World Joker

110話 今夜は鍵をかけて


「ヒスイ、喉乾かねぇ?」

と、アイボリー。
ヒスイが寛ぐ夫婦の部屋にチャイを持ってきた。
当然、それには淫魔の媚薬が盛ってある。
作戦は至って単純。

(えっち疲れしたコハクに奇襲をかける!これっきゃねぇ!!)

ヒスイとセックスをしたあとは、戦う気力がなくなる〜などと、以前コハクがメノウに話しているのを耳にしたことがあるのだ。
確証を得るため、メノウに詳しく聞いてみると、確かにそのようで。
ヒスイに愛を注ぎまくったコハクの戦力はかなりダウンするという。
つまりここから先は、ヒスイの頑張りに懸かっているのだ。

(これも脱ぎたてパンツのためだ!頼んだぜ!ヒスイ)

何も知らないヒスイは、息子が淹れたチャイをふーふーしながら飲んでいる。

「うん、美味しい」

と、愛らしい笑顔だ。
空になったヒスイのマグカップを手に、アイボリーがキッチンに戻ると。
そこにはコハクがいた。

「コハクも飲めよ」

多めに作っちゃったんだよな〜と、鍋を温め直す。
・・・無論、これにも淫魔の媚薬が入っている。

「へぇ、チャイか、手が込んでるね」
「だろ?」

マグカップに注がれたチャイ。

「それじゃあ、いただこうかな」

コハクは優雅な動作でそれを飲んだ・・・が。

(ん?これは・・・)

淫魔の媚薬であると、すぐに気付いた。

「あーくん」
「な、なんだよ」
(バレたか!?)

と、内心ヒヤッとするアイボリーだったが、コハクが怒る様子はなく。

「ヒスイにもコレと同じもの、飲ませた?」
「・・・まあな、全部飲んだぜ」

するとコハクは席を立ち。

「ごちそうさま」

と、笑顔で告げ。
それからこう言った。

「あーくん、家のことお願いできるかな」

しばらく、ヒスイから離れられないと思うから。

「・・・・・・」

やっぱりバレている。
しかしこれも想定内だ。

(要はコハクとヒスイがヤリまくればいいんだからな!)

アイボリーは二つ返事で。

「おう!任せろ!」


そして、夫婦の部屋。
時刻は午後4時。

「ヒスイ、ちょっといいかな」
「お兄ちゃん???」

覗きは厳しく取り締まらない主義だが、今夜は鍵をかけることにした。

(ヒスイが凄いことになりそうだからなぁ・・・)

今はまだ媚薬の効果が現れていないようだが、それも時間の問題だ。
ベッドの上に転がっているヒスイから、本を取り上げ。
代わりに与える、唇。

「おにいちゃ・・・ん・・・」

コハクお得意のキスで唇を塞がれ、言葉を失うヒスイ。
隙間から入り込んできた温かな舌に、舌を任せ・・・
裏筋を舐め上げられているうちに、いつの間にか口を開けていた。
そこで改めて、コハクが口づける。
唇同士がしっかりと重なり、互いの口内が完全に繋がった。
「ん・・・ふ・・・」
熱気が充満する中、コハクと舌を擦り合わせていると。
「は・・・ぁ・・・」
ヒスイのカラダが性交の準備を始めた。
急激に欲求が高まり。
「おにぃ・・・ちゃ・・・」
蕩けた唇でコハクを呼ぶ。
「くすっ。えっちする?」
「ん・・・する」



