World Joker

132話 恋々と


数分前のこと――

「ヒスイという花を、この手で咲かせることはできなくとも。健やかに咲くための、手助けぐらいはしてやれると思っていたのだがな」
「王・・・」

オニキスがジンにそう漏らしたのを、トパーズは聞いていた。
「・・・・・・」(あの馬鹿・・・性懲りもなく・・・)
ヒスイはもうすでに“やらかしていた”のだ。
そして現在――地下室にヒスイはいない。
瞬間移動でトパーズが連れ去ったのだ。

「・・・・・・」柄にもなく、黙って見送るアイボリー。
(思ってた以上にヒデェな・・・)
ヒスイには、とにかく愛が伝わらない。
金の髪を掻き上げ、溜息。それから。
「あれじゃ、犯りたくもなるわ」と、口にした。



――エクソシスト正員寮。

そこには、トパーズとヒスイの姿があった。
滅多に使わないトパーズの部屋。
この部屋の鍵だけは、誰にも渡していない。
ヒスイを軟禁するのに都合の良い場所だった。

「だから、離してってば!!」
「・・・・・・」

トパーズは、暴れるヒスイの顎を掴み。ポケットから取り出した小瓶をその顔に翳した。
指で蓋を飛ばし、垂らすのは、コハクの血液。
「っ!?」ヒスイは慌てて口を閉じたが、極上の甘味が唇に染み込んでくる。
「んっ!!」(だめ・・・っ!!今、これ飲んだら・・・)
コハクの血液は、媚薬と同じだ。
飲み込むまいと、必死に顔を背けようとするが、それとは裏腹に唇は緩み。
「!!」
その僅かな隙間から、トパーズの指が入ってきた。
「んぁ・・・っ!!」
舌を掴まれ、口を抉じ開けられる。
そこへ改めて、コハクの血液が流し込まれた。
これでは抗いようがなく。
「あ・・・」
早くもショーツが愛液で濡れた。
そこでやっと解放されたが・・・
「ん・・・んん・・・」
疼き出す、膣と子宮。ヒスイはお腹を抱え、蹲った。

「ほら、お前が欲しがってたものだ」

トパーズは瓶をもうひとつ取り出し、その中身を床に放った。
それは・・・金色のスライムに見えた。
「え・・・ちょっ・・・」
ヒスイの脚に絡み付き、這い上がってくる。
「そこで、“大好きなお兄ちゃん”とイキ狂ってろ」
バタンッ!扉を閉められ、鍵を掛けられる。
「トパーズ!?」
神の魔法で内側からは開けられないようになっていた。窓も然りだ。
「何なのよ!もうっ!!」
トパーズに閉じ込められたことで、一時ヒスイの意識が反れ。
次に視線を戻した時には。
「え・・・おにい・・・ちゃん?」
金色のスライムだったものが、コハクの姿になっていた。
「・・・・・・」(いきなり裸だし・・・)
どう考えても、おかしい。
恐らく――フェロモンやDNA、コハク由来の成分で造られたスライムを憑代として、強力な幻術が掛けられている。
(それはわかる!わかるけど・・・)
「僕だよ、ヒスイ」
コハクに背中から抱きしめられ、困惑するヒスイ。
外見は勿論のこと、体温も匂いも、声も口調も、色気さえも、コハクそのものなのだ。
「っ〜!!」(騙されちゃだめっ!!)
ヒスイが頭を振る一方で。
ショーツのサイドリボンが解かれ、床に落ちた。そして。
「!!ふあッ・・・えっ?」(そっちからなの!?)
コハクのペニスが、ずくずくと尻穴に入ってくる。
「あッ!!あぁッ!!」
拡がった肛門が、かあっと熱くなった。
慣れているため、痛みはない、が。正直これは不意打ちで、一瞬思考が途切れた。
「あッ・・・うくッ・・・!!」
グチュッ、グチュッ、根元まで挿入したペニスをコハクが何度か捻じると、すぐにヒスイの腸液が溢れてきた。
「はぁはぁ・・・あッ!!あんッ!!」
熱痒く痺れている直腸をコハクのペニスが突き上げる。
「んぐッ!!あ!あッあッ・・・」
抵抗しようにも、調教されたカラダは素直にコハクを恋しがり、悦んでいた。
「あ・・・はぁ・・・おにぃ・・・」
コハクは後ろから手を回すと、ベビードールから小さな胸を掴み出し、擦り合わせるようにして揉んだ。
「んぁぁ・・・」
大胆な愛撫に、ヒスイがよがる。
「よしよし」と、ヒスイの頬にキスをするコハク。
「このまま、アヘるまで愛してあげるからね」
「あふぇ???」(お兄ちゃん、何言って・・・って、お兄ちゃんじゃないしっ!!早く何とかしないと、本物のお兄ちゃんがどんどん遠くに行っちゃ・・・)

「――あうんッ!!」

そこでビクンッ!!新たに追加された快感に、ヒスイのカラダが反応した。
「えっ・・・な・・・」
コハクがもうひとり増えている。
ヒスイのクリトリスを摘み出す一方で、膣に指を二本、送り込んできていた。

