88話 愛の巣穴
「ヒスイ?」
コハクの下でもぞもぞと動き出すヒスイ。
まだ頬に赤味を残したまま、くんっ・・・煙草の匂いを嗅ぐ。
「トパーズがなんかさっき怒ってて・・・」
その理由を聞きにいくつもりらしい。
「ふぅん」と、コハク。トパーズの怒りなど知ったことではない。
こちらはこちらでムッとして。
当然、後など追わせない。
コハクは、のろのろと這って進むヒスイの腰を掴み。
「まだ終わりじゃないよ?」と、今度はバックから攻めた。
「え・・・おにいちゃ・・・ひぁ・・・ッ!!」
表情はいつもと変わらず優し気なコハク、だが。
嫉妬心も独占欲も、すべてペニスに集中していた。
ヒスイの腰を引き寄せ、一層硬く尖った先端で、ぐりぐりとアナルを刺激する。
「ふぁ・・・!!や・・・」
亀頭をヒスイの皺に擦り付け。
「じっとしてないと、コッチに入れちゃうよ?」
低く甘い声で脅され、ビクッ!
アナルセックスが苦手なヒスイは身を竦ませた。
「そう・・・大人しく・・・じっとして・・・」
「ぅ・・・ぁ・・・あぁ・・・」
ずるっ・・・ぬるっ・・・陰裂に蛇が這うような感触。
「うく・・・ッ!!」
どっちの穴に入ろうか、頭部で吟味している。
「は・・・おにいちゃ・・・」
全身に汗を滲ませながら、いつもの場所に入ってくるよう祈るヒスイだったが・・・
「ああ、その前にもう少し濡らしておこうね」と、コハクはヒスイのクリトリスを弄り出した。完全に意地悪モードだ。
「あッ・・・んんッ!!」
包皮から少しだけ覗いていた肉粒を引っ張り出され。
撫でられれば・・・濡れるに決まっている。
「はぁ・・・あ・・・あんッ!!」
そうして手っ取り早く愛液を増やし、挿入に臨むコハク。
「あ・・・ッ!!!」
ぬぬっ・・・コハクのペニスが膣に滑り込んできた。
「ふ・・・あぁぁ・・・んッ!!!」
四つん這いで腰をくねらせるヒスイ。
膣肉を拡げられるのが、ただただ気持ちいい。
「あ、あぁ〜・・・」
お腹の中に溶け込んだペニスに、思考を奪われ。
ヒスイは、煙草の匂いさえ嗅ぎ取ることができなくなっていた。
「愛の巣穴・・・ね?」
長年使い込んだヒスイの膣穴をそう形容するコハク。
男と女が愛を確かめ合う場所。
子作りもここでするのだから、まさに巣と呼べる穴だ。
「ここが、僕の棲み家」
そう言って、腰を振り、濡れた巣穴で愛を育む。
「あッあ!!おにいちゃ・・・ひぅ・・・ッ!!」
にゅくにゅく。捏ねて。
ぶしゅぶしゅ。突いて。
ごりごり。擦る。
「ひッ・・・あ・・・ッ!!!おにぃ・・・」
「どう?硬くて気持ちいいでしょ」
「あ・・・あんッ・・・」
愛+αで硬化したペニスを挿入され、たちまち軟化してしまった膣。
小陰唇の薄いヒダは鮮やかに捲れ、ペニスに愛を告げていた。
「う・・・ん・・・はぁん・・・・・・ッ」
ヒスイは返事と共に官能の息を吐き。そして。
「あッ!あ!あッ!!はッ!!ああッ!!あ・・・ッ!!」
ヒスイが昇り詰めたと同時に、ぶあっ!!熱い精液が巣穴に撒き散らされた。
「は・・・ぁん・・・おにいちゃ・・・も・・・」
射精後もコハクのペニスは巣穴に留まり。
ぐぷぐぷと、しばらくの間ヒスイの中を掻き混ぜていたが。
(そろそろ・・・踵の手当てをしないと)
コハクの視線がヒスイの踵に注がれる。
(赤くなってる・・・どこかにぶつけたのかな?)
