World Joker

番外編 ※WJ108話直後のお話となりますが、123話まで読破された方向けの内容となっております

折り鶴と屋烏之愛

コハク×ヒスイ


それは――追憶の夢を見た翌日のこと。


ひとつの村として構成されている広大な敷地。
その管理の大半はメノウの魔法によるものだが、その負担を少しでも減らすべく、近年、点在する家屋※空き家※の清掃は、小人妖精に頼んでいた。
小人妖精は家事手伝いを好む種族で、その報酬は・・・キャンディだ。

家族総出で配るキャンディ。

コハクとヒスイはいつもの如く行動を共にし、噴水近くの一軒屋に来ていた。
「・・・・・・」
ヒスイは隣の部屋でキャンディを配っている。
一足先に配り終えたコハクは残ったキャンディをひとつ口に入れ。
その包み紙で鶴を折った。
しばらくそれを眺め―――握り潰す。
「・・・・・・」(単純な話だ)


自分で創ったものを、自分で壊す。


神の所業の一体どこが悪いのか。
「・・・・・・」
脚色も何もない。ただ過去の出来事を映し出しただけの、夢。
なのに、気分は少々憂鬱で。
自分が神に創られた存在であること。
そこに“壊す”という選択肢があることを、思い出したのだ。

間もなく・・・

「お兄ちゃん!こっち配り終えたよ!」と、ヒスイが戻ってきた。
コハクの手元を見るなり、「あっ!」声をあげ。
「折り鶴、なんで壊しちゃったの!?」
「いいんだ、ヒスイ」
「よくないよ!折角作ったのに!」
ヒスイは潰れた折り鶴を開き、くしゃくしゃになった紙を伸ばすと、新たに鶴を折り始めた。
「ん!できたっ!」
なにせ不器用なヒスイが折ったもの・・・左右対称にもならず、くちばし部分もへろへろだが・・・
「・・・・・・」
ヒスイの手で、ふたたび命を吹き込まれた鶴。
それが、自分の姿と重なって。
ふっと微笑みを浮かべるコハク。
「お兄ちゃん?」
ヒスイは不思議そうにしていたが・・・
「この鶴、宝物にしようかな」コハクが言うと。
「それなら、もっといっぱい折ってあげる!」
キャンディの残りを次々と口に入れ、その包み紙でせっせと鶴を折った。
「この鶴はね、みんな家族なの」と、コハクの前にずらりと並べ、あどけなく笑う。
「こんなに沢山あったら、もう壊そうなんて思わないでしょ?」
何をどこまで察しているのか・・・最初の一羽を指し。
「最初から、壊そうと思って作ることってあるのかな?」
などと、疑問を投げかける。
「どうかな」
そう答え、肩を竦めるコハクに。
「・・・もう、壊しちゃ、だめだよ?」
「・・・うん」

それから。

「えっちする?」
ヒスイがコハクを覗き込み、言った。
珍しく、気を遣った様子で。口にしてから照れている。
「くすっ、そうだね、じゃあ・・・」



「今すぐここで、僕のものになって――」



「――くれる?」
「うん、いいよ」







「んん゛・・・ッ!!」
俯き、歯を食いしばるヒスイから、堪えきれない嬌声が漏れる。
折り鶴の並ぶテーブルに両手をつき、背後には、コハク。
ペニスの直径通りに拡がった膣口がヒクヒクと甘く引き攣れ、そこから滴るほどの愛液を溢していた。
床には、ヒスイの着ていたギンガムチェックのワンピースとランジェリー一式。つまり、ヒスイは裸だ。
「う゛ッ・・・うぅんッ!!」
「よしよし、いい子だね」
本日初の、初々しい膣肉に、しっかりとペニスを埋め込み、コハクが上から頭を撫でる。
続けて、ヒスイのうなじにキスをしながら、上着だけ脱ぎ。
小さな背中に上半身を寄せ、言った。


「危ないから、コレは出しちゃおうね」


ヒスイの口を強引に開かせ、中に指を入れ。
「ふぁ・・・」
掻き出すようにして、次々とキャンディを吐かせた。
ビー玉のようなキャンディが、テーブルの上に落ちては転がってゆく様は、どこか扇情的で。
「はぁ・・・はぁ・・・おにぃ・・・あ・・・」
口の中が空になったところで、再度差し込まれる指・・・
「あ・・・あ・・・」
舌をむにむにと揉まれ、キャンディ味の唾液を絞り出される・・・
舌の根が心地良く痺れてきて、脳内まで愛撫されているように感じた。
一方で緩やかなピストンが始まり。ペニスの熱が膣肉に移されてゆく・・・
「あッ!あッ!はぁ・・・ッ!!」
襞の隙間に入り込む、甘やかな快感。
「もっと絡みつかせて?」と、耳元でコハクが笑う。
「あッ・・・ふぁッ・・・!!」
すると膣が反応し、動くペニスを締め付けた。
当然、摩擦は強くなり。
「――あぁ・・・ッ!!」
感じたヒスイが美しく背中を反らせる。
そのタイミングに合わせて、コハクの手が乳房を覆い。
「あん・・・ッ!!」
ヒスイは甲高く喘いだ。
「あ・・・はぁ・・・」
乳首を揉み出され、繊細な快感が乳管を貫いてゆく・・・
先端を指先で押し揺らされると尚更。
「あ・・・はぁんッ!!」
背中から腰にかけて一段と熱を帯びた。
「あッ・・・んぁッ・・・!!はッ・・・あ!!おにぃ・・・」
瞳の中に官能の涙が溜まり、視界が潤む中。
「ヒスイ――」
名前を呼ばれたヒスイは振り返り、コハクとキスを交わした。
唇を重ねては、互いの舌を舐め合う。
「んッ・・・んぅッ・・・はッ・・・はッ・・・」
ちゅっ・・・ちゅくっ・・・くちくち・・・
ずちゅっ!ぐちゅっ!ぐぼ・・・っ!
卑猥な音が、口からも膣からも漏れ。
「はっはっ・・・んッ・・・!!」
室内に響くその音を聞きながら、ヒスイが腰を揺らすと。
膣が溶けるのが早まって。流れ出るかのように奥から子宮が現れた。
「あ」
ぐにゅんっ・・・ペニスの上に乗ったところで。
ぐぐっ・・・逆に高々と持ち上げられ。
「あ・・・あ・・・あ・・・」
変形することで生まれる、特殊な快楽が弾ける――


