World Joker/Side-B

22話 流れ星、願い事




※性描写カット

 

同じ頃。

 

ジストは、夫婦の部屋の前にいた。少しだけ扉が開いている。今夜は“公開日”なのだ。

そのため見学に来たのだが、音声だけですっかり酔ってしまった。

(メチャクチャ気持ち良さそうだったな〜・・・ヒスイ)

酔い覚ましに、廊下の窓を開けて夜風に当たっていると・・・

「あ、兄ちゃん」

階段を上ってきたトパーズと目が合った。

「・・・・・・」

トパーズはさっさと通り過ぎようとしたが、そこでジストが引き止める。

「あっ!!兄ちゃん!!見たっ!?今、流れ星がさ・・・」

「流れ星?それがどうした」

「流れ星って言ったら、願い事だろ?」

すると、トパーズは鼻で笑い。「お前は何を願う?」と、尋ねた。

「そうだなぁ・・・やっぱ・・・」

ジストは、窓辺から星空を仰ぎ、言った。

「兄ちゃんと、オニキスのおっちゃんと・・・」

 

 

「ヒスイを愛する人達が、みんな幸せになれますように」

 

 

「・・・かな?」

「余計なお世話だ」

ジストにチョップをお見舞いし、一蹴するトパーズ。

「う・・・そうかもしんないけど・・・」

痛みに耐えながら、ジストは話を続けた。

「ヒスイはひとりしかいないから。奪い合うんじゃなくて、分け合えたらいいな、って」

「・・・できるもんなら、やってみろ」

パチン!指を鳴らして、星を落とす・・・神業。

「ホラ、流れ星だぞ?」と、去り際にジストを煽る。

「えっ!?わっ・・・!!」

ジストは流れ星を見上げ、祈りのポーズ。早口で願い事を唱えるが・・・

 

「いてっ・・・舌噛んだっ!!」

 

 

 

 

翌日 AM7:30 屋敷玄関にて。

 

試験を控えた双子を見送るため、ヒスイもちゃんとそこにいた。

アイボリーがドラゴンとの対面を希望すると、ヒスイは得意顔で応じ。

「ちょっと待っててね!」

すぐ傍の部屋に入り・・・数秒後。

よちよち歩きのチビドラゴンが出てきた。全長わずか145センチ。鱗は輝かしい白銀だが、足も尻尾も短いため、見た目はなんとなくヒヨコっぽい。

(ああ・・・ヒスイ・・・)コハク、心の声。

事前に何度か尋ねてみたものの、大丈夫だから!と、ヒスイは口を割らなかった。

その様子があまりに自信満々だったので、今回は任せてみようかな〜という結論に至った訳だが・・・

(ベタなのやっちゃったなぁ・・・)

笑いを堪えるのに、ひと苦労である。

 

一方、アイボリーは。

「なんじゃこりゃぁぁぁ!!!」だ。

ヒスイは「きっとびっくりするよ!」と、言っていたが。

(マジでビックリするっての!!!)

相棒のマーキュリーに話を振らずにはいられない。

「なぁ!ありえねーだろ!?」

チビドラゴンを指差し、大声で言い放つ。

「こいつ、ドラゴンのくせに」

 

 

「ショルダーバッグ斜めがけしてるぜ!?」

 
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