と、その時。
窓から、白い鳩が入ってきた。教会の伝書鳩だ。
足に括りつけられた用紙には・・・一行、こう書かれていた。
“春夏秋冬、カモーン”
エクソシスト教会。司令部。
「君達を呼んだのは他でもない」と、総帥セレナイト。
直々に任務を言い渡す際、決まってこう前置きする。
「ヒスイ、君に頼みたいことがあってね」
「私に?何を?」
「君の息子のジスト。彼の任務を手伝って欲しいんだ」
ジスト・・・現在27歳。
高校卒業後、エクソシスト1級に昇格。
本業が忙しいトパーズに代わり、失敗任務のサポートと新人教育を担当。
エクソシストとしての道を極めつつあった。
今回の任務の舞台となるのは、モルダバイトの高等学校。共学だ。
1クラス30人のはずが、転入生もいないのに、31人、32人と日を追うごとに増え・・・しかも、誰が増えたのか誰もわからないという怪事件が起きているという。
それは悪魔の所業で。エクソシストの出番という訳だ。
「今回の任務に危険はない」と、セレが説明する。
モルダバイトでは、人ならざる者にも平等に教育を受ける権利が与えられているが、教会に申請することが前提となっていた。
前国王オニキスとの縁もあり、教会は今や立派な公的機関だ。
「他国から密入国してくる悪魔が増えてね」
セレは悩ましげなポーズで言った。
なにせその数も把握できない状態なのだという。
人間と同じ心を持つ悪魔にしてみれば、モルダバイトは魅力的な国だ。
「学校という場にも、他国からの流れ悪魔が潜伏しているものと考え、ジストに調査を依頼したのだがね。どうも、高校生活の方が忙しいようで」と、苦笑いするセレ。
「ジスト・・・高校生してたんだ」
ヒスイは驚き、呟いた。
ジストが任務に就いて3カ月。朝8時に家を出て、帰宅はだいたい夜8時。
極秘ということで、両親であるコハク・ヒスイにも内容は明かされていなかったのだ。
「彼は君に似て童顔だからね。送り込むのに都合が良かった」と、またセレが苦笑い。
27歳でも、ジストはまだ10代に見えるのだ。
ヒスイもまた、結構な歳だが、外見は高校生かそれ以下で。
「君なら彼と一緒に生徒として活動できるだろう」
「う〜ん」
人見知りの激しいヒスイ・・・学校は嫌いだが、可愛い息子のジストと一緒なら、まあいいか、とも思う。
「じゃあ僕も」と、すかさずコハクが同行を希望するが・・・
「君に生徒役は無理があると思うがね?」
セレに一笑されてしまう。
「コハク、君はいくつだったかな」
「23ですけど?」
年齢を聞かれると、とにかくそう答えるコハク。
「そういうあなたは、おいくつでしたっけ?」にこやかに聞き返す。
「30・・・に決まっているじゃないか。君も人が悪いね」
白々しい会話が展開される・・・どちらも年齢詐称だ。
「・・・・・・」「・・・・・・」
笑いの後、両者黙って。
「年齢の話は止めにしましょう」と、コハク。
「そうしよう」と、セレが相槌を打つ。
「コハク、君に頼みたい仕事は山のようにあるのでね。今回はそちらに回ってくれないか?」
続けて・・・
「それでいいかい?ヒスイ」
コハクではなく、ヒスイに承諾を得ようとするあたりが流石だ。
「うん、いいよ」
(お兄ちゃんと離れるの、ホントは嫌だけど・・・一緒にいたら、えっちばっかりしちゃいそうだし・・・)
そう考えた上での返答だったが。
「ヒスイ!?」
コハクはかなりショックだったようだ。
(まさか・・・兄離れじゃ・・・!?)
こうして次の日・・・