「あッ・・・やめ・・・あッ・・・あぁんッ!!」
扱かれるクリトリスには、たっぷりと血が通い。今にも破けそうなくらい赤々と膨らんでいた。
甘い刺激が何倍にも増幅され、そこを弄られれば弄られるほど、気持ちよくなってくる。
「ひッ・・・うッ!!」
発情し、熟れた膣肉を指先で引っ掻かれると、恥丘から下腹、臍、浅い胸の谷間にかけて、焼けるような快感が走った。
「あぁ・・・ッ!!」
堪らず、ヒスイが仰け反ったその先には。
「え・・・おにぃ・・・」
三人目のコハクがヒスイに向け微笑む。
それから、ヒスイの顔を両手で持ち上げるようにして、唇を重ねた。
「ん・・・んん・・・」
ヒスイの唇の間から舌を引き出し、強く吸うコハク。
「あ・・・はぁ・・・」
ヒスイは、薄っすら瞳を開けて、キスに応えていた・・・が。
ふと、床に転がっている瓶が視界に入り。ハッとする。
(ここにいるおにいちゃんがスライムなら・・・あの瓶に戻せば・・・)
大抵封じられるのだ。そのための呪文も知っている。
ところがそこで。

「余計なことは考えない、ね?」

指戯をしていたコハクがそう言って。
ヒスイの膣にペニスを入れてきた。
「ひッ・・・あ!!」(お○ん○ん・・・すご・・・)
ビクッ!ビクッ!と、ヒスイが感じて震える中。抽送が開始され。
それとほぼ同時に腸内のペニスも動き出した。
「!!んあはッ!!あ゛ッ!!あ゛ッ!!」
目を見開き、牙を剥いて喘ぐヒスイ。
ブチュチュチュッ!グチュチュチュッ!
二本のペニスが、それぞれ膣壁と腸壁を擦り上げ、快感の火花を激しく散らし合う。
いつしかそれがひと塊の炎となり、発情中の子宮を炙った。
「あッ・・・ひッ・・・!!おにいちゃ・・・!!」
蕩け落ちる、子宮。

「――!!!!」

声の代わりに、潮を飛び散らせ、ヒスイは達した。

「はー・・・はー・・・」(なんで・・・こうなる・・・の?)
膣とアナル、それぞれからゆっくりとペニスを抜かれ、床に突っ伏すヒスイ。
事が、全く思うように進まない。
(・・・けど、あきらめないんだからぁっ!!)
瓶を求め前進・・・しては、コハク達に邪魔されるだろうと考え、ヒスイは小さな声で呪文を唱えた。
自身の影、特に腕部分を伸ばし、こっそり瓶を掴むという寸法だ。
順調に影は伸びてゆき・・・瓶を掴んだ、その時だった。
「あ」
腰を持ち上げられ、何人目かのコハクの、新しいペニスが膣に挿入された。
ぶちゅんッ!と一気に突き抜かれ。
「――ッ!!!」
その鋭い先端が、トロトロになっている子宮に直撃した。
「けふ・・・ッ・・・あ・・・」
官能の涎を吐き、頭が真っ白になる――結果。呪文は失敗し。
パリンッ!封印用の瓶を握り潰してしまった。
「え・・・」(うそでしょ・・・どうするのよ・・・これ・・・)
ショックや疲労※主に睡眠不足※で、今度は目の前が真っ暗になった。
カラダから、力が抜けてゆく・・・

「はっ・・・はっ・・・あぁ・・・ッ!!」
バックでイッた後は、次のコハクに受け渡された。
髪を撫でながら、そのつむじや額、細い指先にキスをして、大切に腕に抱く。
産まれたばかりの赤子を皆で愛でるような、そんなやりとりが、セックス込みで続いた。
コハクであってコハクでないものは、知らぬ間にどんどん数を増やし。
交わっても、交わっても、終わらなかった。
それでもヒスイが辛うじて意識を手放さずにいられたのは、射精されなかったからだ。
構造的にできないのだと、ヒスイも気付いていた。
「んッ・・・・・・んッ・・・・・・」
ヒスイの腰を両手で掴み、巧みに操って、結合部を擦り合わせるコハク。
ヌチヌチヌチ・・・ヌチュヌチュ・・・ヌリュッ・・・
いやらしい音をヒスイに聞かせながら、絶頂へと導いて。
「よっ・・・と」
次のコハクが、ヒスイの両脇に手を入れ、その体を持ち上げた。
ずる・・・ッ。抜けたペニスの先端に、濁った愛液をダラダラ垂らしているヒスイ。

「まだ堕ちてない――ね」

そのコハクは、ヒスイを胡坐の上でお姫様抱っこし、言った。
「い・・・や・・・だも・・・」
ヒスイが言い返すと。
「堕ちちゃった方が楽だよ。いつもみたいに、ね?ヒスイ」
ペニスではなく、指を膣に入れ、肉や襞をクチュクチュと優しく撫でた。
「もっと、お○ん○ん欲しい?ここに」
「はぁっ・・・はぁっ・・・いらな・・・も・・・い・・・あぁッ!!」

その時。

「おや?ヒスイかね?」
「・・・セ・・・レ?」
開かれた扉。そこには・・・
トパーズを除き、唯一人、鍵を持ち得る人物――寮の管理人でもある総帥セレナイトが立っていた。
「使われていないはずの部屋から、女性の呻き声が聞こえるというのでね、私が様子を見にきたのだよ」と、セレ。
「ずいぶんと、気持ちが良さそうだが・・・これは助けてもいいのかね?」

「いいに決まってるでしょっ!!早く助けなさいよぉっ!!!」

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