った。

(ヒスイが父ちゃんとエッチするのは、当たり前なんだぞっ!!)

それを嫌だと思うようになったら、本当にお終いだ。

「ジス兄〜?どしたの〜?」

「ううん!何でもないっ!」

ジストはいつもの明るい笑顔で。「家、帰ろっか」と、言った。

コハクからアクアを託された際、そうするように言われていたのだ。

「ん〜・・・アクアだんだん眠くなってきた」

目を擦るアクアを連れ、高台を去るジスト。

振り向かずに、歩く。

(どうかこれ以上・・・)

 

 

ヒスイのこと、好きになりませんように。

 

 

 
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