ベッドの上、キスをしながら服を脱がせてもらい、コハクが脱ぐのを待つ・・・が。
(あ・・・)
Tシャツを捲り上げ、ジーンズを下ろす・・・その仕草を見ているだけで。
膣がペニスを思い出し、そこが僅かに弛んだ気がした。
「はぁ・・・おにいちゃ・・・」
頬を染めたヒスイが、抱擁を求めて、両手を伸ばす。
よしよし、と、コハクはヒスイを腕に抱き。
(さて、どうしようかな。媚薬飲んでるから、もうアソコに欲しいのはわかるんだけど)
じき、ペニスに狂って、何もかもわからなくなってしまうのだ。
「その前に、ちょっとだけ口でさせてね」
「やっ・・・おにい・・・っ・・・」
案の定、ヒスイは嫌がったが、少々強引に横たわらせ。
膝の裏を掴み、ヒスイの恥丘に顔を寄せた。
自力で尖り始めていたクリトリスにコハクが口をつける、と。
「あ!!はぁ・・・ん」
一瞬の硬直ののち、吐息を洩らし、ヒスイは口での愛撫を受け入れた。
「はふ・・・ん・・・んん・・・」
尖りに沿ってコハクの舌先が這う。
「あ・・・んっ!」
ゾクッとしたあと、じんわり、腰回りが熱くなる。
「はぁはぁ・・・あ・・・」
巧みな舌戯で、散々成長を促された末、そこがいやらしく伸びきるまで吸われ。
「んぅ・・・」
でろりと、コハクの口の中に落ちた。
そのまま自由に泳がされ。時折、舌先で擽られる。
「ふ・・・あ・・・あぁ・・・」
絶頂スレスレの、程良い浮遊感に陶酔するヒスイ。
(これ・・・きもち・・・よすぎ・・・て・・・)
くちゅくちゅ・・・
愛されているのはクリトリスなのに。
膣の中、膣襞の隙間を、とろみのある愛液が流れてゆく・・・
生々しく、淫らな感触・・・それがとても心地いい。


ヒスイのカラダは少しずつ媚薬に侵食されていた。


そしてついに。
「ああ・・・っ!!」
焼けつくような甘い疼きに、穴の中がヒクつく。
「うっ・・・うぅ・・・ん・・・」
悩ましげに腰を捻じるヒスイだったが、それでどうこうできる筈もなく。
くちゃっ、くちゃっ、と濡れた陰唇が恥ずかしい音をたてただけだった。


「そろそろ、我慢できなくなってきたでしょ」


ヒスイから口を離し、コハクが言った。
それから、壁際に枕を置き。そこにヒスイを寄りかからせる。
ちゅっ。額にキスをして。
挿入のため、自身のペニスを軽く握った。
「好きだよ、ヒスイ。たくさん味わってね」
「ふぁ・・・?」
その声はもう遠くに聞こえた。
「!!は・・・ぁ・・・あぁっ!!!」
ぐちゅる、ぐちゅる、ペニスを巻き取るように膣肉が動いて。下腹が痺れる。
まるでネジ穴みたいに。細かな溝まで、ペニスと絡まって。
快感が止まらない。
「ひっ・・・んぐっ!!あ!!」
押し込まれるほどに、淫靡で芳醇な愛液が泡となって出てきた。
「あっ・・・あ・・・はぁぁん・・・」
ヒスイは近付いてくる金の茂みを掻き毟り、脚を拡げて悦んで。
「んぁぁぁぁ・・・っ!!」
そのまま達してしまった。


「んっ・・・あ・・・」
充血した乳首とクリトリスをぴくぴく震わせながら。
自分の中へ入りかけのペニスをぼんやり眺め、とろとろ、濃厚な涎を垂らす。
「ヒスイ、僕だよ。わかるよね」と、コハク。
茂みからヒスイの手を抜き、頬を触らせる、と。
ヒスイの視線がコハクに戻った。
「ふぁ・・・おにぃ・・・ちゃ?」
「そうだよ。ヒスイとこんなえっちなことするの、僕だけでしょ」
「うん・・・おにいちゃ・・・だけ・・・あ・・・あぁぁっ!!」
キスで上手にヒスイを宥めながら、残りの部分を収め。
もう一度キスをして、コハクが微笑む。

「頑張ろうね、ヒスイ」

――淫魔の媚薬が切れるまで。



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