「――ッ!!!!あぁぁぁ!!」


絶頂の末、両腕から力が抜け、テーブルに突っ伏すヒスイ。
「じっとしててね」
震えるヒスイの下腹を撫で、コハクはそのままペニスを送り続けた。
「!!ひぁッ・・・あ!!あッあッ・・・う゛あッ・・・あ!!」
ペニスの律動は激しさを増し。子宮口への止まないキス。
「うぐ・・・ッ!!あ!!あ゛ッあ゛ッあ!!」
この時ばかりは、衝撃こそが愛で。
振動と共に、ぶちゅっ!ぶちゅっ!と密着するペニスの先。
同時に愛が、子宮の中へと飛び込んでくる。
「んひッ!!ああッ!!あッ・・・はぅんッ!!」
子宮は悦びに溢れ。
ぞくんッ!ぞくんッ!としたものが、ヒスイの意識を攫うように脳天まで突き抜ける。
「はっ・・・はっ・・・あ・・・おにぃ・・・」
そこでコハクが腰を止め。
「やっぱり最後はこっちがいいよね」と、ヒスイの片脚を担ぎ上げ、側位の状態にした後、仰向けに寝かせ、正面からキス。
「ん・・・」
薄く目を開けながら、ヒスイが応える・・・と言っても、子宮を愛撫するペニスに夢中で。
唇は開放しているものの、キスは全面的にコハク任せだった。
「はぁっ・・・はぁっ・・・は・・・あ・・・」
(おにいちゃ・・・の・・・お○ん○ん・・・いちばん・・・おく・・・ぐちゅぐちゅ・・・して・・・)

その時だった。

「―――!!?」
唇を離したコハクが、ヒスイの両手首を掴み、自分の方へと引き寄せた。
ぬちゅぅぅぅ・・・コハクに張り付き、捲り返る陰唇。
結合がより深まり、亀頭が子宮口を押し開く。


「ん゛ああぁぁぁ!!!!」


ヒスイはふたたび達し。
テーブルの上、大きく拡げた両脚の爪先までビクつかせた。
「あ・・・・・・あ・・・・・・」
少しの間、口をぱくぱくしていたが、やがて声をなくし。
子宮にペニスを迎え入れながら、ぴゅッ!ぴゅッ!と、潮を噴き始めた。
「くすっ、そんなに気持ちいい?」
ヒスイの額に口づけるコハク。
「こんなにおもらしして・・・可愛いね」
そう囁きかけ。
ヒスイの最奥にたっぷりと精を放った――







いつの間にか日は暮れ、夜空に月が輝く。
二人は日頃のデートコースでもある噴水周辺を散歩していた。
「ねぇ、お兄ちゃん」
「うん?」
「さっき・・・何考えてたの?」
「つまらないことだよ、昔の・・・神のこととか」
「神様・・・」ヒスイが呟く。それからコハクを見上げ。
「お兄ちゃんは・・・神様のこと嫌いだったの?」
「・・・神は嫌いだったよ。まあ、世界の大概のものは嫌いだったけど」
「今は?」
するとコハクは、ヒスイの頬と髪の間にそっと手を差し込み、視線を交えながら言った。
「ヒスイが好きだよ」


「ヒスイが好きなものは、僕も好きだ」


ふふっ、と、そこでヒスイが笑う。
「ね、お兄ちゃん、知ってる?それをね、“屋烏之愛”って言うんだよ」
「屋烏之愛・・・」


愛が深い故に、相手に纏わるものすべてを愛おしく思う。屋根に止まる烏さえも。


その意味をコハクが知らない筈はなかったが。
ヒスイに指摘され、改めて、(ああ、そうか)と、思う。
「私は、お兄ちゃんのことが好きだから。大好きだから。お兄ちゃんも、お兄ちゃんのこと好きになってね」
屋烏之愛に則ったヒスイの言葉に、コハクは苦笑いでゆっくりと頷いた。




「――うん、そうだね」

+++END+++

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