World Joker/Side-B

44話 “好き”しかいらない




「誰もいない、か」

巡り巡って、コハクは赤い屋根の屋敷に居た。

そこに・・・ヒスイが現れる。

「お兄ちゃんっ!」

「ヒスイ?」

一瞬目を疑うが、見間違える筈がない。紛れもなくヒスイだ。

「あーくんと、会ってきた!」

「・・・そう、先越されちゃったね」

コハクは、瞳を伏せた笑顔で、溜息ひとつ。

「どうだった?」

 

 

「あれこれ話する前にえっちしろって!」

 

 

それがあーくんの答え!と、ヒスイが声高に説く。

「だから・・・真剣にえっちする!!」

「僕は、いつでも真剣だよ」と、笑うコハク。

わかった―そう返事をして。ヒスイと抱き合った。

「お兄ちゃん・・・」

ヒスイがコハクの胸に顔を埋めると、コハクはヒスイの髪に顔を埋め。

「ヒスイは、本当にそれでいいの?」

「うん」

「・・・僕は、愚かな男だから、また同じようなことをするかもしれないよ?」

「でも好き!!好き・・・なんだもん・・・」



※性描写カット
 

 

ソファーで眠りはじめたヒスイに、毛布を掛けるコハク。

そのタイミングを待って。

「ヒスイ、寝たか?」

アイボリーがリビングに顔を出した。ちゃっかり帰宅していたのだ。

「あーくん・・・おかえり」

コハクはさほど驚いた様子もなかった・・・が。

「・・・ん?」

アイボリーの手元に視線が釘付けになった。

なぜか、ボールとグローブを持っている。

「キャッチボール、やろうぜ!コハク!」

「うん?キャッチボール???」

 
ページのトップへ戻る