短編(No.38)
セレ×ヒスイ
白熱する(?)セレとヒスイのお茶会。World Joker/side-B13話のサイドストーリーです。
「安心して。私、そういうのに偏見ないから」
と、ヒスイ。
一旦感情を落ち付かせたと見せかけて・・・
「でもね!お兄ちゃんだけは絶対だめ!!!」
バンッ!両手で机を叩く。ふくれっ面を、向かいのセレに近付け。
「ねぇ、どういう意味なの?さっき言ってた・・・」
『今の私には、どうしても彼が必要なものでね』
セレのこの発言が、気になって、気になって、仕方がないのだ。
するとセレは。
「私の要求に応えられるエクソシストが、彼しかいないのだよ」
「!?ちょっ・・・お兄ちゃんに何要求してるのよ!?」
裏返る、ヒスイの声。
(まさか、えっちなことじゃないでしょうねぇぇぇっ!?)
「今は答えられない。すまないね」
守秘義務があるため、コハクの口から聞き出すのも難しい。
ヒスイの誤解は深まるばかりだ。
「あっ!そうだっ!あの研究員の、ちっちゃい男の子にしとけばいいじゃない」
―槍玉に挙げられた彼の名はアズライト。サルファーの友人のひとりである。
確かに小柄な白衣男子だが・・・それでもヒスイよりは身長がある。
このやりとりを本人が聞いたら、さぞ嘆くことだろう―
「彼も好みではあるがね、そういう対象ではないよ」
「え?」
(そういう対象じゃないと困るんだけど)
セレに特定の相手を見つけない事には安心できない。
焦るヒスイ・・・その様子はどこか愛嬌があって、面白い。
セレはあえて自分が同性愛者ではないことを告げずに。
「誰か私に紹介してはくれないかね?」
試しにそう言ってみた。
「え!?何よ急に・・・」
ヒスイは怪訝そうな顔をしながらも、どんなタイプがいいの?と、セレに尋ね。
“君のような〜”という回答から・・・
「ん〜と、ジスト・・・とか?」
さくっと言い放った。
「可愛い息子を生贄にする気かね」
と、セレ。流石に少し驚く。
「生贄?人聞きの悪いこと言わないで」
両手を腰に胸を張るヒスイ。そして、得意気に一言。
両想いになれば問題ないでしょ?
「そのために努力・・・ん?んんっ!?」
そこまで言って、ある重大な事実に気付く。
(まーくん、これから一週間、セレと一緒なのよね・・・ホモのセレ=略してホモセレと!!)
ヒスイの脳内で・・・何やら酷い事になっている。セレを“攻”と判別しているようだ。
「・・・まーくんがソッチ側にいっちゃったら、ちゃんと責任とってね」
ヒスイは唇を突き出し、上目遣いでセレを睨むと。
初めてえっちしたコと結婚するのが、ウチの家訓なんだから!
「・・・・・・」
(よくまあ、話が進むものだ)
セレの肩が微かに震えている。笑いを堪えているのだ。
「セレっ!?聞いてるの!?」
「勿論、聞いているよ。ところで・・・また誘っても良いかね?」
「・・・っ!!私を誘ってもしょうがないでしょ!?」
真剣味に欠けるセレの物言い・・・ヒスイは再び机を叩き。
「もうっ!いい歳なんだから、真面目に恋愛しなさいよ・・・っ!!」
その日の夕方―
マーキュリーの荷物の中に、ヒスイはそっとローションを忍ばせた。※一応親心。
結局、セレのホモ疑惑は晴れず・・・むしろ濃厚になり。
ヒスイの心配は続くのであった。
+++END+++
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